領主邸からの使い
最近プルプルするの流行ってるのか、僕らに絡んで来た貴族の少年もプルプルしていた。
副ギルドマスターもやってたからね。
お酒は飲んでないけど、酒の席にやって来て無礼だなんだと喚かれても、冒険者のおっちゃんらが楽しいだけだよ。
子供達同士で喧嘩するならば、表でやれと追い出されそうだ。仲間達は心配そうな表情を浮かべる。ま、相手にしなければ問題はないよ。
その僕達に全く相手にされず、冒険者達からは冷やかされて、貴族の子供は顔を真っ赤にしながら喚く。
騎士達が見兼ねて少年を引きずるように去って行く。
「何だったのあれ」
「さあ?」
囃し立てるベテラン冒険者達の言葉から、辺境伯の四男とわかる。
ぼんくら君の話しは、前にクロードさんから聞いた気がする。
ある意味、僕らの出資者でもあるね。
貴族の子供と言っても、四男にもなると大した教育受けられないのかな?
あれではズリッチ達の弟妹より酷い。すっかり忘れていたけど、わがままな所が共通するんだろう。
「レガトってたまにふてぶてしいよね」
楽しそうにハープに言われた。なんかみんなそれに頷く。
いや貴族を毛嫌いしているわけじゃないけどさ、権力を笠に着て好き勝手にやる輩が嫌いなだけだ。
自分の実力でもない権力なら尚更だよ。
興が冷めたので、今日はお開きになった。
みんなお腹はいっぱい食べた後なので、丁度良かった。
明日も休養して明後日からはまた依頼を頑張ろうと、最後は冒険者らしく誓って別れた。
翌朝、宿屋で眠る僕を、部屋の外から起こす声がした。今日は休みにしたはずだから仲間達じゃない。
なんか領主邸からの使いらしい。あの貴族の子供、何かやらかしたのかもしれない。
呼び出しを受けるような事に心当たりはない。ゴブリンの巣の件も大事にしない用に約束をしたはずだからね。
お使いらしきメイドさんからは、領主邸の入邸許可証をもらう。
おぉ、本物のメイドさんだよ、と偽物の姿と比べてしまう。
落ち着いていて、冒険者の子供相手にも凄く丁寧だった。
いっぺんあの偽メイドに見せて、立ち振る舞いから勉強させたいくらいだよ。
僕が領主邸に行かないと彼女が罰せられそうだな。仕方なく僕はいつものボロをまとい、領主邸のある北側の地区へ向かうことにした。
ちょうどいいから領主邸で、北側の森に入る許可も貰おうと思った。




