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死刑執行人少女

死刑執行人淑女 《外国人ギャング20人、女性議員ひとりに蹴り殺される》

作者: E.C.ユーキ
掲載日:2024/10/22

 闇夜(やみよ)の廃(はい)工場(こうじょう)に、女性(じょせい)議員(ぎいん)がひとり立(た)ち入(い)った。

 城園(じょうえん)綾子(あやこ)。32歳(さい)。弁護士(べんごし)。現職(げんしょく)の東京(とうきょう)都議会(とぎかい)議員(ぎいん)でもある、たおやかな美人(びじん)。綾子(あやこ)は人(ひと)が寝静(ねしず)まった深夜(しんや)、フォーマルスーツ姿(すがた)のまま、東京都(とうきょうと)郊外(こうがい)の山奥(やまおく)の廃(はい)工場(こうじょう)にひとりで訪(おとず)れていた。足早(あしばや)に地下(ちか)へと階段(かいだん)を下(お)りると、薄暗(うすぐら)い照明(しょうめい)のホールに出(で)る。綾子(あやこ)は震(ふる)える手(て)をキュっと握(にぎ)り閉(し)め、ホールの中(なか)ほどまで足(あし)を進(すす)めた。

 綾子(あやこ)を出迎(でむか)えたのは、嬉々(きき)とした男(おとこ)の声(こえ)だった。

『待(ま)っていたぞ。城園(じょうえん)綾子(あやこ)議員(ぎいん)』

 階段(かいだん)の上(うえ)の高(たか)みで、まるで玉座(ぎょくざ)のように腰(こし)かけるこの男(おとこ)こそ、外国人(がいこくじん)ギャング組織(そしき)《ベルセルク》のボスである。その両脇(りょうわき)には屈強(くっきょう)な黒(くろ)スーツの男(おとこ)が控(ひか)えている。

 綾子(あやこ)は階段(かいだん)の下(した)から、ボスを見上(みあ)げて懇願(こんがん)した。

「お願(ねが)い! あの子(こ)を解放(かいほう)して……!」

 小一(こいち)時間(じかん)前(まえ)、綾子(あやこ)のスマートフォンに一本(いっぽん)の動画(どうが)が送(おく)られてきた。――見(み)ず知(し)らずの少年(しょうねん)が、男(おとこ)にサバイバルナイフを突(つ)きつけられている映像(えいぞう)だった。一時間(じかん)経(た)つごとに、四肢(しし)に一本(いっぽん)ずつ刺(さ)していき、その動画(どうが)も送(おく)るという。それが嫌(いや)なら、この事(こと)は誰(だれ)にも告(つ)げず、東京(とうきょう)郊外(こうがい)の山奥(やまおく)の廃(はい)工場(こうじょう)にひとりで来(こ)い、という綾子(あやこ)への要求(ようきゅう)だった。ただちに綾子(あやこ)は公用車(こうようしゃ)の黒(くろ)セダンを引(ひ)っ張(ぱ)り出(だ)し、都内(とない)から離(はな)れた山奥(やまおく)の廃(はい)工場(こうじょう)まで、ひとり飛(と)ばしてきた。要求(ようきゅう)動画(どうが)を受信(じゅしん)してから今現在(いまげんざい)まで、まだ40分(ぷん)ほどしか経(た)っていない。

 ボスが黒服(くろふく)の男(おとこ)に合図(あいず)をすると、少年(しょうねん)が乱暴(らんぼう)に連(つ)れてこられた。7歳(さい)程(ほど)だろうか。目立(めだ)った外傷(がいしょう)は無(な)いが、顔(かお)は引(ひ)きつり、身体(からだ)は小刻(こきざ)みに震(ふる)えている。

『子供(こども)を解放(かいほう)しても良(よ)いが、条件(じょうけん)がある』

 ボスと少年(しょうねん)、綾子(あやこ)との間(あいだ)の空間(くうかん)がライトアップされた。



 ――闇(やみ)の中(なか)から、金網(かなあみ)の戦場(せんじょう)と、10人(にん)の大男(おおおとこ)が現(あらわ)れた。



 総合(そうごう)格闘技(かくとうぎ)ケージ。高(たか)さ2m(メートル)を超(こ)える金網(かなあみ)フェンスで囲(かこ)われた8等辺(とうへん)の武舞台(ぶぶたい)。そして金網(かなあみ)の外側(そとがわ)からは――筋骨(きんこつ)隆々(りゅうりゅう)の大男(おおおとこ)たちが、薄汚(うすぎたな)い笑(え)みを綾子(あやこ)に向(む)けていた。白人(はくじん)、黒人(こくじん)、中東(ちゅうとう)系(けい)、南米(なんべい)系(けい)、アジア系(けい)と多人種(たじんしゅ)だが、全員(ぜんいん)が元(もと)MMAファイターであり、皆(みな)2m(メートル)近(ちか)い背丈(せたけ)を持(も)っていた。

『この男(おとこ)たちと1対(たい)1で戦(たたか)い、10人(にん)全員(ぜんいん)に勝利(しょうり)した時(とき)には、子供(こども)は解放(かいほう)してやろう』

「そんな……!」

 綾子(あやこ)がうろたえていると、少年(しょうねん)を掴(つか)んだ黒服(くろふく)の男(おとこ)は、懐(ふところ)からナイフを取(と)り出(だ)した。綾子(あやこ)には初(はじ)めから選択肢(せんたくし)は無(な)かったのだ。

「待(ま)って! ……わかったわ。その条件(じょうけん)を呑(の)むわ」



 ――MMAケージ内(ない)に、物柔(ものやわ)らかな女性(じょせい)議員(ぎいん)が入場(にゅうじょう)する。



 身長(しんちょう)164㎝(センチ)の女体(にょたい)。左胸(ひだりむね)には議員(ぎいん)・弁護士(べんごし)の二(ふた)つのバッチ。

 髪(かみ)はウェーブした肩(かた)丈(たけ)のアッシュブラウン。

 凛々(りり)しくも怯(おび)えを隠(かく)せない顔(かお)には、銀(ぎん)淵(ぶち)の眼鏡(めがね)。

 薄紅(うすべに)のルージュには、グロスがてらてらと輝(かがや)く。

 ブルーグレーのジャケットに浮(う)き出(で)た、乳房(ちぶさ)のライン。

 黒(くろ)のペンシルスカートはタイトで、お尻(しり)のラインが浮(う)き出(で)ている。

 ベージュのストッキングの脚(あし)は、ふくらはぎがむちむちと。

 黒(くろ)のミドルヒールは、金貨(きんか)大(だい)のエンブレムが爪先(つまさき)に輝(かがや)く。



 綾子(あやこ)のしおらしい入場(にゅうじょう)に、現地(げんち)もライブ放送(ほうそう)も大(だい)盛況(せいきょう)だ。

 MMAファイターの男(おとこ)たちは悪辣(あくらつ)な歓声(かんせい)を上(あ)げ、ダークウェブ上(じょう)のライブ放送(ほうそう)も下卑(げび)たコメントであふれ返(かえ)る。ダークスーツの黒服(くろふく)男(おとこ)たちが、あちこちからカメラを綾子(あやこ)に向(む)けて、ねっとりと、舐(な)め回(まわ)すように身体(からだ)を撮(と)り続(つづ)ける。ボス、MMAファイター、黒服(くろふく)――20人(にん)の男(おとこ)たちが囲(かこ)う中(なか)、女(おんな)は綾子(あやこ)ひとりのみだった。

 続(つづ)いて、巨漢(きょかん)のMMAファイターが入場(にゅうじょう)する。

 身長(しんちょう)2m(メートル)超(ちょう)の白人(はくじん)で、裸(はだか)の上体(じょうたい)は筋骨(きんこつ)隆々(りゅうりゅう)、グローブをはめた拳(こぶし)で超速(ちょうそく)の素振(すぶ)りを見(み)せる。ヘビー級(きゅう)のボクサーでも一撃(いちげき)で沈(しず)む鋭(するど)さだ。間(ま)もなく試合(しあい)が始(はじ)まるというのに、ケージ内(ない)には綾子(あやこ)と大男(おおおとこ)の二人(ふたり)しかいない。――これはショウであり、レフリーなどいないのだ。



 《MMAファイター》対(たい)|《女性(じょせい)議員(ぎいん)》。

 2m(メートル)の大男(おおおとこ)が見下(みお)ろす、164㎝(センチ)の淑女(しゅくじょ)。

 ――試合(しあい)開始(かいし)のゴングが鳴(な)り響(ひび)いた。



 やはり綾子(あやこ)は、後退(あとずさ)るばかりだった。

 男(おとこ)が一歩(いっぽ)踏(ふ)み寄(よ)る度(たび)に、綾子(あやこ)はびくんと一歩後(いっぽうし)ろに下(さ)がる。男(おとこ)が超速(ちょうそく)のパンチを空(から)ぶらせて挑発(ちょうはつ)しても、綾子(あやこ)はきゅっと閉(と)じた両手(りょうて)を胸(むね)の前(まえ)で合(あ)わせるばかりで、何(なに)もできない。

 たちまち綾子(あやこ)は金網(かなあみ)のフェンスに背中(せなか)を打(う)つ。盛(も)り上(あ)がる会場(かいじょう)、男(おとこ)は薄汚(うすぎたな)い笑(え)みを浮(う)かべながら、両手(りょうて)で綾子(あやこ)を組(く)み伏(ふ)せにかかる。綾子(あやこ)は目(め)に大粒(おおつぶ)の涙(なみだ)を浮(う)かべた顔(かお)を横(よこ)に背(そむ)け、「いやっ!」と悲鳴(ひめい)を上(あ)げた。

 すると突然(とつぜん)、男(おとこ)の動(うご)きが止(と)まった。



 ――綾子(あやこ)の足(あし)が、男(おとこ)の股間(こかん)を蹴(け)り上(あ)げていたのだ。



 それも、まともに当(あ)たっていた。

 完全(かんぜん)に油断(ゆだん)していた。KO後(ご)のショウタイムのために、股間(こかん)用(よう)のプロテクターは当然(とうぜん)着(つ)けていなかった。大男(おおおとこ)は生(う)まれたての子鹿(こじか)のように脚(あし)をぷるぷるとさせながら、なんとか根性(こんじょう)で立(た)っている。綾子(あやこ)は唖然(あぜん)とその様子(ようす)を眺(なが)めていたが、一転(いってん)、表情(ひょうじょう)を引(ひ)き締(し)めた。

 綾子(あやこ)は、男(おとこ)の頭(あたま)をヘッドロックにかかった。

 悶(もだ)えるあまりに下(さ)がった男(おとこ)の頭(あたま)を片脇(かたわき)に抱(かか)え込(こ)み、顎下(あごした)を手首(てくび)で圧迫(あっぱく)するように両(りょう)腕(うで)を組(く)み上(あ)げる。――ハイエルボーギロチンの形(かたち)だ。男(おとこ)の首(くび)は完全(かんぜん)に極(き)まった。綾子(あやこ)の上着(うわぎ)越(ご)しの豊満(ほうまん)な乳房(ちぶさ)を頬(ほお)に押(お)し当(あ)てられながら、男(おとこ)は顔(かお)を真(ま)っ赤(か)にして抵抗(ていこう)する。しかし、こうなってしまってはもう遅(おそ)かった。

 会場(かいじょう)は嘲笑(ちょうしょう)で大(おお)盛(も)り上(あ)がりだ。控(ひか)えているMMAファイターたちが、ケージ内(ない)の男(おとこ)の雄姿(ゆうし)を笑(わら)い飛(と)ばし、多様(たよう)な言語(げんご)のヤジが飛(と)び交(か)う。『ママに「ごめんなさい」をするんだな!』『ついでにおっぱいも飲(の)ませてもらいな!』。ますます男(おとこ)の顔(かお)は赤(あか)くなっていく。そして――

 ――鈍(にぶ)い音(おと)がひとつ、不気味(ぶきみ)に響(ひび)いた。

 首(くび)の骨(ほね)が折(お)れたのだ。男(おとこ)は力(ちから)なくマットに倒(たお)れ崩(くず)れ、目(め)を見開(みひら)き、身体(からだ)を痙攣(けいれん)させている。痙攣(けいれん)は次第(しだい)に小(ちい)さくなっていき、やがて、完全(かんぜん)に止(と)まった。その始終(しじゅう)を綾子(あやこ)は、目(め)を見開(みひら)き、口(くち)を両(りょう)手(て)で覆(おお)いながら見下(みお)ろしていた。

 さらなる盛(も)り上(あ)がりを見(み)せるMMAファイターたちの嘲笑(ちょうしょう)の歓声(かんせい)、それとは裏腹(うらはら)にボスは眉(まゆ)をしかめていた。

『次(つぎ)だ! 次(つぎ)のヤツは早(はや)く上(あ)がれ!』



 金網(かなあみ)の中(なか)に2人(ふたり)目(め)の大男(おおおとこ)が入(はい)った。

 浅黒(あさぐろ)く日焼(ひや)けしたアジア系(けい)の大男(おおおとこ)が、高々(たかだか)と頭上(ずじょう)まで足(あし)を掲(かか)げてみせる。ムエタイ出身(しゅっしん)のファイターだ。ケージ内(ない)に死体(したい)が転(ころ)がったまま、第(だい)二試合(しあい)のゴングが鳴(な)った。

 ムエタイの男(おとこ)は、巨体(きょたい)らしからぬ軽快(けいかい)なステップで立(た)ち回(まわ)る。ハイキックを綾子(あやこ)の顔(かお)の目(め)の前(まえ)に放(はな)ち、挑発(ちょうはつ)する。綾子(あやこ)はやはり下(さ)がるばかりで、手(て)も足(あし)も出(だ)せない。再(ふたた)び金網(かなあみ)フェンスまで追(お)い詰(つ)められる綾子(あやこ)。男(おとこ)は念(ねん)を入(い)れて金的(きんてき)を警戒(けいかい)しながら、前(まえ)のめりになり、ちろちろと舌(した)を出(だ)して挑発(ちょうはつ)する。その時(とき)だった。

 ――男(おとこ)の側頭(そくとう)に、綾子(あやこ)のハイキックが直撃(ちょくげき)した。

 《綾子(あやこ)には護身術(ごしんじゅつ)の心得(こころえ)がある》。そう男(おとこ)たちが一様(いちよう)に確信(かくしん)するほどに、それは鋭(するど)く重(おも)い一撃(いちげき)だった。綾子(あやこ)の足(あし)は彼女(かのじょ)の頭上(ずじょう)まで振(ふ)り上(あ)がり、前(まえ)のめりに下(さ)がった男(おとこ)の頭(あたま)の側面(そくめん)を、ズドンと蹴(け)り飛(と)ばしたのだ。タイトスカートでは上(あ)がり得(え)ない高(たか)さまで上(あ)がった、意識(いしき)外(がい)の一撃(いちげき)。黒(くろ)の膝丈(ひざたけ)ペンシルスカートは、実(じつ)はヒップの下(した)に深(ふか)く切(き)れ込(こ)みが入(はい)ったデザインで、思(おも)いのほかに可動域(かどういき)が広(ひろ)かったのだ。せいぜい股間(こかん)を蹴(け)り上(あ)げるが精一杯(せいいっぱい)だと思(おも)っていた男(おとこ)は、たったの一発(いっぱつ)で千鳥足(ちどりあし)になってしまった。

 さらに綾子(あやこ)は追撃(ついげき)をかける。ムエタイの男(おとこ)の後頭部(こうとうぶ)を抱(かか)え込(こ)み、クリンチをかけた。タイトスカートから繰(く)り出(だ)される、執拗(しつよう)な膝(ひざ)蹴(げ)り。――ついには男(おとこ)は膝(ひざ)を着(つ)く。すかさず綾子(あやこ)は男(おとこ)の背後(はいご)に回(まわ)り込(こ)み、膝(ひざ)立(だ)ちの男(おとこ)の顎下(あごした)に腕(うで)を回(まわ)して、両(りょう)腕(うで)を組(く)み上(あ)げた。

 《チョークスリーパー》。膝(ひざ)の連打(れんだ)を喰(く)らった鼻血(はなぢ)顔(かお)が、ホール内(ない)の男(おとこ)たちに掲(かか)げられる。このまま絞(し)め落(お)とされれば、失禁(しっきん)は確実(かくじつ)だ。……冗談(じょうだん)じゃない。絶対(ぜったい)に振(ふ)りほどくのだ。ウェーブしたアッシュブラウンの髪(かみ)から香(かお)る甘(あま)い香(かお)りが、背中(せなか)に押(お)し付(つ)けられた上着(うわぎ)越(ご)し乳房(ちぶさ)のふくらみが、朦朧(もうろう)とした男(おとこ)にぐんぐんと力(ちから)を与(あた)える。そして――

 ――再(ふたた)び、ひとつ、鈍(にぶ)い音(おと)が響(ひび)いた。

 また一本(いっぽん)、首(くび)が折(お)れたのだ。綾子(あやこ)の腕(うで)に完全(かんぜん)に首(くび)を極(き)められたまま、無理(むり)な姿勢(しせい)で力任(ちからまか)せに暴(あば)れた結果(けっか)、自(みずか)ら首(くび)の骨(ほね)を折(お)ってしまったのだ。綾子(あやこ)の腕(うで)が解(と)かれると、男(おとこ)はマットに仰向(あおむ)けに倒(たお)れ、泡(あわ)を吹(ふ)いて痙攣(けいれん)する。綾子(あやこ)は男(おとこ)が完全(かんぜん)に動(うご)かなくなるまでを、静(しず)かに、顔(かお)を紅潮(こうちょう)させながら見下(みお)ろしていた。やがて顔(かお)を上(あ)げると、舞台(ぶたい)下(した)で唖然(あぜん)と固(かた)まったままの大男(おおおとこ)たちを見据(みす)える。そして――

 綾子(あやこ)は、つややかに微笑(ほほえ)んだ。

「さあ、次(つぎ)はどなたかしら?」

 静寂(せいじゃく)の地下(ちか)ホール。もう嘲笑(ちょうしょう)の歓声(かんせい)は起(お)こらない。……もはや、1対(たい)1にこだわっている場合(ばあい)ではない。残(のこ)りのMMAファイターたちは、歯(は)ぎしりをしながら、続々(ぞくぞく)とケージ内(ない)に入(はい)っていった。




 ――女性(じょせい)議員(ぎいん)による、死刑執行(しけいしっこう)が始(はじ)まる。




 《女性(じょせい)議員(ぎいん)のハイキック乱舞(らんぶ)》。黒(くろ)のタイトスカートから頭上(ずじょう)にまで振(ふ)り上(あ)げられるミドルヒールが、次々(つぎつぎ)と大男(おおおとこ)たちをなぎ倒(たお)していく。綾子(あやこ)は対(たい)多数(たすう)が相手(あいて)でも引(ひ)けを取(と)らない。引(ひ)くなり距離(きょり)を詰(つ)めるなどして、必(かなら)ず1対(たい)1の状況(じょうきょう)を作(つく)るのだ。そうしてマットに倒(たお)した男(おとこ)に、綾子(あやこ)はヘッドシザースをかけにいく。

 また一人(ひとり)、また一人(ひとり)と、綾子(あやこ)は死刑(しけい)を執行(しっこう)する。

 黒(くろ)のタイトスカートの中(なか)、ベージュのストッキングのふとももに首(くび)をかけられる。ひとたび断頭台(だんとうだい)にはめられたら、もう抜(ぬ)け出(だ)せない。むちむちとやわらかなふとももが大蛇(だいじゃ)のように絡(から)みついて、締(し)めつけ、決(けっ)して放(はな)さない。いよいよ生殺与奪(せいさつよだつ)、すべてが綾子(あやこ)に掌握(しょうあく)される。黒(くろ)のタイトスカート、てらてらとなめらかな光沢(こうたく)を放(はな)つ生地(きじ)が、男(おとこ)の顔(かお)をくすぐる。スカートの布(ぬの)にはアロマが焚(た)かれていて、エレガントな香(かお)りが鼻(はな)をくすぐる。

 『お願(ねが)いだ』『許(ゆる)してくれ』『もう二度(ど)としない』……。涙(なみだ)を流(なが)しながら命乞(いのちご)いをしても、綾子(あやこ)の脚(あし)は緩(ゆる)まない。男(おとこ)の巨体(きょたい)からはだんだんと力(ちから)が抜(ぬ)けていき、やがて痙攣(けいれん)を始(はじ)める。手足(てあし)は動(うご)かず、口(くち)も動(うご)かず、いよいよ反応(はんのう)を示(しめ)さなくなってから――やっと綾子(あやこ)は、ギロチンを落(お)とす。

 また一人(ひとり)、また一人(ひとり)……。ぷりぷりと乳房(ちぶさ)をおどらせながら蹴(け)り倒(たお)す。むちむちのふとももに首(くび)を絡(から)め取(と)られる。誰(だれ)も綾子(あやこ)を止(と)められない。誰(だれ)も綾子(あやこ)に敵(かな)わない。誰(だれ)も、誰(だれ)も――……。



 MMAファイター。筋骨(きんこつ)隆々(りゅうりゅう)の大男(おおおとこ)10人(にん)。

 ――10人(にん)全員(ぜんいん)、綾子(あやこ)ひとりに殺(ころ)された。



 死体(したい)だらけのケージの中央(ちゅうおう)で、綾子(あやこ)は凛(りん)とボスを見据(みす)える。

「さあ、10人(にん)全員(ぜんいん)倒(たお)したわ。約束(やくそく)よ。あの子(こ)を解放(かいほう)しなさい」

 ボスは唸(うな)り歯(は)ぎしりするばかりだったが、ついに黒服(くろふく)のスーツ姿(すがた)の男(おとこ)たちに怒鳴(どな)り散(ち)らした。

『何(なに)をしている!? 全員(ぜんいん)でかかれ! もう殺(ころ)しても構(かま)わん!』

 黒服(くろふく)たちは動揺(どうよう)しながらも、各々(おのおの)がナイフや鉄(てつ)パイプを手(て)に取(と)り、ケージ内(ない)に上(あ)がる。今夜(こんや)は『楽(らく)な仕事(しごと)』のはずだったため、拳銃(けんじゅう)を持(も)っている者(もの)はいない。出入口(でいりぐち)の警備(けいび)をしていた者(もの)はもちろん、ボスの脇(わき)に控(ひか)える者(もの)、カメラやパソコンを操作(そうさ)していた者(もの)までも駆(か)り出(だ)され、たちまちケージ内(ない)には9人(にん)の黒服(くろふく)が集(あつ)まり、綾子(あやこ)を包囲(ほうい)した。

 たったひとりの女性(じょせい)議員(ぎいん)を相手(あいて)に、武器(ぶき)を向(む)け、9人(にん)がかりで包囲(ほうい)する男(おとこ)たち。綾子(あやこ)はひとつため息(いき)をついた。

「あなたたち、本当(ほんとう)におちんちん着(つ)いてるの? いいわよ。まとめてかかっていらっしゃい」



 ――武器(ぶき)持(も)ちの男(おとこ)たちでも、綾子(あやこ)ひとりに敵(かな)わない。



 ナイフで切(き)りかかれば、振(ふ)り上(あ)げた足(あし)の靴底(くつぞこ)で払(はら)って受(う)け流(なが)され、反撃(はんげき)される。鉄(てつ)パイプで殴(なぐ)りかかれば、振(ふ)る前(まえ)の隙(すき)、もしくは振(ふ)った後(あと)の隙(すき)を的確(てきかく)に突(つ)かれる。綾子(あやこ)は常(つね)に的確(てきかく)な間合(まあ)いを維持(いじ)していて、男(おとこ)たちの攻撃(こうげき)を空振(からぶ)りさせている。その隙(すき)に綾子(あやこ)は一気(いっき)に接近(せっきん)し、蹴(け)りの嵐(あらし)を叩(たた)き込(こ)む。頭(あたま)、胴(どう)、股間(こかん)への多様(たよう)な蹴(け)りの前(まえ)に、男(おとこ)はたちまち千鳥足(ちどりあし)にさせられる。そうして下(さ)がった男(おとこ)の頭(あたま)を、綾子(あやこ)は両腕(りょううで)で抱(かか)えて、ひねり、首(くび)を圧(へ)し折(お)るのだ。瞬(またた)く間(ま)に3人(にん)の黒服(くろふく)が綾子(あやこ)に殺(ころ)され、残(のこ)りの男(おとこ)たちは固(かた)まってしまった。

「さあ、次(つぎ)は貴方(あなた)たちの番(ばん)よ」

 コツン、コツンとミドルヒールの足音(あしおと)を刻(きざ)みながら、綾子(あやこ)が男(おとこ)たちに一歩(いっぽ)ずつ近(ちか)づいていく。背筋(せすじ)を伸(の)ばして詰(つ)め寄(よ)ってくる綾子(あやこ)に、黒服(くろふく)の男(おとこ)たちは逃(に)げ惑(まど)う。武器(ぶき)を持(も)っているというのに下(さ)がるばかりで、たちまち金網(かなあみ)フェンスへと追(お)い詰(つ)められてしまった。

「なぁに? 早(はや)くかかっていらっしゃい」

 すると男(おとこ)たちは、仲間割(なかまわ)れを始(はじ)めた。

 互(たが)いに自分(じぶん)を守(まも)るために、相手(あいて)を綾子(あやこ)の方(ほう)へと追(お)いやろうとする。数(かず)の利(り)をまったく活(い)かせておらず、男(おとこ)たちの連携(れんけい)は完全(かんぜん)に瓦解(がかい)していた。綾子(あやこ)はそんな男(おとこ)たちに呆(あき)れるようにため息(いき)をつくと、1対(たい)1で各個(かっこ)撃破(げきは)。ナイフや鉄(てつ)パイプを持(も)った男(おとこ)たちも難(なん)なく処理(しょり)していく。最後(さいご)の一人(ひとり)も首(くび)を脚(あし)で挟(はさ)み、ひねり折(お)った。



 武器(ぶき)持(も)ちの黒服(くろふく)たちも、9人(にん)全員(ぜんいん)、綾子(あやこ)に殺(ころ)された。

 ――残(のこ)るギャングは、ボスひとりのみである。



 いよいよボスは最後(さいご)の手(て)に出(で)た。静(しず)かになった地下(ちか)ホールに、焦燥(しょうそう)したボスの声(こえ)が響(ひび)く。

『動(うご)くな! こいつがどうなってもいいのか!?』

 ボスは少年(しょうねん)を人質(ひとじち)にした。片腕(かたうで)に抱(かか)えた少年(しょうねん)の頭(あたま)に突(つ)きつけているのは――オートマチックの拳銃(けんじゅう)だ。階段(かいだん)の下(した)、ケージ内(ない)から見上(みあ)げる綾子(あやこ)の見開(みひら)いた瞳(ひとみ)には、顔(かお)を強張(こわば)らせて震(ふる)えている少年(しょうねん)が映(うつ)っていた。

「……わかったわ」

 しおらしく両(りょう)手(て)を上(あ)げ、その場(ば)に跪(ひざまず)く綾子(あやこ)。その様子(ようす)にボスは汚(きたな)い笑(え)みを浮(う)かべた。

 ボスは少年(しょうねん)に手錠(てじょう)を渡(わた)した。拳銃(けんじゅう)を少年(しょうねん)に突(つ)きつけたまま、二人(ふたり)は綾子(あやこ)の元(もと)へと下(お)りていく。跪(ひざまず)く綾子(あやこ)の目(め)の前(まえ)まで来(く)ると、ボスは少年(しょうねん)に、綾子(あやこ)を後(うし)ろ手(で)に手(て)錠(じょう)をかけるよう強要(きょうよう)した。手錠(てじょう)を手(て)にしたまま動(うご)かない少年(しょうねん)に、綾子(あやこ)は優(やさ)しく微笑(ほほえ)んだ。

「いいのよ。彼(かれ)の言(い)う通(とお)りにして」

 綾子(あやこ)は跪(ひざまず)いたまま、両手(りょうて)を腰(こし)の後(うし)ろに回(まわ)した。



 ――綾子(あやこ)に、手錠(てじょう)がかけられた。



 ボスは跪(ひざまず)く綾子(あやこ)の顎(あご)をつかんで、顔(かお)を覗(のぞ)き込(こ)む。

『貴様(きさま)はただ殺(ころ)すだけでは済(す)まさんぞ……!」

 綾子(あやこ)の頬(ほお)に銃口(じゅうこう)を突(つ)きつける。もう片方(かたほう)の手(て)は綾子(あやこ)の胸(むね)へと伸(の)ばし、上着(うわぎ)の中(なか)に手(て)を入(い)れ、豊満(ほうまん)な乳房(ちぶさ)を鷲(わし)づかみにする。

 これは、初(はじ)めて少年(しょうねん)が射線(しゃせん)から外(はず)れた瞬間(しゅんかん)でもあった。



 ――瞬間(しゅんかん)、綾子(あやこ)は片脚(かたあし)を解(と)き放(はな)つ。



 跪(ひざまず)いた姿勢(しせい)から上体(じょうたい)を大(おお)きく仰(の)け反(ぞ)らせ、天(てん)へと片脚(かたあし)を蹴(け)り上(あ)げる。目(め)を見張(みは)るほどの綾子(あやこ)の柔軟(じゅうなん)な身体(からだ)さばきの前(まえ)に、ボスは発砲(はっぽう)する間(ま)もないまま、拳銃(けんじゅう)を黒(くろ)のミドルヒールに蹴(け)り飛(と)ばされた。――さらにすかさず綾子(あやこ)は身体(からだ)を前転(ぜんてん)。後(うし)ろ手(で)に拘束(こうそく)されているとは思(おも)えない身体(からだ)さばきで、しりもちを着(つ)いたボスに両脚(りょうあし)で飛(と)びかかる。組(く)みもつれながらマット上(じょう)を転(ころ)がる二人(ふたり)。止(と)まる時(とき)には、綾子(あやこ)のふとももはボスの頭(あたま)をとらえ、ヘッドシザースの形(かたち)が組(く)み上(あ)がっていた。

 両腕(りょううで)が後(うし)ろ手(で)のまま、ボスの首(くび)を脚(あし)だけで絞(し)め上(あ)げる綾子(あやこ)。その中(なか)、ボスは自(みずか)らのジャケットの中(なか)へと手(て)をしのばせ――二丁目(ちょうめ)の拳銃(けんじゅう)を取(と)り出(だ)した。しかしそれは、火(ひ)を噴(ふ)くこと無(な)く、ボスの手(て)からこぼれ落(お)ちた。

 ――綾子(あやこ)が首(くび)を折(お)る方(ほう)が早(はや)かったのだ。



 外国人(がいこくじん)ギャング《ベルセルク》のボスが、絶命(ぜつめい)した。



 完全(かんぜん)な静寂(せいじゃく)が訪(おとず)れた地下(ちか)ホール、MMAケージ内(ない)はギャングの男(おとこ)たちの凄惨(せいさん)な死体(したい)が折(お)り重(かさ)なる。綾子(あやこ)は絞(し)めた脚(あし)をようやく解(ほど)くと、強張(こわば)る少年(しょうねん)に顔(かお)を向(む)けて、優(やさ)しく微笑(ほほえ)んだ。

「……ごめんなさいね。怖(こわ)がらせてしまったわね」

 少年(しょうねん)はしりもちを着(つ)いたまま、震(ふる)え、失禁(しっきん)していた。そんな少年(しょうねん)に綾子(あやこ)は、申(もう)し訳(わけ)なさそうに頼(たの)みごとをする。

「お願(ねが)い。手錠(てじょう)の鍵(かぎ)を探(さが)してくれる?」

 まったくの他人(たにん)である自分(じぶん)を助(たす)けに来(き)てくれた、初(はじ)めて会(あ)う大人(おとな)の女性(じょせい)。少年(しょうねん)は彼女(かのじょ)の頼(たの)みに振(ふ)り絞(しぼ)るように立(た)ち上(あ)がり、首(くび)があらぬ方向(ほうこう)に曲(ま)がったボスに近(ちか)づいた。……もう息(いき)はしていない。少年(しょうねん)は恐(おそ)る恐(おそ)る死体(したい)のジャケットを物色(ぶっしょく)すると、それらしい鍵(かぎ)を見(み)つけた。すぐさま綾子(あやこ)の後(うし)ろ手(で)の手錠(てじょう)に差(さ)すと、問題(もんだい)なく外(はず)れた。

「ありがとう」

 綾子(あやこ)は自由(じゆう)になった両手(りょうて)で、真(ま)っ先(さき)に少年(しょうねん)を抱(だ)きしめた。

「……怖(こわ)かったでしょう? でももう大丈夫(だいじょうぶ)よ」

 冷(ひ)え切(き)った小(ちい)さな身体(からだ)を隙間(すきま)無(な)く包(つつ)みながら、言葉(ことば)を続(つづ)ける。




「怖(こわ)い人(ひと)たちはみんな、お姉(ねえ)さんがやっつけたわ」




 少年(しょうねん)の目(め)に、初(はじ)めて涙(なみだ)が浮(う)かんだ。一度(いちど)あふれたら止(と)まらない。ナイフを突(つ)きつけられながらビデオを撮影(さつえい)したときにも、ボスに銃口(じゅうこう)を突(つ)きつけられたときにも流(なが)すことがなかった涙(なみだ)が、今(いま)になって堰(せき)を切(き)ったようにあふれ出(で)る。

 泣(な)きじゃくる少年(しょうねん)を、綾子(あやこ)はいつまでも、優(やさ)しく抱(だ)き続(つづ)けた。



 ギャングたちと女性(じょせい)議員(ぎいん)、20対(たい)1の戦(たたか)いが決着(けっちゃく)した。

 たったひとりの女性(じょせい)議員(ぎいん)に、20人(にん)全員(ぜんいん)、蹴(け)り殺(ころ)された。



 半年(はんとし)後(ご)、とある都内(とない)のホテルのロイヤルホールでは、華(はな)やかなパーティが催(もよお)されていた。天地(てんち)広々(ひろびろ)とした会場(かいじょう)の中(なか)は、若(わか)い女性(じょせい)ばかりで、学生服(がくせいふく)姿(すがた)の少女(しょうじょ)も多(おお)い。彼女(かのじょ)たちが見(み)つめる舞台(ぶたい)中央(ちゅうおう)に、綾子(あやこ)の姿(すがた)があった。

 ――国会議員(こっかいぎいん)・城園(じょうえん)綾子(あやこ)だ。

 半年(はんとし)前(まえ)の事件(じけん)は、都議会(とぎかい)議員(ぎいん)だった綾子(あやこ)を全国区(ぜんこくく)、いや世界(せかい)で有名(ゆうめい)にした。『たったひとりで凶悪(きょうあく)な外国人(がいこくじん)ギャングに立(た)ち向(む)かった女性(じょせい)』。世間(せけん)が彼女(かのじょ)を大(おお)いに支持(しじ)したことで、綾子(あやこ)は国会議員(こっかいぎいん)にまでキャリアアップしたのだ。今日(きょう)のパーティは、先日(せんじつ)の国政選挙(こくせいせんきょ)で参議院(さんぎいん)議員(ぎいん)に当選(とうせん)した綾子(あやこ)を祝(いわ)うためのものである。

 女性(じょせい)たちの歓声(かんせい)に礼(れい)をして応(こた)える綾子(あやこ)に、花束(はなたば)係(かかり)が登壇(とうだん)する。――綾子(あやこ)に救出(きゅうしゅつ)された少年(しょうねん)だ。すっかり顔(かお)の血色(けっしょく)もよくなっている。女性(じょせい)ばかりの空間(くうかん)のせいか、少年(しょうねん)は顔(かお)を真(ま)っ赤(か)にさせながら、綾子(あやこ)に花束(はなたば)を渡(わた)した。

「ありがとう。うれしいわ」

 外国人(がいこくじん)ギャング《ベルセルク》。東京(とうきょう)において最大(さいだい)勢力(せいりょく)だった悪辣(あくらつ)組織(そしき)は、ボスの死後(しご)、いくつものグループに分裂(ぶんれつ)した。以前(いぜん)までは市民(しみん)を恐怖(きょうふ)に陥(おとしい)れていた《ベルセルク》の名前(なまえ)だが、今(いま)となっては『女(おんな)ひとりに敗北(はいぼく)したギャング組織(そしき)』の代名詞(だいめいし)となってしまった。ゆえに分裂(ぶんれつ)したどのグループも《ベルセルク》を名乗(なの)らず、東京(とうきょう)のギャングの歴史(れきし)に幕(まく)を下(お)ろした。分裂(ぶんれつ)したグループも、綾子(あやこ)が提出(ていしゅつ)した新(しん)条例(じょうれい)が可決(かけつ)された結果(けっか)、以前(いぜん)のように暴(あば)れることはできなくなった。稼(かせ)げなくなった東京(とうきょう)に来(く)るものはおらず、次第(しだい)に数(かず)を減(へ)らしていき、ついには凶悪(きょうあく)ギャングは排斥(はいせき)された。



「私(わたし)は、不当(ふとう)な力(ちから)には決(けっ)して屈(くっ)しません。子供(こども)たちの未来(みらい)のために、これからも戦(たたか)い続(つづ)けます」



 綾子(あやこ)のゆかしくも力強(ちからづよ)い演説(えんぜつ)に、女性(じょせい)たちは共鳴(きょうめい)する。

 ロイヤルホールに響(ひび)き渡(わた)る、女性(じょせい)たちの熱(あつ)い拍手(はくしゅ)と歓声(かんせい)。

 女性(じょせい)たちの花(はな)やかな旋風(せんぷう)は、いつまでも吹(ふ)いていた。



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