始まりの草原
「あーあ今日も疲れたー」
特になにもしていないのにも関わらず大声で何か仕事をしてきたような態度である。
「今日は部活がオフ!このまま家に帰ってグダグダLIFEだ!」
そういって部屋から一歩もでない宣言を道路の真ん中で言っている。
「けど筋トレだけはしとこう!」
謎の意識の高さである。
そしてそのまま帰り道を歩いていると、途中で泣いている少女を見つけた。
声をかけるか正直迷った所だが、だいぶ泣いていたので声をかけることにした。
「大丈夫?お母さんかお父さんとはぐれちゃった?」
たぶん迷子であろうと思い聞いてみた。
すると少女は思いもよらないことを言い出した。
「ううん、ベンチプレスが50kg上がらなかったの。前回は上がったのに。。。どうして。。。」
「え、、、ベンチプレス???」
「そう、ベンチプレス。。。」
あっけにとられていたのをよそに少女は立ち上がり大きく深呼吸をした。
「よしっ!泣いてても仕方ない!もう一回行って追い込んでこよう!ありがとうお兄ちゃん!元気でたよ!」
とてもパワフルな声でお礼を言ってきた。
特に何もしていないなと思いながらもその迫力に押されてしまっていた為、軽く返事をしただけになってしまった。
そのままジムの方へと少女は駆けていった。
「なんだったんだ?あの女の子は?ってかあんな小さい子がベンチプレス50kgも上げんのか!?!?」
冷静になって考えてみると化け物みたいな数値である。
男子高校生が筋トレ始めてからやっと上げれるくらいの数値であるからだ。
「世の中にはすごい人もいるもんだな」
そういって少し筋トレをしている為にショックを受けていた自分の中で消化をしていた。
そのまま歩いて帰っているとまた泣いている子を見つけた、次は男の子だ。
またベンチプレスが上がらなかったとか言われたらどうしようと思ったがあんな子はそうそういるものではないと思い声をかけてみた。
「どうした?大丈夫か?」
「うん、大丈夫。少し悔しいことがあっただけ。」
そう男の子は答えた。
これはヤバい流れだ、悔しいって絶対にベンチプレスの事だ。
さっきの事が衝撃すぎてもう何かあったらベンチプレスだと思ってしまう。
「そっか、何があったの?」
一度声をかけてしまった以上聞いておこうと思い聞きたくなかったが聞いてみた。
すると。。。
「ベンチプレスやってて80kgが上がらなかったんだ。。。」
はいキタァァァァァ!と心の中で叫んでしまった。
今度はベンチプレスが80kgだと?そんなの男子高校生が1年くらい筋トレをやってから上がるくらいだぞ。
今の小学生は学校で筋トレしかしてないのかと思うくらいだ。
だがもう2人目となるとそこまで驚きはしない。
「そっか、それは残念だったね、次は上げれるように頑張ろう!」
そう励ましてあげると男の子は
「うん、がんばる!ありがとう!」
そうお礼を言って歩いて行った。
ふぅ、と一呼吸置いて俺もがんばろうと思った。
2度のイベントをこなし歩きやっと家に着いた。
しかし家の門の前に1人の同い年くらいの女の子が倒れていた。
これはマズいと思い駆け寄って声をかけた。
「大丈夫か!?しっかりしろ!!!」
すると女の子はふらふらとなりながらも立ち上がり「大丈夫です、ありがとうございます。」とお礼を言い背負っている袋のような物から何かを取り出した。
何か宝石のような物だ、大きさはハンドボールくらい。
そしてお礼ですと言いその宝石を渡してきた。
「いやいやこんなもの頂けないですよ!」
見た限りではとても高価だと思い断ったが。
「あなたに貰って欲しいのです」
そう言って女の子はその宝石を渡してきた。
お礼というより自分に渡さなければいけないものだと感じた。
「ありがとう」とお礼を言ってその宝石を受け取ると女の子は歩いて行ってしまった。
「なんだったんだ?」
そう言って家に帰った。
宝石を自分の部屋に置きあまりにも綺麗な石だったのでしばらく眺めていると、
ーーーーー寝ていた。
ハッとして目を覚ますとそこには見慣れた天井ではなく雲一つない快晴が広がっていた。
まだ夢を見ているんだと思いほっぺたをつねってみた。
「痛ってぇぇぇ!夢なのに痛覚ありすぎだろ!」
と夢にツッコンでみたがまったく目が覚めない。
「え、これって夢じゃない?いやいやまさかそんなことは。。。」
と夢でないことを認識できない。
部屋で寝ていて置きたら異世界にいるのである、誰がすぐに認識できるのであろう。
「どういうことだ?部屋で寝ていただけだぞ?」
そう言って記憶を整理してみる。
「確か、学校から帰って来るときにベンチプレスを2人助けて、それからは、、、あっ」
思い当たる節が一つだけある。あの女の子である。
「まさか、あの女の子に貰った宝石が原因か?」
原因と呼べるものはそれしかなかった為に今はそう断定した。
「嘘だろ、どういうことだ?ここはいったいどこなんだ?」
周りを見渡して見ても広大な草原が広がっているだけである。
「最初の出現位置悪すぎだろ!」
パニックになりそうだった為に大声で文句を言ってみたがそれに反応してくれる人は1人もいない。
「考えていても仕方ない、歩いてみるか。」
そう言って歩き出した。
体内時計で1時間ほど歩いてみると小屋が見えた。
「お、ラッキー!第一村人発見か!?」
と草原しか見てなかった為にテンションが上がる。
「こんにちはー!!!」
小屋に着いて元気よく挨拶をしてノックしてみる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ーーーーー返事はなかった。
10分ほど感覚を開けてまたノックをしてみたが返事は無い。
「こんな草原しかない所に住むわけないか」
ショックを受けていると急に空腹が襲ってきた。
というよりテンションが高かったから忘れていた空腹を思い出したのである。
「そりゃ昼からなんも食べてないからな、今は一体何時なんだ?」
元の世界では夜の8時くらいであろう。
男子高校生にはとっくにご飯にありつきたい時間である。
しかし草原しかないこんな場所に食料などない。
「歩くしかないかぁ、」
そう言ってまた歩き出した。
(・・・やばい、もうそろ限界だ。)
あれからもう5時間以上歩いているのである。
普段からハンドボールをしていて体力には自信があるが、制服にローファーで草原をひたすら歩くのは練習よりもキツいものがある。
「もう、限界だ。。。」
歩こうとする気はあるが、体が悲鳴をあげ倒れる。
そして意識を失った。