第23話
それからお説教ついでにギルドの決まりごとを教えてもらった。
まず依頼受注の流れについて。
受付横の掲示板に貼り出されている依頼書の中から自分のランクに合った依頼を選ぶ。
選んだ依頼書を剥がして受付に持って行き、参加メンバー分のギルドカードを提出。
すると受付の方で控えを取り、依頼書とギルドカードは冒険者に返却される。
そして依頼をこなし、依頼品をギルドに納品する際に依頼書とギルドカードも改めて提出。
そこで納品を確認し、ギルドカードの裏に依頼達成数とモンスター討伐数と合計ギルドポイントを更新情報を明記され返却、依頼紹介料の2割を差し引いた報酬の受け渡し。
採集であれば採集品の納品、討伐なら魔石の納品、お届け物なら受け渡しサインの書かれた証明書を納品するらしい。
その他に余分な魔石や採集品の買い取りもしているそうだ。
「報酬の2割で買い取りまでして赤字じゃないの?」
「集まったもんは必要なところに卸してるし、依頼者からも紹介手数料を取ってる。それに国からの補助金もあるからな、今のところ運営に支障はねぇ。」
なるほど。
次に、冒険者にはご存知の通りランクがあること。
下からE、D、C、B、A、S。
Eランクは最下位の初心者。街中から直近の森までのお使いレベルの依頼しか受けられない。
野良ゴブリン退治やハーブの採集、お届け物なんかがこの辺りだ。
また、この時期に先達となる先輩冒険者を紹介してもらい野営の仕方や戦闘時の基本的な立ち回りなんかを教えてもらうらしい。
一定数の依頼を達成すればランクアップとなる。
Dランクは先達から教わったことをきちんと覚える期間であり、修行期間と言ってもいい。
直近の森以外にも遠出ができるようになり、パーティーを組めばダンジョンにも潜れる。
ただし自分の力量を見極めることが重要で、毎年何人かはこのランクで命を落とすそうだ。
それを回避するためか、Eランクでお世話になった先達のパーティーに入ったりアドバイスをもらいに来る人もいる。
一定数の依頼達成、ギルド職員かCランク以上の冒険者の太鼓判をもらってランクアップだ。
Cランクは最も人数が多い。
このランクになってようやく一人前と認められ、掲示板に貼り出される依頼書はこのランク向けの物が大半になる。
試験官による試験後、ランクアップ。
Bランクからは上級者と扱われ、依頼の報酬も高額になるが指名依頼も増えてくる。
依頼を受けるかどうかは判断を委ねられるが名前が知られている以上目をつけられやすくなる。
そのため懇意にする相手を決めてそれ以外の依頼はなるべく断ってもらうという人もいるらしい。
特定モンスターの討伐、或いは一定レベル以上のモンスターの討伐数でランクアップ。
Aランクは事実上の最高ランク。
ここまで上り詰めれば超一流と言って差し支えない。
高難易度の依頼や国からの指名はもちろん、下位ランクの冒険者の育成に力を入れたり臨時のギルド職員として活躍することもある。
ちなみにギルド長はAランク冒険者で、国からの指名でギルド長の役職についているとか。
事務仕事は俺向きじゃねぇんだがとかいい加減体が鈍っちまうとかぼやいていたけど置いといた。
そして最後のSランク。
ランク到達条件は一般公開されていない。
それでも私たちに関係ないことではないだろうからと教えてもらったところ、自他共に認める実力と国王直々の任命で決まるそうだ。
今のところ、この国には1人しかいない。
詳しいことは言えないが、国の上層部が認める功績もあるとか。
多分、私たちも順調にAランクまで到達すれば簡単な申告だけでSランクになれるだろうと言われた。
そんなに簡単でいいのか、Sランク。
と思ったけど、多分この体が規格外だから審査も緩いしそう感じるのであって、他の人からしたらSなんて伝説的なんだろうなと思い至ったのでたぶん決して簡単ではない。
ってことは今のSランクってどんな人だよ。
なんて思っていたら紹介された。
「お前さんらの先達になる。Sランクのリーバだ。」
会議室を出て、階段の下で壁にもたれていた長身の筋肉質な男を指し示される。
うわ強そう。
でも髪の色が綺麗だ。
まるで色素薄めのゴールデンレトリーバーみたいで。
ギルド長が壁を軽くノックすると振動が伝わったのか男はこっちに気づく。
近寄ったら男は私とロリーナを見て、にっかり満面の笑みを浮かべた。
「お前がヒノメだな!陛下から聞いてるぞ!オレの名前はレトリーバだ、よろしくな!」
デレ筋肉だ。
それは大変魅力的だけれども、私は男を指差して後ろのギルド長を振り返った。
ギルド長は俯いて片手で顔を覆ってた。
思いっきり真名を名乗られたんだけどどうしたらいい?
しかも大きな声で国王様から聞いてると来た。
酒場の連中は当然私たちの様子を伺ってるよね。
勇者とSランク冒険者がいるからね。
そして国王様経由で来ていることから金髪青目で丁寧な物腰で博識なロリーナが王族だということにピンと来る人ならピンと来ちゃっているわけでな?
うーん、ここまで来ちゃったら仕方ないね。
私はくるっと酒場の方に顔を向けて声を大にした。
「お気付きの方もいらっしゃると思いますが!うちのお姫様においたを働いた人は漏れなく範囲魔法一発で森のモンスターを残らず消し炭にし王族護衛騎士達が苦戦した盗賊どもを一振りで5人薙ぎ倒したこの私が天と地の果てまで追いかけて渾身の滅をお見舞いするので!!どうぞよろしくお願いします!!!」
誇張はあります。
でもロリーナを守るためだからこのくらいは大目に見られたい。
演出代わりにアイテムボックスにしまってあった大小様々な魔石の一部を取り出して適当に何人かに放り投げる。
大きいのをキャッチした人の顔が引きつった。
なんかごめんな。




