辺境伯の四男坊①
僕とあいつの出会い方は最悪だったと思う。たかが冒険者の要領の良い子供だと、あまり深く考えていなかった。会ってみると、見下して余計に舐めてかかってしまった。
だって見てみろよ、あのふてぶてしい顔。僕に気づいたのに、すぐに無視して。
父上には貴族同士の間では、互いに駆け引きする中で、いかに相手を挑発して冷静さを失わせるかが肝要だと教わった。
あれがあいつの挑発だとわかっていたのに、乗せられた僕が悪い。むしろ貴族でもないのに、素でやってるあいつに感心するくらいだ。
だから初めの挨拶は横柄で、不愉快極まりない言い方になってしまった。
いや、でもあれは高圧的になるよ。僕だって駄目だってわかってるんだ。僕と変わらない年齢で、あいつらは冒険者らしく振る舞っていた。
経験の差というやつなのか単にあいつの性格が歪んでいるのか、笑い者にされても大人しく引き返すしか出来なかったのが悔しい。
酒場で騒いだ所で不敬罪だとあいつらを縛り上げれば、僕よりも父上の評判が悪くなる。冷静になれば僕だってわかっているさ。
僕個人が何かを成したわけじゃない事くらい。辺境伯という父の立場を利用して、やってる事は養殖寄生貴族と変わらない。同年代の勢いのあるパーティーに入る事で、空っぽの自分の名声を高めたいだけだ。
僕があいつの立場ならば、そりゃ即効断るよ。あの時はわからなかったけれど、『星竜の翼』のメンバーはみんな何かの理由で親を失っていた。
レガトにはまだ母親がいたようだったが、子供一人放置してるようではいないに等しいと思う。
そんな彼らの所へ、両親に甘やかされて育った高慢な貴族の息子が、パーティーに入れろなんて言えば反感をくらうに決まっていた。
やり直せるなら、あの時の自分をやり直したいものだ。やり直すというか叶うならば、なかった事にして欲しい。
だから次の誘いは、側仕えのメイドに頼んで手紙を渡してもらった。僕がのうのうと出てゆくのは、きちんと段階を踏んで招待した後でいい。
最初の印象が悪くて断られるかもしれないが、それならそれで諦めがつく。逆にきちんとする事で、見直してくれるかもしれない可能性もあると想うんだ。
それにしても何故か来ない。日にちは一応指定してあるけれど、都合の良い日にして構わないから知らせてくれるように頼んであったはずだ。
指定した日にちの二日目を過ぎた所で、おかしいと思い確認した所、レガトのやつはとっくに邸までは来ていた。
門番兵に追い払われたらしいが、招待状を見せれば例え平民の子供でも関係なく入れたはずだ。
何なのだ、あいつは。例え領主じゃなくても、辺境伯の息子なら友好を結びたいやつなど沢山いるというのに。
本編は完結しております。物語は完結しておりますが、おまけの番外編を第八章として投稿しております。
辺境伯の四男坊をお楽しみください。
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