はじまり
「ねこちゃんの名前決めた?」
「トラ猫だから、トラとかどうだい?」
「ふふ、そのまんまね、真琴の好きな名前にしていいのよ」
「とらじろう・・・」
『え?』
「ねこちゃんがとらじろうっていってる。」
俺の家族は五人と一匹。
食品会社で働く父と、専業主婦の母、一人暮らしをはじめたばかりの姉の真琴と、中3の妹晴香、あとは家族っていうか、ペットの猫 俺が生まれたときに家の前に置かれてたらしい。
俺は、中原健。就職活動しなきゃなーって思ってる高校3年生。
でも、特にやりたいことってないし、遊びと彼女で忙しいし、お金ないからバイトもしなくちゃなんないし、結局あとまわしにした毎日を送ってる。まぁ、それなりに楽しい毎日かな。
「おかえり」
また姉だ。一人暮らしをはじめた癖にちょくちょくご飯を食べにくる。
「健、あんた虎次郎また蹴ったんだって、かわいそうなことしないでよね」
「お兄ちゃん動物ぎゃくたいー」
「蹴ってないって」
バイトで疲れたというのに、姉や妹にやいやい言われ、虎次郎までニャーとか返事するし、お風呂に浸かって癒されてこよう・・・はぁ、今日も一日疲れたな
「あれ、虎次郎蹴ったのなんで知ってるんだ? まぁいっか、ふぅ」