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彼女の名前

「大丈夫?怪我はなかった?」


そう聞いてきてとっさに大丈夫と答えたが彼女の動揺は消えていない。


「ごめんなさい、部屋を出るときに扉を屋敷に繋ぎ忘れてて。」


「屋敷に繋ぐ?」


よく分からないがその繋ぐってのを忘れていた為、扉を開けたらあの場所へ繋がっていたらしい。


「はい、いつもは扉と魔界を繋がないんだけど今日はちょっと事情があって、本当ごめんなさい。」


こっちの世界にやってきて今まで理解できたことが一つも無いが今回のは特に意味がわからない。

だが勝手に部屋を出た自分も悪い、彼女ばかりに責任はない。


「そんな、あなたが謝ることなんてないです!勝手に部屋を出た俺が悪いし。」


そう言ったが彼女は納得していない。やはり責任感が人一倍強いらしい。


「でもどうして部屋を出たんですか?」


「トイレに行きたくなって、つい。」


「そうだったんですか、トイレは部屋にありますよ?」


「え!?」


部屋をひと通り見たつもりであったがトイレなんてどこにもなかったはずだ。


「トイレはここです。」


と彼女が教えてくれたのはただのインテリアだと思っていた絵であった。

この部屋そっくりの絵が描いてあり変だと思っていたが何か仕掛けがあるらしい。


「この中心を回すとトイレになります。」


そう説明を受け絵に付いていた凸部分をつまんで回してみると、部屋が急にトイレになった。


「部屋が変わった!?」


部屋全体が変わりそこはトイレになっていた。

びっくりしている自分を見て彼女は不思議そうに言った?


「部屋召喚知らないんですか?」


「部屋召喚?」


まったく聞いたことのない単語である。

当たり前だが元の世界には無いものである。


「はい、このダイヤルを回すと必要な部屋を召喚できます。生活に最低限必要な部屋は用意してあります。」


そう彼女は答えた。


「すごいんだな、部屋召喚って。」


初めての体験に胸を躍らせていると彼女聞いてきた。


「あなたは何者なの?」


今聞かれたら一番困る質問だ。

どう答えるべきか、日本と答えても分かるとは思えない、どうしたものか。

そのまま答えに困り考えていると。


「ごめんなさい自己紹介も無しに失礼でしたね、私の名前はフローライト、フローラでいいですよ!よろしくお願いします!」


フローラはそう笑顔で答えた。


「俺の名前は天羽あもう 閃光らいと ライトでいいぜ!よろしく!」


そう名前だけ答えた。


「あもう らいと変わった名前ですね!」


この世界だと日本名はそうとう珍しいものだろう。


「ちょっと遠くから来たから、あと名前も聞いたしそんな敬語使わなくても大丈夫!仲良くしようぜ!」


軽いトークで日本から来たことを流し、話しやすくする。


「そう、それは助かるわ!じゃあよろしくねライト!」


恐らく同い年くらいであるフローラとは仲良くしたかった。この世界のことを知るためにもフローラと話したいからだ。


「ところでフローラここって一体どこなんだ?」


とりあえず一つ目の疑問を聞いてみた。

恐らく最初に言っていた王都ってところだと思うが。


「そうね、気を失ってたもんね、ここは王都にある私の家よ!」


そうフローラは答えた。

やっぱり王都か、つまりこの世界の中心だろう。

場所を理解していると部屋を誰かにノックされた。


コンコン

「フローライト様いらっしゃいますか?皆様お揃いになりましたので王室までお願いします。」


誰かがフローラを呼びに来たようだ。


「わかりました、すぐに向かいます。じゃあライトちょっと行ってくるね!」


「おう!行ってらっしゃい!」


そう言ってフローラは部屋を出て行った。


「暇になったな、フローラが戻ってくるまで部屋召喚とやらを満喫するか。」


そう思っているとまた部屋をノックされた。


「失礼します。私はこの屋敷のメイドを務めさせて頂いている者です、フローライト様がお客様をお呼びですのでお迎えに上がりました」


「フローラが俺を呼んでる?分かったどこに行けばいい?」


「私について来てください」


そうしてメイドについていくと屋敷はライトが思っていると10倍はでかいことに気づいた。

廊下の窓から見える景色だけでかなり広い。


「庭だけで東京ドーム丸々1個入るんじゃねぇか?」


そんな事を言いながら歩いているとパッと見で王室とやらの入り口だと分かる大きな扉に着いた。


「ここが王室です、中にフローライト様がお待ちですのでお入りください」


そうメイドが言うと扉が開いた。


「嘘だろ・・・?」


扉の先には大勢の人が玉座に向かい跪き敬意を評した表情でいる。その人たちは全員が人間ではなく獣の顔をした者などバラエティに富んでいた。

その先に階段があり玉座があった、そこにすわっていたのは。


「フローラ?」


なんとフローラは王であったのだ。

ライトが王室に入ると扉は閉まり後戻りは出来なくなった。


「オイオイまじかよ、なんだこの状況は。」


真ん中に赤い絨毯が王座まで引いてありその両脇にスペースがないほどに人がいる。


「天羽閃光、前へ。」


進行役のような人がライトを呼ぶ。


「人生初のレッドカーペットがこんなガチなやつかよ、緊張でこけそうだ。」


そんな冗談を言っていると、周りからの視線が悪いものだと感じた。

そりゃいきなりこんな変な奴が入って来て真ん中歩くとかこの人達からしたらふざけたことだろうな。

しかしなんといっても玉座までが遠い、100mもあるレッドカーペットなんてだれが作ったんだよ。

そんな文句を思いながら進み、やっと階段の下に着くと。


「天羽閃光、あなたを次なる王候補へ推薦します。」

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