『異界の勇者』
奥から職人が出て来てわたしを見た。子供が来るような場所じゃない、っていうのかな?
「その腰の手斧はどこで手に入れたんだ?」
愛想はあまりよくなさそう。この手のおじさん特有の頑固臭がするし。懐かしむのと、探るような眼差しでお父さんの手斧を見る。
「ガンズという名前の職人さんから安く譲ってもらったと言っていました」
「そうか。あいつに可愛らしい娘がいた方が驚きだが」
頑固親父と思ってごめんなさい。
ガンズさんはお父さんがお世話になった鍛冶職人さんでした。
ガンズさんは怒ることもなく『海竜の咆哮』の解散した話しや、お父さんの亡くなった話しはギルドで聞いたのだと話した。
腕ききの職人だったクロードさんがクランに入り帝国へ行ってしまったため、今はキールスで一番の鍛冶職人となったという。
「それで何か買いに来たのか?」
わたしは都市国家群まで来た経緯を簡単に説明する。お父さんの記録はこの地がはじまりだったからだと。
昔からキールスにいるガンズさんなら何か知っていないかなと思った。
「わしも詳しくは知らんよ。ただ『異界の勇者』達がキールスにもやって来てな、自分たち以外におっさんが巻き込まれたのきっともう死んだだの言ってたそうだ」
『異界の勇者』
なんだろう、凄く嫌な感じがする。 勇者という名は金級以上の冒険者が国から英雄の称号を貰うなかに選べる呼び名を示す。
でも、その『異界の勇者』はそういうものとは違う気がした。




