第3話
で、フィールドみたいなとこに来て真っ先にアイテムボックスの中を見た。
リストが目の前に液晶みたいに現れたのはビックリした。
ゲームかよ!
まぁわかりやすさ満点ですけど!?
そして餞別とやら。
「…うわーお。」
僅かって言わなかった?
結構埋まってるよ?
最強の杖みたいなのとか最強の片手剣みたいなのとか結構入ってるよ?
ラストエリクサー99個とか入ってるよ??
こわい。
「さてと。これからどこ行こう?」
一先ずアイテムボックスの中身は置いておいて、周囲を見回す。
私が立っているのはご親切にも街道ど真ん中。
しかし人通りは幸いにも全く無くて、私は気兼ねなくおのぼりさんを発揮した。
右見ても道、左見ても道。
いや、右は少し曲がった先で森に繋がっている。
平原を長々歩くよりは森の向こうを見てから進路を決めても問題ないだろう。
食事はアイテムボックスに入ってるのをさっき見たし、どうせこの先は自由だ。
「自由だー!!」
ちょっと言ってみたかった。
満足。
むふーんと息を吐いて私は意気揚々と右の道を進んだ。
しばらく道なりに進む。
すると森の入り口に差し掛かり、木々の間から何かが飛び出してきた。
「クルル…!」
なんだこいつ。
なんか草みたいな、花みたいな。
顔がついてる。
もしかしてモンスターとかってやつ?
やっぱりいるんだ。
物騒だなぁ。
「クルルァー!」
雑草Aは仲間を呼んだ!
マジでいっぱい来た!!
嘘じゃん。
「まぁ初めての戦闘とかやってみるしかなさそう?」
逃げてもこんだけ居たんじゃ逃げ切れるかわかんないし。
私は例の聖剣を呼び出すと軽く振って敵に構えた。
それにしても軽い。
これで本当に斬れるんだろうか?
まぁ聖剣っていうくらいだし大丈夫だろう。
大天使のお古だし。
まずは先手。
私は正面の敵に駆け寄って剣を斜めに振り下ろした。
敵は成す術もなく切り裂かれ、一撃で光の粒に。
マジかすごいよく斬れる。
ダイヤモンドシャープナー出番なし!
コロンと敵が居たところに何かが落ちたが、拾う間もなく左右から敵が私目掛けて飛び込んで来たので私はすぐに後方に下がる。
あと4体。
私は剣を構えながら距離を保った。
そうだ、魔法使ってみたい。
でもどうやって使うんだろう?
呪文とか何も知らないし…。
とりあえずイメージで?
「うーん……凍りつけ?」
そう呟いたらほわっと体が暖かくなる感じがした。
直後、敵の1匹が氷付けに。
何これ楽しい。
暖かいのも気持ちがいいし。
「じゃあじゃあ、フレイムジャベリン!」
炎の槍が敵を貫く様をイメージしてみた。
しかし体は暖かくなるものの発動しない。
あれダメかな?
そう思ったけど頭上がなんかチリチリ熱くて、見上げたらそこには炎の槍が浮いていた。
なんかイメージと違う。
とりあえず消火しないと木に燃え移りそうだね!?
「あー、えー、えーと……キャンセル!キャンセル!」
慌ててキャンセルを繰り返すと炎の槍はポシュンと消えた。
よかったセーフ。
うーん、じゃあどうしよ。
イメージが伝わらなかったってこと?
そういえば大天使が聖剣の説明してるときに精霊主がなんとかって言ったな。
ってことは精霊がいるってことか。
魔法を発動するときにはその属性の精霊の力を借りる、とかよくある話だし。
そうだとしたら精霊に伝わるように呪文唱えなきゃってこと?
確かにフレイムジャベリンじゃただの炎の槍だもんなぁ。
よし、じゃあこうしよう。
「空より出でて我が敵を貫け!フレイムジャベリン!」
そう詠唱すると空中に炎の槍が現れ、イメージ通りに敵の1体を貫いた。
なるほど。
しかしこの詠唱なかなか恥ずかしいね?
まぁ雰囲気って大事だから…うん…。
そんなことより残り2体です。
範囲攻撃なんてしてみちゃおっかなー…。
にんまり笑うとモンスターたちはプルプル震え出した。
失礼な。
「我に仇為す愚かなる者を地獄の業火で焼き尽くせ!ヘルブレイズ!」
魔法を発動すると、森の一帯が魔法の炎に包まれた。
…マジか。
あ、私に敵意持ってる相手みたいに限定したからかな?
それで森のモンスターはほぼ確?
わぁ怖い。
その中でも幸いだったのは魔法の炎が森に燃え移らないという素晴らしい性能を発揮してくれたことだ。
魔法って便利。
モンスターは残らず灰となり、光の粒となった。
そしてコロコロと転がり落ちる手のひらサイズのガラス玉のようなもの。
なんだこれ。
拾い上げて見ると、黄色い濁ったとんぼ玉みたいな。
いやあそこまでくっきりじゃないか。
辛うじて透けてるのがわかる。
なんかよくわかんないけどキラキラ綺麗だから拾っておこうかな。
他のモンスターの分も魔法で集められないかな?
「うーん…我が元に集え、アポート。」
なーんて半分冗談でやってみたら足元にずももとどこから現れたのか玉コロが山になった。
ばばば万能ーッ!
なんかすごい多いし色も黄とか緑とか青とか色々あったり、大きさもまちまちだけどみんなアイテムボックスに入れちゃえ。
せっせ。
リストを開いて名前を見ると、『土の魔石(小)』とか『風の魔石(大)』とか書いてある。
これによるとざっくり、魔石にはそれぞれ属性があり、大きさによって大中小と分けられる。
黄色が土、緑が風、青が水。
この様子だと赤が火で、後はまぁ何があるのか知らないけどその属性に見合った色なんだろう。
使い道は謎に包まれている。
とりあえず私は町に着いて常識を学んだ方がいい。
出来れば早い内に。
私は考え事はまとめて後回しにして、森の奥へと道なりに進んだ。