第18話
「テメェどこ見て歩いて…!」
「ごめんね美人なお嬢さん。怪我はない?」
「え?私?」
「そっちかよッ!!」
ド派手鎧から素晴らしいツッコミが入った。
いやぁ美人さんがいたからつい。
ちなみにド派手はそんなに好みの顔ではない。
まあ美人さんとくっつけてニヤニヤする分には?素材はなかなか?
「ヒノメ様、お怪我はありませんでしたか?」
「あ、大丈夫~。なんか私の方が重かったみたい?えっ、嘘、なんで転んでんのそっち鎧着てるのに!?」
いや軽鎧っぽいけどそれにしても私そこまで重い!?
マジ!?
大天使のケーキすごいカロリーかよ…。
「やば、私ダイエットした方がいいのかな…。」
「? ヒノメ様は十分細くていらっしゃいます。ヒノメ様の方が体幹が鍛えられていらっしゃったのではないでしょうか?」
「あ、そういう?びっくり~。」
やだ~もう~。
なんてやってたら派手が立ち上がって私の胸ぐらを掴んできた。
いやんエッチ。
婦女暴行か?通報するぞ??
「ぶつかってきたくせにふざけやがって!よそ見して歩いてんじゃねぇよ!」
「それはお前も同じだろ?」
「うるっせぇなブルーゾ!」
小太りシーフが茶々を入れると茶髪はぺっぺと唾を飛ばした。
きたね。
ド派手菌が飛沫感染するぞ。
すまん、これじゃ私がいじめてるみたいだな。やめよう。
ロリーナが後ろで慌てて私に心配そうに声をかけて来てるけどさてどうしよう?
とりあえず穏便に済ませたいけどなかなかのチンピラっぷりだしなぁ。
あと小太りくん美味しそうなもの食べてんね。
干し肉私も食べたい。
「いやーごめんねー。この辺慣れてなくて地図見ながら歩いてたからさ。そうだ、冒険者ギルドってこの近くらしいんだけど知らない?」
私は空気を読まない。
そんな私の緩い感じに緊張感が台無しになったのか、美人魔術師さんは腕を組んで短く息を吐いた。
「ギルドならここよ。」
そう言って指差してくれたのは目と鼻の先。
というか悶着してるのが入り口前。
やっだー中に筒抜けじゃない?
「レダル、先に行ってるわよ。」
そう言ってお姉さんは小太りブルーゾと先に中に入ろうとする。
えっ待って。
赤い鎧の手を捻りぐるっと回して肩に担いだ。
「うおっ!?」
「待ってお嬢さんの名前だけ聞いてない!私はヒノメ、彼女はロリ…あっと…、リーナ。お嬢さんは?」
「…………イエラよ。」
イエラさんがめっちゃ肩に担いだレダルを凝視してくる。
私も今気づいた。
男一人軽く持ち上げるってどうなの?
女神ボディ~。
「…ごめん、うっかり。下ろすね。」
「…いえ、いいのよ。」
「よくねぇよ!!」
「ごめんて。いやぁここで別れるには惜しいほどの美人だったからつい。」
「テメェケンカ売ってんのか!?」
なんでだ。
あれかな?うちの紅一点を軽々しくナンパするな的な?
いやぁフラグ立ってるじゃないの~。
よきかな。
ラブラブになるまでをよく観察させてくれたまえよ。
なんて思いながらレダルを下ろしたらまた掴まれそうになったので1歩下がる。
するとロリーナが私を庇うように前に出てレダルとの間に立ちはだかった。
待ってうちのアイドルが怪我する!!
そう思ったけどレダルもさすがに女の子相手は不味いと思ったのか思い止まってくれた。
えらい!セーフ!ご褒美あげてもいいレベル!
「っぶねぇなチビッコ!」
「ちょ、ロリーナいきなり出てきて危ないよ?大丈夫?怪我とか…。」
前言撤回。ご褒美はあげない。
女の子に凄むとはなんて奴だ。
ロリーナの様子を覗き込んで伺おうとすると、ロリーナは勢いよく私に抱きついてきた。
なんだなんだ?至福か?
いや違う怖かったのかな?
そう思って肩を支えておろおろしたらロリーナは顔を上げた。
その恨みがましそうな上目遣いが私のハートを射抜くぜマイキューピッド。
「ヒノメ様、私では御不満ですか…?」
ラブリーか?
他の女の子に浮気して嫉妬してくれるとか!
ちくしょう流石うちのアイドル!!
そんなこと考えてたら無心顔になってたのか、ロリーナは慌てて私から離れて両手で顔を覆った。
泣かないでマイスウィート!
「す、すみませんヒノメ様!このようなことを言うつもりでは…!」
耳が赤いのでこれは恥ずかしがっていますね?
なるほど。
私の心のアルバムが充実する。
そして世界がラブで満たされる。
あれもラブ、これもラブ。
あれはいいゲーム。
私はロリーナの両手を取って、にっこり微笑んだ。
「ロリーナは特別だよ。」
特別可愛いよ!!!
私美人もイケメンも人外も好きだけど可愛い子が1番好きなので。
ロリーナは火がついたような勢いで赤くなって俯いてもじもじ。
ふう…、もうこの国に永住してもいいかもしれないな。
ところでレダルは何をげんなりした顔をしてるんですかね?
お姉さんにはわからないわ。




