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♯6 長い長い帰路
「転びそうになったところを助けてくれてありがとうございます」
「いいんだ、それより行くんだろ?公園」
「はい、私、守らなくちゃいけませんから」
「ならよ、それまで俺が守ってやるよ」
「雄二さんが…ですか?」
「ああ」
「しかし、今会ったばかりの雄二さんにてつだって貰うのは…」
「じゃあ、俺の昔話を聞いてからってのはどうだ?」
「まあ、それくらいなら」
「昔、俺がまだガキだった頃だ、近所に好きな女の子がいた。その女の子は強くてな、俺の憧れだった。」
「…」
「だがな、ある日のことだ、俺が車に轢かれかけてな、その女の子は俺を突飛ばし犠牲になった。幸い命に別状は無かったが強い障害がのこった」
「…その、障害ってなんですか?」
「突然記憶が事故直後に飛ぶそうだ」
「…そうですか、すみません、長い間、迷惑をかけてしまって」
「敬語」
「はい?」
「やめてくれないか?ゆっか」
「え?あ、は、ちがっ、うん」
「…かえるぞ」
「…うん」
続く