♯3 宿泊
「…なーんか、お泊まりって感じしないなぁ」
部屋に入って三時間、唐突に夕夏が言い出した
「あたりまえだ、隣の部屋だし、それにまだゆっかの部屋ダンポールだらけじゃねぇかよ」
「仕方ないでしょ?それに一応布団は敷いてます!」
ああ言えばこう言うとはまさにこの事だろう、しかし気になる点が一つあった
「なあ、布団持ってこなくて良いのかよ?」
「え?来客用の布団は?」
予想道理の返事に俺は少し呆れながら答えた
「仕方ない、今日はソファーで寝るから、ベッド使えよ」
「えー、ゆーじんと一緒がいい、むしろそれ以外いや」
「んな我が儘言うなよ」
「だってぇ」
「それより風呂出来てるぞ」
「うん」
そう答えるや否や、夕夏はおもむろに服を脱ぎだし…
「っておい!ちゃんと脱衣場で脱げよ!」
「良いじゃん、幼馴染みだし、それに、彼氏だし…私は、いいよ?」
「ばっ…バカ野郎!いいから脱衣場行ってこい!」
俺は夕夏を半ば閉じ込めるように脱衣場へ連れて行き、ベッドに枕を用意した、そして約三十分後
「ふぃ〜、さっぱりしたぁ」
「…」
夕夏は、風呂上がりのオヤジの如く、下着姿だった
「ねぇ、ビールかコーヒー牛乳ない?」
「ねぇよ…」
「そ、なら寝よっか」
「ああ、そうだな」
「電気消すぞ?」
「うん」
「…ねぇ、ゆーじんはどこで寝るの?」
「リビングのソファーだ」
「一緒に寝よ?」
「…まあ、ゆっかがいいなら」
「…ねぇ、起きてる?」
「ああ、起きてるぞ」
「ゆーじんの、裕次の匂いがする」
「夕夏の匂いもな、」
「…臭い?」
「いや、シャンプーの良い匂いがする」
「そっか…」
「おう」
「裕次」
「ん?」
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」