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BLUE LIMB  作者: 宇宙非公式
Earthquake
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Chase Venus

できれば前作のghostを読んでいただければより楽しめると思います。玲くんとか,現が誰なのか,などなど

 スマートフォンを開く。通知が来ていた。また,新しい仕事の依頼だ。

 俺の親は子供の頃に居なくなっており,自分で稼ぐしかなかった。義務教育を終えていなかった頃にできた仕事は違法な仕事で,結局殺し屋に落ち着いた。

「どうした,現?」

 今,目の前にいる青年はれいだ。俺と同い年だが,なぜか高校生から変わっていないように見える。


 彼とはもう何年も共に過ごしたはずだが,その内容はなかなか思い出せなかった。

「いや,ちょっと仕事でな。」

「大変だなぁ」「そういや,玲は仕事どうすんだ?」「俺はいいんだよ。それより,いい加減思い出せよ。」

 玲は真摯な眼差しを俺に向けた。何を思い出せと言うのだろうか。小学校六年生の時の担任が「金の切れ目が縁の切れ目。金を貸すよかあげちまえ」をモットーとしており,俺もその人に感化されているから,金を貸すことはなかったはずだ。というか,貸す金もなかったはずだ。


 もう一度スマホを開き,仕事のターゲットを確認する。名前は「斗南 九流」らしい。調べると,顔立ちの整った歌手の画像が出てきた。どうやら芸名のようだが,本名はどうでもよかった。

スマートフォンを閉じる。俺はが仕事をした相手は,最も親密な人以外,誰からも認知されなくなってしまう。それは“誰からも”と呼ばないのかもしれないが,言葉の綾を気にするほど元気ではなかった。

玲が唐突に,「現,」と切羽詰まった声で話しかけてきた。玲の方を見ると,後ろに注目してほしいことを指で示していた。後ろを向くと,そこにはただ先程歩いた道があるだけだ。強いて言えば,少し遠くに,十字路がある。すると玲が,「引っかかってやんの」とわざと小馬鹿にした声で笑った。

「以外と引っかかるもんだよ,これ」本心のつもりだったが,例は真面目にそれを受け取らなかった。

そういえば,と俺はまたスマートフォンを取り出し,電話をかける。相手は「枯野三水」という画家だ。仕事が決まった時はその相手の自画像のようなものを三水に書いてもらっている。なぜかはとうに忘れてしまった。

しかし,再び見るとその女性の外見は美しく整っており,その類に疎い俺もそうであると分かるほどだった。巷では「女神」と呼ばれているらしい。女神はたいてい数千歳であるからその渾名は失礼な気がするのだが。

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