入居者ゼロ
私、鈴波華は只今絶賛引きこもり中です!なぜかって?それは玄関を開けたら知らない街並みがひろがっていたからだ!ウソじゃないよ、ちゃんとこの目で見たんだから!すぐ閉めたけど。なんならチェーンもしっかり掛けたよ!
.....おかしい、私の町はそこそこ田舎で私の家の前は農家のおじいちゃんが住んでる古い平屋だったはず。
けして.....けっして全身鎧の厳つい人達が出入りする厳つい石造りの建物では無かった!
目が赤くなるくらい擦ってもう一回見たけど景色は変わらなかった。私の目が悲鳴をあげただけ。
深呼吸して一回今の状況を整理しよう。現実逃避じゃないよ!
まず私が住んでいるのはお祖母ちゃんが所有してる二階建てアパートの一部屋。お祖母ちゃんが高齢になって辛いからと私に管理人を頼んできたのだ。
20才でフリーターだった私は楽して稼げると快諾した。しかしアパートに来てみれば見事に全部空室。入居者ゼロ、ということは家賃もゼロ。焦った私はすぐにお祖母ちゃんに確認しに行った。
すると、
「いやぁ、最後の一人がついに結婚して出ていっちゃってねぇ。まぁ直ぐに新しい人が入るよ。気長にやんなぁ。」
気長にやりたかったよ!けどこのまま入居者がこなかったら私収入無しのニートと変わらないよぉ。
お祖母ちゃんっ子の私は強く言えずに泣く泣く帰った。管理人用の部屋は一階の一番右端。項垂れながらも新しい部屋に入り、ひとしきり落ち込んだ私は引っ越したばかりで何も食べる物が無い家から出て買い物へスーパーに向かおうと財布を持って玄関を開けた。
うん、変わった事は何もしていない。なのに玄関を開けた先には厳つい全身鎧が沢山出入りしている厳つい建物。
「誰か夢だって言って..........誰か私のほっぺをつねってー!!!」