表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/356

はじめての野営

 野営の準備は馭者が行う。ずっと馬車に乗って楽だと思いがちだったが、違った。荷馬車は物を運ぶための頑丈な造りをしている分、重量が上がらぬように削れる部分は削っている。

 だから乗り合い馬車と違い揺れが酷く腰に来るのだ。


 おっさんだからと口の悪いサンドラに笑われたが、椅子もクッションも何もないからお尻だって痛くなる。


 これも体験してみると想像以上に来る。鎧のせいで重いのもあるけど、鎧のおかげで痛みが和らいでる気もしていた。


 クロードが色々調べていたが、アルミナタイトは浮遊銀という別名がある。魔法石を人の手でつくり出す素とも言われている代物だ。


 魔法効果の高い銀の代表はミスリルと誰もが挙げるが、アルミナタイトは更に魔法金属としての効果や価値が高い。


 初めて着た頃に比べて身体に馴染み、重さも軽くなった気がする。

今は回復効果もあるんじゃないかなと思う。

 女神様がゴニョゴニョ言っていた部分に、希少鉱石が混じっていたんじゃないかと思う。


 それでも慣れない事で疲れたが、習った通りに野営の支度を手伝う。ガルロや二人の馭者は顔色一つ変えていないので凄いと心から称賛した。


 野営は四台の馬車で四方を囲み、休憩する者と馬を守る。

 本当に大切な荷物は荷台に置かずいつでも持ち出して逃げる事が出来る所に置くのが基本だ。


 護衛対象が人なら中央や火の側に、狙撃をされないように更に盾になるものを置いたり簡易屋根にする。


 ベルク氏が同行する時は小型の乗り合い馬車を使いテントがわりにするそうだ。実地でそうやって学ぶと俺でも覚えるのが早い。

 慣れた斥候がいると、野営地回りの草木を利用して罠まで作る。


 そういう話しを聞くのはいかにも冒険者って感じる。野営する土地も魔物が少ない地や、水場近く守りやすい所、逃げやすい場所、見つかり難い所と、細かくあげるとキリがない。


 キャンプなんてやった事がないが、最近のキャンプはお金を払って用意された場所に設置し、薪やら洗い場やらあるので何か違うと思っていたものだ。


 食事は干し肉に固い黒パン、なんていう事はなくて、よほど暑い地域や気候でもないので初日は柔らかい白パンや具の入ったスープだって飲む。


 遠征になると後半は保存食になって行くが、わざわざ初日から不味いものは食べないそうだ。


 夜の見張りは各パーティーから二名ずつ二交代制となった。馭者の二人は除外、ガルロは俺達のパーティー扱いだ。


 初日なので疲労困憊している者はいない。ただやたら緊張して疲れ気味だったのでラクトが見張り番から外れた。

 リーダーとして俺以上に気を張っていたようだ。


 見張りはガルロ、クォラがはじめに付き、俺とサンドラがその後に決まった。ラクトは情けない所を見せたくないと憤慨していた。


「だったら明日からは一晩中やってもらうよ」


 サンドラがそう言ってけしかけたのでラクトは悔しそうに唸りながら眠りについた。


「以前なら揉めて大変だったんですがね」


 拍子抜けしたのか、クォラがぼやく。ラクトはリーダーとして頑張ろうとしているし、サンドラは口が悪いだけで仲間思いだからリーダーの気負いをほぐそうとしているのかも。


 付き合いは長いようだからよほど嫌ってない限り、協力は惜しまない子らということだろう。


 俺も変な緊張で疲れていたので早々に休む。身体が凝りそうだが、念のため鎧は身につけておいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バナー用
 推理ジャンルも投稿しています。応援よろしくお願いいたします。↓  料理に込められたメッセージとは
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ