表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLUE LIMB  作者: 宇宙非公式
ghost
16/32

Ninth reed

「分かった。もし伊藤の姉がいなかったら、急いで戻ってこい」

 分かった。「さぁ行ってこい、名簿番号九番」そんな囚人番号みたいな。

「なんだよ、弱々しいなあ」現は呆れた顔で言った。

 震える手を押さえ、チャイムを押す。

 現が少し遠くで見守っていた。ドアが開く。出たのは伊藤だった。

 伊藤は少しきょろきょろする。そのうちに、家の中に入る。後ろで伊藤が舌打ちをし、「故障かなぁ」と呟いた。バレてはいないようだ。一応、静かに家の中を物色する。

 一般的な家だった。玄関を抜けると、リビングに繋がる廊下と、2階に続く階段があった。

 その階段を登り、伊藤の姉の部屋を目指す。

 幸いなことに、ドアには“学目”や“菟木つき”と書いてある看板のようなものがあり、消去法で菟木のドアの方を選んだ。

 なるほど、伊藤の姉は伊藤 菟木というのか。ドアノブに手をかけ、あれ?俺、見える人から見たら不審者じゃね?と気づいた頃にはもう遅かった。


 後ろで菟木が悲鳴をあげる。学目は急いで駆け上ってくるが、彼には俺が見えていない。「どうした姉さん!」

「いや、そこに男の子がいるじゃない!」「い、いないよ?」

そこで菟木はハッとした顔をしだ。

「ごめん、気のせいだった」「なんだよー」

学目は姉の前ではあのキャラを真似しないらしい。

学目が去ると、菟木は

「で、君はインビジブル?」と言った。

いや、どちらかというとゴーストな。

「そっか。君もこの現象の被害者なのか」ああ。“も”ってことは他にもいるんだな。

「私の知り合いがね」

 菟木は少し微笑みを湛えている。

「君は、もう三水さんにはあった?」いいや。「なら会ってきなよ。いいヒントをもらえると思うよ」

 俺はお前なら何か知ってると思ったから来たんだが?

「うーん。強いて言えばこの現象が起こるのは、ミミズ事件の被害者だってことだけかな」

 本当にそれだけか?

「あとは、その親友が現象に耐性があるってことくらいかな」

 隠しているじゃあないか。

「さあ、全部話したから帰った帰った」

 俺は踵を返しつつ、お礼を言った。菟玖木が帰り際に

「透明人間だかなんだか知らないけど、不法侵入は違法だよー」

と言ってきたから、俺はお化けな、と言い返してやった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ