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挫と定
あまりにも、挫の前世の幼少期が長くなってしまった。
だが幼馴染の定のことは書かなければならない。
駄菓子屋の老婆は救急への通報を妨げた件で(形式的にではあるが)当局から譴責され、挫の出入禁止は解かざるを得なくなった。
同時に、挫を以前より甚だしく悪んだ。
このような小事件は枚挙に暇がないので悉くは書かないが。
忌避と、ある種の畏怖を
受けるようになった挫。
心を許せるのは定だけだった。
挫は定が犬の世話に忙しいことと、
挫よりも貧しいことを気にかけていた。
貝分という姓から
連想されるほどには
定の家庭は貧しくはなかったが。
事務吏員の共働き家庭の挫と、
大通りを隔てた
定が住む集合住宅の生活とには差があった。
ある日。挫は一計を案じて
定のために菓子を購入するが、
それが定との訣別の原因となる。
本編を先に書いて、前世は別作品にすべきだったのか?