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逃げた神々と迎撃魔王 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レーナ編

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大切な人

 不気味な狼は全て灰になった。

わたしが炎で焼いたせいもあるけれど、魔物というより魔法生物だった可能性が高い。


 ベルク商会の隊商を守っていた冒険者パーティーと馭者は全滅、『鋼鉄の誓い』もニルトが亡くなり、ベッタも頭に爪の攻撃を受けて、治療が遅かったら死ぬ所だった。


 魔法生物に詳しいものはいなかった。そうした呪いの生物が白昼堂々、領兵隊の駐留する領内にあらわれた衝撃は大きい。


 ベルク商会の会長が乗っている所を襲ったので、商会に恨みがあるものの仕業に見える。そう見せかけただけなのか、実際のところ、狙いは定かではない。


 わたしはニルトの亡骸を、お父さんの眠る山小屋近くの大木へ運んでもらった。


 大事なものをいっぱいくれた人だった。わたしの力をまったく怖れずに、グイグイ迫る愛しい人だった。

 わたしに足りないものを補ってくれた人だった。


 レガトを連れて一緒に来てくれたサンドラさんが、わたしの頭を抱えてくれた。

 いまは少しだけレガトの母から、ニルトの妻として泣かせてもらった。


 宿屋へ戻ると、療養中のベッタに付き添うナークを休ませたとヒルテさんが教えてくれた。


 わたしはレガトを寝かせる。今はもうすっかり泣きやんで大人しくしてくれた。


 色々あって疲れたわたしもレガトの横に眠る。

 気がつくと青い顔をしたアリルがわたし達を見つめていた。


「アリル? こんな夜中にどうしたの?」


 魔法の灯の下なので美しい顔が妙に映える。

 ニルトの事でしきりに謝っていた。

 でもアリルだって、ニルトの大切な妹で悲しい気持ちは同じはずだ。


 守って守られる。冒険者として仲間として当たり前の行動をニルトは取っただけだ。


 それでもアリルは自分が許せないのだろう。

 妹だから余計に··。


「少し外に出ましょうか」


 わたしは夜番をしてくれていたヒルテさんに声をかけ、アリルと外へ出た。

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