新米王子
「天羽閃光あなたを次なる王候補へ推薦します。」
フローラはそう言った。
どういうことだ?意味が分からない。王候補ってなんだ?フローラは何を言ってるんだ?
状況を飲み込めてないライトを置いて王室は荒れる。
野次のようなものも飛んでおり早くここから出たかった。
その時
「静まれ!!!この推薦に文句があるやつは直接言いに来い!!!そうしないなら今文句を言うな!!!」
そうフローラが叫ぶと一気に静まり返った。
「かっこいい。」
素直に感じたことを口にしていた。
それからはスムーズに進行し、式は終わった。
「さっきのはなんだったんだ、とにかく疲れた」
先ほどの部屋にもどり一息ついているとフローラが部屋にやってきた。
「ライト、急にごめんね、混乱したでしょ。」
「いやいや混乱どころじゃねーよ!びっくりしすぎて全身から涙が出そうだったわ!」
と意味のわからない事を言って混乱を伝える。
「全身から涙?よく分かんないけどとりあえず説明するね。」
全身から涙をスルーされて少しショックだったがそれよりも今は説明が欲しい。
「私はこの王都ベリルの王なの。それでもうすぐ三代王都戦が始まるからそれまでに次期王を選出しなくちゃいけなくて、でも全然決めれずにいたの。
それでライトに出会った時に次の王はこの人だって気がして。」
「なるほど分からん!」
おれが王ってどんな状況だよ、だがフローラが嘘をついてるようには見えない。
つまりはその三代王都戦ってのにフローラが出るから代わりの王を見つけなきゃいけなかったのか。
「けどなんでその三代王都戦ってのに出るのに次の王を探さないといけないんだ?
「それは、その。」
「ん?なんかあるのか?
「.........かもしれないから。」
「かもしれない?」
「死ぬかもしれないから。」
「え、死ぬ?」
フローラの表情からしてかなりの確率でそうなりそうな雰囲気である。
「ええ、だから次の王を決めとかないと王がいない状況だと国が混乱するから。
でも安心して、ライトには三代王都戦は無いから。」
そんなことを心配してるんじゃない、フローラが死ぬかもしれないって事をが1番の問題だ。
「どうしてフローラなんだ?」
「私がこの王都で1番強いから」
確かに龍を一瞬で倒したあの強さは相当なものだと思っていたがまさか王都で1番だとは思っていなかった。
「つまりフローラより強いやつが現れればフローラが三代王都戦に出なくてもいいってことか?」
「そういうことだけど、それは無理だわ。」
「どうして?」
「さっきの式で武装してた人達がいたでしょ?あの人達が全員でかかってきても私には勝てない。」
「そんなにフローラは強いのか?」
「うん、」
そう答えたフローラは悲しそうだった。
目には涙が溜まっている。
どうにかしてあげたい、だがどうすれば。
「フローラ」
「なに?」
「俺が君より強くなる、俺がこの国の誰よりも強くなる、そしてきみを守る。」
俺は1度死んだんだ、そしてフローラに救われた。
この命はこの人の為に使おう。
「だから泣かないでくれ。」