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第21話


 なんやかんやロリーナも記入したのを確認して、私たちは用紙を新米ちゃんに手渡した。

 新米ちゃんはそれを受け取り、記入事項を確認して1つ頷くと私たちに言った。

 

 「それでは、登録手数料として銅貨1枚をいただきます。」

 

 やっべーお金か。

 手持ちは大天使からの餞別10,000EGとやらがあるけど私自身は無一文。

 まぁそこは借りとくとしても…。

 EGって銅貨より価値上?だよね?

 大天使ギフトだからたぶん下ってことはないと思うけど…。

 いやでももしかしてお小遣い程度かもしれないし登録には意外とお金掛かったり。

 うーん…。

 私はアイテムボックスからEGを1枚取り出した。

 

 「…これ使える?」

 

 恐る恐る新米ちゃんに差し出す。

 新米ちゃんは受け取って、よく見て、驚きすぎて手から転がり落としてしまい慌てて後ろに引っくり返った。

 コインはカウンターの上。

 

 「大丈夫?」

 「ひ、ひゃい…っ。」

 

 頭でもぶつけたらしい。

 ロリーナに回復魔法してあげてと頼んでいる間に横から手が伸びてきて、ギルド長がカウンターに放られた金色のコインを手に取った。

 しげしげ。

 

 「……お前さん…。」

 「え?」

 

 ギルド長からもはや呆れた視線を送られて、私は首を傾げる。

 もしかして使えない?

 

 「こいつは古金貨だぞ?」

 「え?ダメなやつ?使えない?」

 「いや、使えなくはねぇがよ…。」

 

 なくはないけどなんだ?

 私は困ってロリーナを見た。

 ロリーナは思い出したように両手を合わせて私に説明をくれた。

 

 「そういえばヒノメ様はこちらの貨幣がわからないのでしたね。私たちが普段使っている貨幣は鉄銭、銅貨、銀貨、金貨、貴族階級になるとそこに白金貨が加わります。ヒノメ様がお持ちでいらっしゃるのは古金貨と言って、古の時代に魔族の国から流れてきた大変貴重で高価な貨幣です。古金貨の製法は未だ解明されておらず、その純度や魔力のこもった資源的価値、考古学的な価値も含めて1枚で白金貨100枚の値段がつけられ流通しています。」

 

 なるほどそれでEGか。

 エンシェントゴールド、確かに古金貨だ。

 ちなみに鉄銭100枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚だそう。

 うん、でもちょっと待って欲しい。

 仮に、あくまでも仮に、鉄銭1枚が1円の価値と仮定して、銅貨1枚100円。

 銀貨で1,000円、金貨で1万円、白金貨で、ええと、100万円?

 待って?

 古金貨1枚で1億円の計算になるけど?

 ………。

 いやいやいやいや、ちょっと待とう!

 鉄銭は昔の日本で言う1銭とか1文とかの価値なのでは!?

 たぶんそうに違いない。

 そしたら価格もグッと下がって、それでも100万円は下らないじゃないかよお!!

 大天使ほんと何やってんの!?

 お財布に10,000EGも入れないでもらっていいですかね!!!

 私は軽く眉間を押さえた。

 ギルド長の頭痛い気持ちがわかった。ごめん。

 

 「手数料出世払いでいい?」

 「その、一応ギルド登録とカードの発行は身分の保証も兼ねていまして…。」

 

 立ち上がって佇まいを直した新米ちゃんが申し訳なさそうな顔をした。

 なるほど戸籍の管理とかと思えばツケが利かないのも納得。

 どうしよう。

 

 「わかった、こいつは一旦預かる。新人、後で王立銀行に行って両替して来い。お前さんには講習が終わってからギルドカードと一緒に差額を返却する。レーヴ!受付を頼む!」

 

 ギルド長がカウンター奥の事務室に声をかけると奥の席から女の人が来た。

 葡萄色のウェーブの髪をしたグラマラスな美人。

 ロリーナより大きい。

 おお、と思わず声が漏れたけどそれは酒場の方にいる冒険者たちの歓声にかき消された。

 それでも美人さんの視線は私に向いたので銀髪のお得感。

 

 「レーヴちゃんが受付してくれるなら依頼受けてくるぜ!」

 「見栄張った挙げ句逃げ帰ってくるなよ!」

 「うるせー!」

 「レーヴちゃん今夜デートしてくれ!」

 「おい抜け駆けすんな!」

 

 やんややんや。

 なるほど、レーヴちゃんは冒険者ギルドのマドンナなのか。

 レーヴちゃんはギルド長から古金貨を取り上げると大事そうな袋に入れ、新米ちゃんの肩に手を置いて手渡した。

 無くしてはダメよ、なんて声が歓声の合間に聞こえた気がする。

 いい先輩を持っているんだな新米ちゃん。

 新米ちゃんは元気よく返事をしてレーヴちゃんと席を交代する。

 レーヴちゃんは姿勢よく席に座ると私に笑顔を見せた。

 営業スマイルが眩しい。

 

 「勇者様、古金貨は責任を持って当ギルドがお預かりいたします。講習が終わる頃にはギルドカードと共に準備してお待ちしております。」

 「あ、はーい。よろしくお願いします。」

 

 ペコリと腰を折ってお辞儀し、私はロリーナに背中を押されるままギルド長の後ろをついて行った。

 後ろでこっそりむくれてるロリーナが可愛いので私は気づかない振りをしたままでいようと決めた。

 美人に鼻の下伸ばしてるの顔に出てるのかな。

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