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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レガト編

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オークを一撃

「おぉ、これは軽いよ」


 リザードンと一つ目竜の皮を使って出来たレザーメイルは、苔のような色だが、森で身に着けるには丁度いい色合いだった。


 リザードンは水辺に棲むケンタウロスのトカゲ版と言えばわかるだろうか。リザードマンやナーガ族と間違えられるが両者よりも凶暴で力強い種族だ。


 衣服の上から着ても少しひんやりしているらしい。

 何気に暑くない、ムレない、虫がこないというのは一番の利点で、その次に大事なのが軽いことだ。

 防御の為に移動だけでくたびれてしまうのは、冒険者的に失敗しやすい。


「見て、ほらこれ矢も刺さらないよ」


 ホープがリモニカから借りた矢を鎧に刺した。少し矢が沈むだけで傷もつかない。

 地竜系の特徴だからか、衝撃も多少吸収するのかもしれない。


 リモニカは少し悔しかったのか、弓に矢をつがえてホープを狙う。

 涙目になってホープが謝るが、弓の威力が通用するかどうかは気になった。


「遊ぶなら表に出てやれ。」


 クロードが呆れて叱る。二人はすぐに謝る。


「実際どれくらい強いの?」


 僕のかわりにハープが尋ねてくれた。


「上限はわからん。ただ力や衝撃が上回ると破れるのは確かだ。

加工はまた別なやり方があるがな」


 加工に関しては職人の技術なので簡単に教えるものでもないだろう。

 少なくともオークやトロールでも傷はつけられないそうだ。


「ただ身体は別だから気をつけろよ?」


 鎧は無事でも押されて圧迫され、ダメージを受ける。それでもまともに喰らうよりマシだよね。


 クロードのおっちゃんは、武装以外の料金は中々受け取ってくれなかった。

 奥さんに怒られない? と聞くと呻いていたので、本来の価値から比べて少ないけど手持ちの予算全部渡してきた。


 さっそく僕らは仕度を整え森へと向かう。今からでも常設の採取くらいはこなせそうだ。

 前よりもかなり装備が動きやすくなったので、足取りも軽やかだった。


「オークがいても戦う。ただしゴブリンが十匹以下の場合だ」


 数が多いとオークばかり気にしていられず、不意をつかれるおそれがある。


「レガトは装備そのままだけどいいの?」


「僕のマントは特殊だからね」


 見かけはボロだけど、性能は高いマントなのだ。


「みんな静かに」


 警戒をしていたリモニカが、離れた所の魔物の姿を捉えた。


「オークにゴブリン七匹。この距離ならゴブリンからになるよ」


「細かな判断は任せる。僕は全部ゴブリンを狙うから二人はオークの接近に気をつけて動いてくれ」


 いつも通り陣を組む。ただ武装が変わったので、ハープが前にホープがその後ろにつく。


 リモニカがオークを狙う射線を塞がないように、僕とホープは注意して動いた。


 ブモーっと鼻息荒くオークが突進してくるが、速さはゴブリンとさほど変わらない。

 近くに来る前に、僕とリモニカで四匹のゴブリンを仕留めた。


 そしてリモニカの必中距離にオークが入る。放たれた矢はオークの喉元へ突き刺さる。

 オークは血を吹き出しながら怒るが、呼吸がうまく出来ずに苦しんで倒れこんだ。


 残ったゴブリンを片付ける。ようやくリモニカはフゥッと深く息をはいた。


「あの距離でならやれそうだね」


 いまのリモニカの力では、十Mと言ったところか。


「そっちはどうだった。」


「少し重いけど、鎧が軽くなったから問題ないよ」


 ハープもあとは慣れだ。軽さと、防御への安心の度合いもあるよね。

 僕達は急いでオークとゴブリンの解体を行う。ゴブリンと違ってオークは素材のお宝の山だ。

 オークの毛皮に牙や肝、そるはに脂肪など素材がかなり有用性が高い。

 ただ持ち運びに難があるのでたくさんは狩れない。


 オークの集落を潰す時は、荷物の運び手や荷車を用意しておけって言われるのは有名な例えだ。

一M(一メド) 一メートルくらい。


オークの素材 


毛皮は防寒服やベッドの敷布など。

牙は召喚用素材。

肝は薬用などに。

脂肪はランプなどの燃料に。

○丸は18禁の薬用なアレ。

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