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第27話


 あれからリーバと別れ、私たちは城に戻った。

 帰ったら爺やと国王様が泣きながらロリーナの朝帰りについて嘆いていたけど鬱陶しかったので二人で図書室に逃げた。

 図書室に来てまでうるさかったので伝家の宝刀「図書室では静かに」を使って閉め出した。

 図書室のマナーを考えた人は偉いと思いますね。

 私はこれからロリーナに手取り足取り常識や言語を学ぶんだ!

 まったく。

 

 それはともかく、一晩外で狩りをしたり野宿をして疲れただろうロリーナの休息も兼ねて今日は一日城にいることにしようと計画を立てていたのでこれ幸いと図書室に来たわけである。

 これで少しは常識的な行動ができるんでは!?

 

 「ヒノメ様、まずは何から始めましょうか?」

 「そうねー、じゃあとりあえずこの世界の成り立ちから教えてもらおうかなぁ。」

 

 そう言うとロリーナはわかりましたと頷いて、本棚から一冊の本を取り出し持ってきてテーブルに広げた。

 見やすいように隣に座ってくれるの大変可愛いので早速抱き締めたいけど我慢します。

 

 説明回が今、始まる!

 

 「この世界、リーンヴェルは女神クレアネージュが御創りになられたとされています。太古の昔、女神は大地と海と空を創造し、次に精霊の主である精霊主様を創造されました。」

 

 精霊主は各属性毎に一人ずつ。

 女神は初めに光の精霊主ブリガンティア、闇の精霊主フェブルウスを創り、二人に付き従うよう炎の精霊主ヴァルカス、水の精霊主ナイアス、風の精霊主アネモス、地の精霊主ニスを創った。

 精霊主たちは自らの眷属である精霊を作り出し、世界を魔素で満たした。

 そして最後に、光の精霊主ブリガンティアと闇の精霊主フェブルウスは女神の力を借りて二つの種族を創った。

 それが人族と魔族である。

 

 「どちらの精霊主様がどちらの種族を創造されたかは伝えられていません。二人の精霊主様は男女で、人族と魔族は兄弟であると主張する方もいます。真偽のほどはわかりませんが、我が国では千年前から魔族と友誼を結ぶ方針を採っています。」

 

 千年前、人族と魔族は長く続いた人魔戦争を終結させた。

 魔族の王、星崩の大魔王ルスダス=エストレラは勇者トーマとの死闘の末に敗れ、多くの魔族が姿を消した。

 時の賢王イグリル=ロワ=ヴァリエントはそれ以上の犠牲を望まず、生き残った魔族と停戦する事を選んだという。

 以来、魔族は深い森の中に隠れ住み、現在ではその存在を確認することは稀となった。

 

 …というのが人間界に伝わっている話らしい。

 

 実際にはルスダスは存命だし、バリバリ元気で私に惜しみ無さすぎる援助をしている。

 とんでもない発明品とか技術発展目覚ましい魔界を統べてるんだからそりゃあ歴史の改竄も御手の物だろう。

 工作員もたくさんいるみたいだし。

 ただわからないのは、どうしてわざわざ自分を悪者にしたかってことだ。

 

 まぁ、実際の歴史がどうだったかなんて私にはわからないし、何処までが改竄されてるのかもいまいち。

 聞いてから思ったけどこの辺は魔界で調べた方が良さそうだ。

 それでも社会常識としては役に立つので聞いて良かった。

 

 次。

 

 「魔石って何に使うの?」

 「魔石には魔力が内包されていて、主に魔道具のエネルギー源に使用されます。人間が魔法を使う場合自分の魔力を使用するのですが、魔道具にはその魔力を供給する物が必要です。そこで魔石を使用するのです。」

 「へー、じゃあ魔道具って結構普及してる?」

 「そうですね、灯りをつけるカンテラや水を出すための水袋など、簡単な魔道具でしたら人間にも作れますから。ただ、魔法の威力を高める杖や属性を付与する魔剣、複雑な製法とされるアイテムポーチなどは、エルフやドワーフの方にお願いしなくてはなりませんから貴重な品になります。」

 

 アイテムポーチですら貴重。

 なんかもう私やらかしすぎてて驚かれなくなってるんじゃないだろうか。

 

 「ヒノメ様は勇者様ですし、大天使様の御加護を授かっていらっしゃいますから。」

 

 ほらね!!

 いっそ開き直ろうかな!?

 流通にだけ気をつければいい気がしてきた。

 ということは一番最初に使った水筒も一般的に見たら変なんだろうな。

 私は現物を取り出してロリーナに見せた。

 

 「例えばだけど、これだと一般的な水袋と何が違うの?」

 「はい、ええと…まず形が見たことありませんし、素材も不思議ですね。これが水袋なのですか?」

 「うん、まぁ水入れとくのは一緒だよ。水の筒って意味で水筒って言うんだけど。」

 「スイトウですか?片手で使えて飲みやすそうですね。」

 

 うん、水袋だと袋の部分手で支えなきゃだもんね。

 私あれ使ったら絶対溢すと思う。

 もったいないオバケ。

 

 「一般的な魔道具との違いの方ですが、嵌め込まれている魔石自体が魔晶石ですね…。なんだか持っているのが怖いので置いてもいいでしょうか…?」

 「あっ、ごめんね置いていいよ!」

 

 一国を持ってるんだもんねそれは震えるよねごめん!

 杖持たせてる身で言えたことじゃないけど!

 ロリーナは水筒をテーブルに置いた。

 

 「それと、魔晶石が取り外せないようになっています。高価なものですし内包魔力も桁違いなので当然ですが、普通は魔石は大きいものでも数回使うと魔力が底をつくため、付け替え可能なんです。」

 

 なるほどぉ、電池式なのか。

 これは取り外せないってことはもしかして充電式かな?

 

 「それと、魔晶石の中に小さな魔法陣が描かれています。本来魔法陣は道具に描くもので、魔石は傷に弱くすぐに欠けたり割れたりしてしまうのです。このように魔晶石の内部に直接描く技術は私たちでは想像もつきません。それにこんなに複雑な魔法陣をここまで小さくとなると、正に聖遺物ですね。」

 

 そうなのか。

 確かに現代日本ではガラスの中に絵を描いたりする技術があるけどあれは製造過程で入れる事が出来るのであって、この六角柱の魔晶石は自然産出。

 つまり魔物を倒した後にポロっと出てくるものだ。

 まさか魔物に魔法陣入れといてなんて出来るとは思えない。

 後から入れるしかないわけだけど、カットして繋ぎ合わせた感じでもないし、どうにかしてこのまま描いたんだろう。

 うーん、未知。

 魔法陣の中の詠唱句をいくつか読んでみる。

 ちっちゃくて目が痛いな!

 

 「おぉ、マジで充電式。っていうかコンセント式。」

 

 コンセントは私だ。

 どうやら所有者の魔力を吸い取って魔晶石に充電してるらしい。

 そして魔晶石の魔力を使って水筒に水を補充している。

 しかもこのコンセントモード、ONとOFFの切り替えが出来て、OFFにするとバッテリーフル充電でなんと。

 最大120年持つらしい。

 …新手のケータイか?

 ちなみに一日2L飲む計算でだ。

 毎日が真夏日かよ。そんなに飲まないよ。

 

 というようなことが魔法陣外縁に日本語で書いてありました。

 みんなも説明書はよく読んでね!

 全然関係ないけどこの水筒は色がパールアクアブルーで綺麗なので気に入っています。

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