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空想死神黙示録  作者: タテハ
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死神長 キリトの失踪

『空想死神黙示録』

死神長 キリトの失踪



ーー20年ほど前、日本




『メインゲート、爆破されました!』


『反政府軍が化学兵器を使った模様、前線はなんとしてでも殲滅せよ!』


『誰だ!!? 先頭で率いる奴は!!?』

『メインカメラでとらえました。モニター、出します!』



『ーーーー!!』


モニターに大きく映し出された姿に、その場にいる誰もが息をのんだ。

軍部の誰もが見覚えのある風貌をしていた。

白いパーカーを目深にかぶっている、ひょろりとした男だった。

男は、身丈はゆうにある鎌を携えて柔らかく微笑み、破壊されたメインゲートの残骸の上にたたずんでいる。



『どーも、コンバンハ。こちら、死神長 キリト。

L.O.A.D.の皆様に世界の終焉をお届けにあがりました』


言うやいなや、男は深くかぶっていたフードを、ばさり、ととって、銀色の瞳でモニターを睨み付けた。

瞳と同じ、白銀の前下がりの短髪が爆風に煽られて揺れた。



死神たちをまとめる長である、死神長 キリト、その人だった。


やたらとよく通る低く甘い声に、全員が『彼がキリトでまちがいない』と確信する。


キリトは長身の細身ではあったが、背筋を伸ばし、政府軍を真っ向から睨み付けるその姿には神々しささえ感じられる。

彼がもつカリスマ性に気圧され、モニターを見る指令部の全員が言葉を失っていた。


キリトは、どこにでも売っているジーンズに、エンジニアブーツを履いている。

ベルトのまきついたブーツで、破壊されたコンクリートを、じゃり、と踏みつける。


ひゅん


大国神の加護を受けると伝えられる鎌をひとふりしてから、


『さあさ、はじめようか、顔のない政府の豚ども。

俺たちの国を奪還させてもらうぜ?』


と言った。

それを合図に、政府軍と反政府軍の戦争が始まった。


そして、その日を最後に、死神長 キリトはこの世界から姿を消した。

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