雷撃の恋?
ガウツの住む山小屋はちょっとした砦のようになっていた。二人で住むにしては大きく、水路まで引かれていた。サンドラの話しでは、この塀まである山小屋の砦をガウツ一人で築いたというから驚きだ。
ニルト達は丸太と岩で固められた門から中へと入ってゆく。二人はちょうど山小屋の中にいて、ガウツは狩りに使う道具の手入れをしていた。
顔見知りのウロドの顔を見ると、一瞬表情を明るくする。元々あまり喋らない同士のせいか、二人の会話? はそれだけだった。
ニルトは噂の娘を探してキョロキョロと辺りを見回す。水場近くで洗濯をする幼い女の子がいた。
レーナがニルトの気配に気がつき振り返る。
ニルトはレーナを見て、その場で固まってしまい動けなくなってしまった。
五歳の子供に一目惚れしてしまったなどと言い出せず、ニルトの挙動がおかしくなった。
伝説の男が近くにいたおかげで周りの仲間達は誤解した。
それからというもの、ニルトは暇さえあれば、ガウツの山小屋へと向かうようになる。レーナを掴まえては無駄なおしゃべりをしてからかう。
うざがりながらも、レーナもニルトに会うのを楽しみにしてくれた。




