─第4章─3話「白銀の絶対強者」
【由比ヶ浜ケイの受難】
2つの会場では、審査員が違う。
基準が違えば点数も変わる。それを「エンタメ」として楽しむか、競技としての「不公平」と捉えるかは人それぞれだ。
だが、一つだけ確かなことがある。
小手先の技術や愛嬌で稼ぐ点数は審査員によってブレるが、「絶対的強者」は誰が審査員であろうと、その実力を圧倒的な数字でねじ伏せるということだ。
Bブロックの全競技が終わり、通過者と敗退者が決まって安堵と落胆の空気が漂う会場。
その大型モニターに、別会場で行われていた『Aブロック』の最終結果が映し出された瞬間、会場はどよめきに包まれた。
【Aブロック 最終結果】
1位:城ヶ崎 杏樹 【378点】
2位:川那部 ナツメ 【352点】
3位:東城 葵 【345点】
4位:西園寺 ミリア 【341点】
「……嘘でしょ」
由比ヶ浜ケイはモニターを見上げて絶句した。
378点。
それは、このBブロックで神の領域を見せた愛理(388点)と莉杏(385点)の2強に迫る、異常なスコアだった。
審査員が違うとはいえ、あの「太陽」である川那部ナツメ(352点)に30点近い大差をつけての堂々たる1位通過。
もはや「期待の新人」という枠には、到底収まりきらない。
「すごいね杏樹ちゃん……こりゃもう、完全にライバルだわ……」
神野愛理でさえ、冷や汗混じりにそう呟いた。
その横で、姉である城ヶ崎莉杏は、モニターに映る妹の名前を見て、背筋が凍るような、それでいてひどく妖艶で美しい笑みを浮かべていた。
そして、他の通過者たち。
3位に入ったのは、高校3年生の東城葵。
ロックなビートで会場を盛り上げる確かな実力者だが、これまでは異常なほどくじ運が悪く、トーナメントの1回戦で愛理などの怪物にばかり当たり続けてきた「悲運のベテラン」だ。今回、ついにその実力が正当に評価され、悲願の決勝進出を決めたようだ。
一方で、4位に滑り込んだ西園寺ミリア。
点数は341点。あの狂戦士(杏樹)と同じブロックに放り込まれ、再び目の前でトラウマを抉られながらも、なんとか自我を保って首の皮一枚で予選をもぎ取ったらしい。
「ねえねえケイちゃん! 決勝トーナメント、楽しみだね!」
太陽のように無邪気な愛理が、バンバンと容赦なくケイの肩を叩いて組んでくる。
対するケイの胃は、決勝に進出する8名の顔ぶれを想像しただけで、すでに捩じ切れそうだった。
会場中が「城ヶ崎杏樹、ヤバくないか?」「1年であの点数はバケモノだ」とざわめき、噂している。
朝陽ノフォールカップは、予選の段階からすでに大波乱の様相を見せていた。
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