巡回兵の駐屯地
トールドの砦町の巡回兵舎のある駐屯地は街の防衛のためではなく、新米兵の訓練施設の意味合いが強い施設だった。
フィールド型ダンジョンが近くにある所は集団戦の演習するのに向いていて、名のある騎士団や傭兵団も利用する事が多い。
トールドの砦町も、元々帝国の中央貴族が私兵を鍛えるために築いたとされている町だ。
戦士団や傭兵団は、クランの戦闘特化型に近く、もとが冒険者のために実戦慣れして強い。
しかし領兵団や騎士団などの訓練兵上がりは、技量は高いが実戦慣れしていないためお飾り扱いされやすい。
そのため資金に余裕がある大貴族などは、こうしてダンジョンを利用して兵を鍛える事が多い。
自領に都合の良いダンジョンがある領主が軍が強く重宝されるのも、そういった事情からだといえた。
駐屯地は荒れていた。
「ドラゴンにでも襲われたのかねぇ」
宿舎は半壊していたが、巡回兵の血の跡など残っていないので逃げ出したのかと思った。
「おそらく大型の魔物が現れ対処出来ず放棄した後に、盗賊団が棲み着いたのだろうな」
ラクトがいくつか残る足跡から想定する。
足跡の大きさからサンドラの感想が当たっていそうだ。
寝泊まりする部分は残っていたので盗賊には居心地が良かったのか、無事な部分が別な意味で荒れていた。
「人はいないみたいね。
お宝の見張り番とか置かないの?」
鍵付きの部屋は隊長格の部屋で盗賊も頭目が使っていたと思われた。
盗賊の中に身なりのいいのがいたので回収しておいた鍵がそれっぽかった。
逃げ出した盗賊がいないか警戒にはDランクパーティーがあたる。
ラクトは俺から鍵を受け取り、扉を開けた。
人がいた。
かなり幼い女の子だ。
両手足を縛られ、目隠しと猿轡をされている。
「誘拐されたみたいだな。サンドラ」
ラクトがそう言うとサンドラは少しムッとしていたが、近くの棚から清潔そうな衣服を取って女の子にかける。
意識を失っているが、まだ生きている。
人質として有効なのか、凌辱された感じはないとサンドラが嫌そうに告げた。
逃げ出した盗賊は自分達だけではここを守れないと考えて別な地へ逃げたのだろう。
人質については手がかりはまるでなかった。
盗賊の頭目の隠していたお宝はベッドの下に床下収納があり、金貨の入った袋や宝石類の入った小箱があったので回収する。
人質にされていた女の子に関してはサンドラが拘束を解いていた。
衣服はこの娘が着ていたらしいものが見つかったので身につけさせる。
薬か昏睡の魔法かわからないが女の子は目を覚まさないので、仕方なさそうにサンドラが背負って皆の所へと戻った。




