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Re:平凡  作者: 愛夢 寝子
9/10

特別におみやげ

そうは言ってみたものの・・・。


「ただいま」

「あら健、ご飯は?」

「いる なに今日?」

「焼き魚だけど健は魚嫌いだから、ショウガ焼きしよか?」

「おぅ」


魚は嫌いだ。生臭いし、でも一番の理由は骨がめんどくさいってことだと思う。

ごはんができる頃虎次郎も帰ってきた。


「虎次郎、お魚あるわよー」

ニャー

あいつはやっぱり猫だよな。魚好きだし・・・しかしあれは、晴香の食べたあとの魚、残飯だよな。信じられない、おいしそうに食べやがって。

まぁいい。あいつは俺になれるんだぜ。俺と姉貴しか知らない秘密。きっとこれから面白くなる。

「きもいー」

バタバタバタ

「虎次郎みてにやけてるー 健、きもすぎるー」

晴香が二階に逃げて行った。どうやら俺は考え事に夢中になっていたが、顔がにやけていたらしい。

ナー

虎次郎もしらけた目で見ると、スルッとソファーへ飛び乗って丸くなった。

なんだよ、さっきまでとえらい違いだな。


食後

俺の部屋には俺専用のテレビがある。だから、家族用のテレビを囲んだことなんてなかったが、虎次郎を自室に連れて行くためソファーに腰をおろし、適当にテレビをつけてまるまる虎次郎に話かけた。

「俺の部屋で話そうぜ」

耳がピクッと動いた。聞いてるくせに聞こえないふりをしているようだ。

脇腹をくすぐってみた。ビクッ ちょっと身体を持ち上げた。俺の話を聞いてくれるのかと思ったら、鼻から抜けるような声で

ムムゥー

と鳴き前足を伸ばすと、猫おきまりの のびー をして、ソファーからぴょんっと降りた。俺の部屋にむかうのかとちょっと期待したが、虎次郎はホームセンターで母親が買ってきた、猫タワーにのぼった。逃げられた。冷たい奴だなー。姉貴の家では乗り気で、俺に懐いたと思ったのに、姉貴がいないとだめなのか・・。

猫は気紛れっていうしな。

俺も今日は寝てしまおう。そして、作戦を練ろう。

つれない虎次郎にがっかりしたが、今までと違い明日がくるのも待ちどうしい思いだった。他の奴にはない

特別

ってやつを手にいれた気がした。


しかし、どーやって猫様の機嫌をとるかなー。

明日はバイトだ。バイト先の魚でも買って、食べ物でつってみるか。



バイト終わり、プルルルルル

「はい」

「あ、姉貴 まだ虎次郎いるかな」

「は? いるけど。 もう9時じゃない、バイトがえり?」

「魚たべるかなーって?」

「なに、餌付け?」

「なんだよそのいい方」


「虎ちゃん、健が魚食べたいかって」

「さかなたべるー」


釣れた。相変わらず能天気なやつだ。ま、俺に会いたくないわけではなさそうだな。俺は今から行くっと伝えると電話を切り、急いで姉貴の家にむかった。

俺の姿じゃなきゃ話にならない。今日は俺の前でも変身するようあいつにいってやる。あ、違う お願いするの間違いだ。下手に、そして下手に。


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