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トリックアクターズ  作者: 光井テル
Act.1 七章 演目【九月一日】 (後編)
64/79

1.7.7

 ◇   ◇   ◇


「さて、ミリアム・ハーネット。奴との話は終わったか?」


 電話越しにエクスと通話するミリアム。その彼女に誠一は不敵な笑みで問いかける。

 丁度通話を終えたミリアムは静かにスマホの電源を落とし、誠一の問いに答えた。


「いつかこういう日が来るとは思っていた。不老不死に纏わる問題が舞識島を襲ってくると。その覚悟はしていたわ。……貴方達もそれは同じと思っていいのね?」

「当然。その為にここに来たんだからな。島を脅かす敵を倒す。エクスと俺もそのつもりだし、その一点にかけて、俺達は互いに手を取り合える。そうだろ?」

「……。分かった。なら、こちらも共同戦線に異論はないわ」

「お、話が早いな。助かるぜ。オーケー、それじゃ今からは協力関係って奴だな」


 どうやらエクスの説得は無事に成功したようだった。というより、ミリアムも最初からそのつもりでいたのだろう。

 ミリアムは今回の件を同幹部の春日井にだけは話しており、彼の協力を得る事に成功している。

 ミリアムの理解者は組織内にも一応居るのだが、春日井のような存在は稀な事だった。彼だけが特別理解があると思った方が良い。

 それに協力と言っても、あくまでミリアムの行動に目を瞑っていてくれているだけなのだ。

 その春日井のお陰で自由に動けてはいるものの、組織の力無しで舞識島を護るには力が足りない。

 ナジロ機関に気付かれる前に不老不死の問題を片付ける事。

 その為には、島の情報を把握しているエクスの力が必要だと、ミリアムは分かっていた。

 ミリアムもエクスも、互いに島に抱いている想いは同じ。ならば協力関係を結べる筈だとエクスは考え、彼女に接触する機会をずっと伺っていた。そして、その目的は遂に果たされたのだ。

 こうなればグロースに勝ち目はないだろう。誠一はステージ反対側の彼らに視線を向けた。


「っつーわけだ。俺たち、手組む事にしたからさ。薬もこっちにあるし……要はあれだ。もうアンタらの負け。分かったら島から退いてくれると有難いんだがな」


 この島で戦う事、人殺しをする事自体が誠一たちにはリスクになる。殺した後の処理でナジロ機関に勘付かれる可能性があるからだ。グランミクスが管理するこの島において、組織に気付かれずに何かを為すというのは容易な事ではないのだ。

 昨晩のように春日井を通せば上手く処理出来るかもしれないが、それもかなりリスクがある。昨晩は運が良かったに過ぎない。

 故に、誠一たちは可能な限りグロースを島外に追い出したかった。殺しを行うのは本当に最悪の事態になった時だけだ。今は見逃すしかない。その考えはミリアムも同じだった。

 そんな事を背景に発せられた誠一の言葉に対し、九十九は怒りの籠った声色で答えた。


「テメェ、半年前はよくもやってくれやがったなこのクソ野郎! 勝手な事ばっか言いやがって。俺たちの負け? 退けだと? ふざけるのも大概にしろ。俺たちはまだ何も終わってねぇ!」

「まぁ……そう簡単には退いてくれねぇよな。でもよ、どうやらそっちの女は違うみたいだぜ?」

「あ?」


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