俺だよな
ふあぁあぁ
月曜日の朝はあくびの連続。
ただ、一限から古典ってのはついてる、先生はおじいだし、寝てても起こされることはないし。
机に伏せて眠りにはいろうとしたとき、携帯がブルった。
『自習なう
みこちゃんから聞いたんだけど、レオンに新しいフレーバーはいったらしいよ
健いついけるー?』
彼女からのメール。みこちゃんて誰だよ。同じ高校の商業科にいる俺の彼女 麻美 まだ付き合って一ヶ月だから俺は必死。ま、そんなこと悟られないようにしてるけどね・・。
『Re:
古典猛勉強ナウ
明日と土曜バイト あとはフリーいつでもオッケー 今日いっちゃう?』
『Re:Re:
猛勉強うそやろ!笑
今日まみバイト じゃ水曜決定ねん』
『Re:Re:Re
ラジャー』
はぁ、今日デートできると思ったのに萎えた。
そして俺は一日だらだらと授業をうけ、だるい身体をひきずって家に帰った。
「あら、健おかえり」
ミャー
「あ、虎次郎も一緒に帰ってきたのね。昨日はどこにいってたの?心配したのよぉ」
一緒に帰ってきた訳ではないが、いつのまにか後ろにいた虎次郎。そういえばこいつ時々帰ってこないんだよなぁ、どこいってんだか。
「あ、水曜日バイトはいったからメシくって帰るわ」
ほんとはデートだけど、母親に言うと晴香と一緒になって根掘り葉掘り聞きたがる、それに姉貴が加わったら最悪だ。
水曜日に楽しみもできたし、ケータイゲームとテレビで時間を潰し、そうそうに眠りについた。
水曜日。
昨日のバイトもだるかった。毎日麻美とはメールや電話はしてるけど、やっぱデートとなると気合いがはいる。あわただしい朝、髪にいつもより10分は時間をかけた。
今日の一限は物理。二年にあがったとき生物と物理から選択できた科目だが、生物に女子が多かったため物理を選択してしまった、これがまぁ間違いだったんだけどなんとか乗り切った。
現国、体育、数学・・いつもより早く感じた。
そして待ちに待った放課後。
校門のところで待ち合わせをした。麻美は、ちょっとギャルっぽい今時女子だ。もともと好みは可愛い、守ってって感じの子なんだけど、なんていうか刺激になるというか、友達に自慢できるというか・・・。
なんで付き合いはじめたんだっけ?
まだ彼女はきてない。
レオンにいった後のことを考えてたら、ケータイが鳴った。
「あー たけるー ギャルサーから緊急かかって、ラブも佳奈もめーこも行くってゆうからさ、今日キャンセル、ごめん」
「はぁー、マジかよ ドタキャンかよ」
「だって行かなかったらしばかれんだって ね、うめあわせするから」
てか、ラブって誰だよ、めーこも佳奈も誰だよ 知らない麻美の女友達の名前に苛立つが仕方ない。
家族にはバイトだっていってきたし、財布の残りを考えるとゲーセンに使うのもなぁ、かといって一人マックは・・・ナイナイナイ。
この先4時間もの時間をどう使おうか、とりあえずで市街まできた。
そしてとりあえず本屋。
興味あるわけではないがスポーツ雑誌を立ち読み。周りから見れば、サッカー好きの好青年に見えてるはずなんだけど。少しして、周りの奴らが俺に視線をぶつけてきた、パンツのポケットから着メロが盛大に鳴ったから。
ゆっくり本を戻して、内心慌てて店をでた。
別に 彼女がカラオケで歌った、アイドルの曲を着メロにしてたのが恥ずかしいって訳じゃない、そのメロディーが麻美からのコールを告げていたから。
コールはでたと同時に切れた。履歴からかけ直そうとしたとき、不可解な光景がとびこんできた。
姉貴が俺と手をつないで歩いてる。
いや、まて そんなこと・・・
でもあれは 俺だよな
目の前に俺がいる。そんなことがあるわけない。俺はここにいる。
あれは双子の片割れか、俺は双子だったのか。
いや、確かに小さい時の写真は俺だけだし、エコーの写真も丸一つだった。
17歳の春、そう この刻、俺はみつけてはいけないものをみつけてしまった・・・。