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綺麗な女の人が降ってきた

作者: Penguin

 突然、祖父から古くなったもののまだ運営できるはずだからと譲られた葉桜寮という施設を春に生徒を迎えるために引っ越しした次の日、庭の掃除をしていた卯月円は何げなく空を見ると何かが降ってきた。


「は?」


 人生でおそらく最も気の抜けた声が出た。仕方ないことだと思う。なぜなら、目の前に突然長身で黒髪ロングの前髪が姫カットにしているカッコいい系の美女がアメコミヒーローばりの完璧なヒーロー着地をして降ってきたんだから。よっぽど高いところから降りてきたのか地面にはくっきりと彼女の足跡がついていた。


「あ、あの大丈夫ですか?」


 私は滅多に驚かないし動じないタイプだと周りの人に良く言われるし、自分でもそういった感情の機微が乏しいタイプだと思っていたけど、この時はあまりにも意味不明な状況に間抜けな顔をしながら、とりあえず高いところから降りてきた女の人の安否確認?しかできなかった。


「空から当然失礼した。気遣い感謝する、私は大丈夫だ。それより申し訳ないのだが、ここはどこだろうか。次元の狭間に落ちてしまった故、ここがどこか分からんのだ。」


 言葉をかけた女の人はとりあえず大丈夫らしいものの、次元の狭間?とかいうよく分かんない言葉を行ってきた。とりあえず、話ができることも分かったこともあり、ちょっと落ち着いてきた私は、ここでしっかりと彼女の顔を見た。


 彼女の顔は日本人っぽい顔ではなく、外国の人っぽいメリハリがあるものすごい綺麗な顔をしていた。ハーフの方なのかな?と考えこんでしまったために黙り込んでしまった私の様子に焦ったような困ったような表情を浮かべる彼女を見て、慌てて口を開いた。


「ええっと、ここは私が経営?運営している寮の葉桜寮っていう寮です。近くに高校があるんですけどそこの生徒を迎える予定なんです。まあ、まだ管理人になったばかりだし、今は住んでいる人もいなくて掃除しているとこだったんですけどね。」


「葉桜寮?聞いたことない場所だな...その、すまないがこの国の名前を教えてくれないだろうか。」


「日本ですけど...」


 空から降ってきた不思議な美女はどうも私の言うことが受け入れがたかったのか黙り込んでしまった。もしかして、次元の何たらみたいなのが彼女なりのジョークなんかではなくて本当でもしかしてこの人地球人じゃない宇宙人or異世界人なんじゃなんて頭によぎっていると声をかけられた。


「す、すまないのだが...この星の名前を教えてくれないだろうか。」


「地球っていう星です。そのずっと立ち話もなんですから寮の中でゆっくり話しませんか?それに名前をいうのを忘れてましたね。私の名前は、卯月円です。あなたは?」


 彼女の質問から、おそらく私の頭によぎったことが本当にそうなんじゃないかという気持ちが強まった。それと同時に、もし仮説が正しいなら、彼女は何もわからない状態で身一つで知らない土地に来たことになる。それってすごく心細いことだと思った私は彼女をどうにかして助けてあげようと心に決めた。


「卯月円殿だな。私の名前はアタラだ。お言葉に甘えさせていただく。どうもここは私の知らない土地らしいのだ。まだまだ知りたいことがあるのだがよろしいだろうか。」


「アタラさんですね。私のことは円でかまいませんよ。あと、いくらでも質問してくれてかまいませんよ。」


 寮の中の私の部屋である寮母室にアタラさんを招き入れお茶と軽食を出し、対面に向かって座りあってから、私は単刀直入に彼女へ質問することにした。


「その、間違っていたら笑い飛ばしてほしいんですけど、アタラさんはもしかして地球以外の星からきてしまった異星人というか異世界人なんじゃないかと思うんですけど、違いますか?」


「私も確証は持てないがそんな気がしている。少なくとも私はこの星の生まれではないし、さきほど円殿が述べてくれた国の名前も聞いたことがない。幸い言葉はなぜか通じているが...」


「やっぱり。その、アタラさん。アタラさんが良ければなんですけど、おそらくアタラさんは自分の世界への帰り方とかわからないんですよね。良かったらですけど、私のお手伝いさんとしてここに住んでみませんか?」


 私の提案に驚いた表情をみせた彼女は私の提案を申し訳ないが有り難いとものすごく喜んでくれた。

 

 きっとこの世界のことが何もわからない彼女と暮らすことは簡単なことではないと思うけど、なぜだか私の心はこれからの生活がきっと楽しくなる気がしてワクワクしっぱなしだ。


「アタラさん、寮に生徒も入ってくるし大変だとは思いますが、これからよろしくお願いしますね。」


「これから世話になる円殿。困ったことがあれば私を頼ってくれ。体力と力には自信がある。」

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