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第16話


 城門前に立ち、ぼんやりと街の景色を眺める。

 色調の統一された煉瓦屋根が広く続く。

 まるで海外の景色みたいで、随分遠くまで来たものだなぁと思う。

 海外と言えば、私と満琴にはもう1人幼馴染みがいる。

 私が死んだとき彼は海外に行っていたけれど、私の訃報を聞いてきっと可愛くて美人な彼女を連れて帰国したに違いない。

 くっそーひと目見たかった。

 いいもんねー私には最高に可愛いロリーナというアイドルが。

 

 「お待たせしました、ヒノメ様。」

 「ううん、私も今来たところ。」

 

 待ち合わせしてデートとか最高じゃん?

 って思って振り向いたら可愛いロリーナがドレスに外套を羽織って立っていて、困り顔。

 うん、格好は大変に可愛いんだけれど。

 

 「ティカロさんや、これから冒険者ギルド行くのにこのチョイスは不味いでしょうよ。あとティカロ付いてくる気満々だよね?」

 「当然です!姫様が例え平民の居住区に赴こうとも姫様らしい格好をして何が悪いんですか!」

 

 ティカロのオレンジの跳ね髪が動きに合わせて揺れる。

 うーん、TPO。

 

 「ロリーナが粗暴な輩に絡まれちゃうけど?」

 「その様なこと、この私が許しません!」

 「ティカロより強い冒険者や大柄な男たちが数人で囲んでくると思うけど?」

 「私がまとめて薙ぎ払ってご覧に入れます!」

 

 ダメだこりゃ。

 どっどっどりふの…。

 

 「うーん……たぶんそれロリーナが不評を買うからやめた方がいいと思うよ。」

 「何故ですか!?」

 

 いや何故って…。

 

 「部下の行動は上司の責任になっちゃうからね?ティカロが暴れるほどに王族や貴族は平民に平気で手を上げるーってロリーナが責められるよ。または国王様の支持率が下がる。」

 「くっ…!ですが私は姫様の護衛として姫様を守るのは当然の職務です!あなたは姫様が襲われるのを指をくわえて見ていろと言うんですか!?」

 

 ティカロのテンションが高い。

 声が響いて門番さんたちがチラチラ見てるよ。

 この調子じゃティカロ連れて行ったら間違いなく人目が集中するだろうなぁ。

 いや、勇者が出歩く時点で既にあれだけど。

 

 「姫様が行かなきゃいいじゃん?というわけでロリーナには服を着替えて身分を隠してもらいます。ティカロはついてきちゃダメだよ。」

 「なっ!?その様なこといくらなんでも認められませ…!!」

 「あ、ラインバードいいところに!ティカロがロリーナを理由に仕事サボってるからなんとかして!」

 

 城門の内側を書類抱えて歩いていた運のいいラインバードに声をかけると、ラインバードはこちらに気づいて歩いてくる。

 ティカロは私に卑怯ですよ!と言いながら言い訳を探してしどろもどろ。

 マジで仕事サボって来たのか。

 御愁傷様。

 

 「ティカロ、こんなところで油を売っている暇があったらパーティーの警備訓練に参加しないか。」

 「で、ですが私は姫様の専任を務める予定で…!」

 「それは変更になった。今年は勇者殿が居られるから姫様の護衛は一任すると団長から言われただろう?さあ、早く訓練に戻りなさい。遅刻中抜けは団長に報告するからな。」

 「そっ、そそれだけは…!隊長ぉっ!!」

 

 ティカロはため息混じりのラインバードに連行された。

 よっぽど団長さんが怖いんだな。

 南無三。

 からの勝利のVサイン。

 やっぴー。

 

 「さ、ロリーナは着替えしないとね。」

 「申し訳ありません、ヒノメ様…。私がティカロを説き伏せられなかったばかりに…。」

 「いーよいーよ、ティカロならロリーナを見つけ次第すっ飛んで付いてきたと思うし。」

 

 話しながらとりあえず門番さんたちに詰所の一室を借りる。

 さーてメイクアップの時間よ。

 いや平民の服着るんだからこの場合メイクダウンか?

 否、ロリーナなら何着ても可愛い!

 私はアイテムメニューを開いてロリーナが装備できそうなアイテムを一式取り出した。

 

 「えーと、そういえば魔術師の杖とかロリーナ持ってる?」

 「いいえ、子供の頃の練習用の杖はあったと思いますが…。」

 「じゃあ杖はこれあげるね。私使わないと思うし。」

 

 『賢者の星杖』というのを取り出して渡す。

 白くて軽い杖の天辺に尖った手のひら大金平糖みたいな星の形のクリスタルがついている。

 クリスタルの中には蒼白と濃紺の小さな球体が1つずつふよふよ。

 よく見るとクリスタルには何かの呪文がかなり小さい字で書いてあるけど光が眩しいやら目に悪くてとても読めない。

 まぁ変なもんじゃないだろう。

 受け取ったロリーナはじっとそれを見つめて不安そうに私と杖を交互に見た。

 

 「あ、あの、ヒノメ様?この、この杖についているのは…あの、もしかして……。」

 「え?何?」

 「あの、まさかとは思いますが……、魔晶石、ですか…?」

 「うん?魔晶石って何?なんか良い奴?」

 

 魔石なら一応持ってるけど。

 魔晶石ってなんか良い奴そう~。

 

 「あの、魔晶石というのはモンスターが落とす魔石の中でも多分に魔力を吸収し透明度も高く鉱石としては世界で最高峰の、それ1つで国が建つと言われるほどの価値を持った物です…。」

 「へぇ~……へぇ~!?国が建っちゃうの!?マジ!?」

 

 兆じゃん!京じゃん!

 子供の頃の必死になって覚えようとしたなぁ単位。

 

 「私も教会の最深部で1度しか見たことがありませんし、欠片ですが…。この透明感と湛える魔力を感じた限りでは、その……。」

 「ほほーん?これがねー…。」

 

 やっぱ信用ならねぇな大天使ギフト!!

 

 「あの、それに習った話では自然産出される魔晶石は本来揃って六角柱の形をしていると聞きます。その、人工的に魔石から魔晶石へ変質できるのはその身に魔族以上の魔力を持つ者だけとされ、歴史上では古に存在した星崩の大魔王 ルスダス=エストレラただ1人だったと………。」

 

 口にしてからロリーナは青ざめて杖を持つ手が震え出した。

 うん、『賢者の星杖』だしね、それ。

 星崩て。星崩しちゃうのかよパネェな大天使。

 あんな優しい顔して大魔王と呼ばれる由縁か?

 こわぁ。怒らせんとこ。

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