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0話 その塵芥の王は……

初めましての人も、お久しぶりですの人も、こんにちわ。

目目連です。


にじファンの件以来ご無沙汰しておりましたが、とりあえずまだ生きています。


さて、目目連作品集はパソコン内に保存してありまして、この度ついに解禁することにしました。


誰か楽しみにしていてくれれば幸いです。


第一弾として『塵芥』です。










―――――――――――――――







とある戦場に少女が1人、踞り泣いていた。


髪は燃えるような赤。毛先だけが微かに橙。


見た目はまだ一桁の少女、いや幼女と言ってもいいくらいだ。


それが戦場で泣いていた。しかも、おかしなことに戦場にいる者はその少女に気づいてないかのように素通り、または横で剣を交わし合っていた。


まるでそこに居ないかのように………。


「――――なにを泣いておるのだ、少女よ」


しかし、少女を無視しない者が一人いた。


いや、正確には“物”だろうか。


そこにはダンボールのようなものを被り、全身に木っ端や布切れなどを纏ったものがいた。


声からして男であろう。


頭のダンボールには右目の辺りにバツ印が、左目の辺りには丸印、口の辺りには通気口のような穴が開いていた。


「我輩はうぬに問うているのだ、新たな眷属の少女よ」


ダンボールの男が少女に近づく。少女との対比としても男はかなりの長身だ。


このような怪しい男が戦場を闊歩していることがありえるのか?


「………ここはどこ?」


少女はまるでうわ言のように呟く。


「わたしはなんでここにいるの?なんでみんなわたしをむしするの?なんでわたしをみてくれないの?…………」


「ふむ………」


男はダンボールの頭の顎を撫でる。


「生まれて間もないために己が意義を見出せておらぬのか………」


ならば、とダンボールで篭った声が聞こえた。


少女が顔を上げるとそこには木っ端の右手を出した男が居た。


「我輩と共に来い、“古戦場火”よ」


「こせんじょうび?」


「それが汝の名だ」


男は少女の手を強引に引き、立たせる。


「我ら人成らざるものは名を持たねば認識されぬ。これからはそう名乗るがよいぞ」


――――ガシャガシャ。


男は木っ端を鳴らして歩く。


「来ぬのか?ここに居っても何の意義も見出せぬぞ?」


ダンボールの頭だけが少女の方を見る。


「それにここには――――」


「貴様ら何者だ!?」


すると今まで男たちに見向きもしなかった者たちがまるで今突然現れたかのように男と少女を見る。


「間を解せぬ輩が多い」


ダンボールの男が煙たげに兵たちを見る。


「なんだ、この大男は!?」


兵たちを見下ろす男の威圧におののく。


「貴様らに名乗る名などは無いわ!」


フシューと口から煙が出る。


それが濛々と辺りを包み込み。そしてそれが晴れた頃には男と少女の姿はなかった。


兵たちは狐に化かされたのかと思うばかりであった。










「あの、あなたは……?」


男と少女は荒野を歩いていた。


少女としてはいきなり場所が変わっていて驚いたが、何故かこの男の傍は心地がいいと思ったのだ。


「うむ?我輩か?そういえば名乗っておらなんだな……。聞くがいいぞ、古戦場火よ――――」


――――我が名は塵塚怪王ちりずかかいおう


――――人に捨てられしモノを統べる者。


――――人成らざるものの王ぞ。


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