競争と結果
進む先のダンジョンは各パーティーバラバラだったが、一つのクランとしてみると、目的を持って動いているのがわかる者にはわかる。
『海竜の咆哮』がダンジョン攻略の方針を変え、一つのダンジョンの攻略に集中しようとしている事は、カローデンのダンジョン攻略組にも伝わっていた。
妨害こそしないが、それとなく進捗情報の探りを入れてくる機会が増えた。
他所から来た冒険者達がダンジョンを攻略する事は、いままでないわけじゃない。
未攻略の踏破名誉を他所者に持っていかれるのは嫌なのか、地元組による強化パーティーが組まれてカローデンのギルドは大騒ぎになっていた。
ダンジョン攻略競争が急に始まり、街はお祭り騒ぎになっていた。
すでにメインとなるダンジョン攻略に入っていて情報を沢山得ている地元組と、来てまもなく、攻略の傾向を掴んで枝葉のダンジョンに挑み始めた『海竜の咆哮』とでは、どちらが有利かなんて言うまでもない。
他所者だが、『海竜の咆哮』はカローデンに移籍しているので、ギルド側は実際どちらが攻略しても良かったのだろう。むしろ攻略を怠けていた地元組の尻を叩いてくれて、感謝すらしていた。
結果から言うと、かつてAランクのクランが攻略を断念した『氷の牢獄』ダンジョンは地元組の強化パーティーと『海竜の咆哮』合同で攻略を成した。
ダンジョン名が露骨なように、このダンジョンは浅層から深層まで凍てつく氷の世界が続く。
『黒魔の瞳』で行ったように拠点を築く作戦は、環境が厳しく拠点維持が困難で使えなかった。
地元組が深層攻略に手間取る間に『海竜の咆哮』が追いついた。しかし過酷な環境に『海竜の咆哮』も足止めとなり、ラングが協力体制を築く事をもちかけた。
攻略達成の栄誉は半減するが、カローデンの冒険者が達成した事実は残り続ける。
カローデンの冒険者達は、強化パーティーまで組んだ。同じ理屈で同じギルドの者なのだから、と説得して協力体制を見事に築いてみせた。
俺達の盟主ラングという男の政治力は、カローデンでも飛び抜けている証だった。




