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BLUE LIMB  作者: 宇宙非公式
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開放

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【名詞】窓,(パソコンなどの)ウィンドウ,

    一瞬の時間


〔青〕

 窓を開ける。

風は最早夜の色に染まっており、僕の心をただ虚しくしただけだった。僕は窓を開けることに何を期待していたのだろう。残ったのは後味の悪さだけだった。

 他の2人を起こさないように、そっと動く。なぜ、僕たちはこんな目に遭わなければならないのか。段々と腹の内側で何か熱いものが溜まり、息苦しくなる感覚がする。最近よく起こるのだ。苦しくて、つらい。

 急に、げっそりと痩せた旧友を思い出す。途端に寂しくなり、悲しみが頬を伝った。彼女を救う方法は自分にはなかった。それが逆に、彼女の死という事実を自分にとって重いものにしていた。

 なぜ人は死ななければならないのか。考えたところで、「増えすぎると困るから」という正論が突きつけられ、さらに悲しくなるだけだ。自分にできたこと、やりたかったことは彼女を救えない。


 何を考えても今は感傷に浸ってしまう。だめだ。そろそろ寝よう。窓から吹く風が鬱陶しくて、閉めようと手を伸ばす。反対側の手で,最後の雫を拭った。手が自然と濡れ、風に当たって冷たくなる。しかし、余計に濡れた部分が熱くなった気がした。

 窓の奥には、歩く男がいた。身長から察するに、同年代かもしれない。誰かと話している様子が窺える。しかし、映るのは1人だった。どこか、神秘的な気もするし、ただ気が狂った男のように見える。しかし、「生きている」かと言われると、自信がないほど音が静かで、生気がなかった。

 白昼夢でも見ているのかもしれない。ただ、今は夜だ。

 窓を閉めようとしたところで、隣で寝ていた蒼威が起き上がる。

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