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BLUE LIMB  作者: 宇宙非公式
Earthquake
31/32

初恋

〔蒼〕

「お疲れ様」

「そういえば、蒼威さんもなんか疲れてるって感じじゃない?」

「まあ、ちょっとトラブルがあって走ったからね」

 マネージャーたるもの、アーティストに心配をかけてはならない。それが僕の信条だった。

「そういえば、途中で『しまった!』って顔してたけど、どうしたの?」

 九流は少し考える仕草をする。

「私の恋バナを聞いてくれる?」

「一応聞いておく」

 葵と電話したときも、同じような言葉を言った気がする。

「私の初恋がね、ここのあたりだったんだ。」

「へえ、土地に恋したのかい?」

「いやいや、初恋したのが、ここの土地でってことだよ。」

 そういえば、ここの会場は最近できたもので、昔はなかった。

「で、その初恋の人が蒼威さんと一緒の名前なんだよ」

 僕の知り合いの中で、『あおい』は後3人いらっしゃる。

「もしかして、否定はしないけど同性愛者?」

「いや、違うけど。」

「漢字はどう書くかわかる?」

 九流は、白い王の石と、生を空中に書いた。

 その漢字のあおいさんは、1人しか知らなかった。

「中学生の頃からずっと好きなんだ。」

「健気だね」

 最近、3人でまた集まって、碧生のことを思い出すことが増えた。その度に心臓が揺れ、額を汗が走る。

「ところで、一回スルーしたけど、話逸らしたよね。」

 少し間をおいて、九流が人差し指を当て、鼻に当てた。

「秘密だからね。私、ちょっと特別な力があるの。」

「どんな?」

「着地したら、地震が起きる、ってやつ。」

 葵との電話で、「自信はないな」と葵が言っていたのを思い出す。

「いや、地震はあるよ」

 誰にも聞こえないよう、暗闇に溶けるように1人、静かに呟いた。地震といえばで、純人さんを思い出す。そういえば、無くした「おまもり」も落ちていたので無事回収することができた。おまけと言えば失礼だが、どんな反応をしただろうと青藺を思い浮かべた。

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