私の物語はこれからだ!………って事にして終わってもいいかな?
漸く話が進みますね……
森を歩いてるからって熊さんに出会うこともなく無事に未だに生きてます。神様に感謝すべきか、それともこんな状況にした事を呪うべきか……まぁ、生き残ることを最優先にするので前者にしておくとする。
今気が付いたこと、外見が髪と目カラーリングが変わった以外変化なかった。ちなみに色は作ったキャラの色。顔とかも多分変わってない…はず。
適当に歩いて運良く見付けられた湖に映った顔は不安定でちゃんとは映らなかったが自分の顔だとは認識できた。17年近く見てきた顔だ判別くらいは出来た。平凡な日本人顔がチグハグなカラーリングで平凡からミスマッチな外見になってしまった……もし元の世界に帰ってもこのままなら呪ってやる……誰を呪うかは後々調べるとして……
これからどうしよう?
物語では歩いて街に下りるとか、助けが来るとか……王道な展開があるのだろう…が、これは期待できない。
肌の色以外は保護色で見付けにくいのに更に影が薄いと自負している私を見付けられるとしたら……両親か付き合いの長い友達くらいだな。それほど私は影が薄い……こんなんで主人公やってけるのか?途中で主人公交代とかあり得そうで……帰れるならそれでもいいけど。
王道のチートも無さそうだし……着てる服も普通の制服……学ランじゃなくて深碧のブレザーだからしかも冬服だから上に同じ色合いのジャケット……もう森の中では見つけられないよね。
それにとどこに飛ばされたにせよ武器は欲しい。いや、中二病とか発症したとかじゃなくて、木の棒は欲しい……疲れたときの杖代わりに。後、こんな森だと蛇も出そうで……私は大の蛇嫌いだ。見てるだけで鳥肌が……うぁぁぁぁ!!
む、無理!寒い日とか自分のベットに入ってたなんて日には発狂する。SAN値0になって発狂する。
蜥蜴は可愛いよね……だがカメレオンとコモドドラゴンお前らは勘弁してくれ。
そう、私は爬虫類が苦手だ。両生類も苦手だ。だが基本的害のないものは平気……だと思う多分。
ま、お決まりの展開を今予想した。
“大体嫌いなものが巨大な姿で……なんて結構王道だよなぁ”
―――と。想像しなければ良かった。
「おい、そこの緑頭の」
「―――頼みの綱来た!これで勝つる?」
「か、鶴?鶴がどうした?」
「何でもないです気にしないでくださいハハハ…」
「は?――まぁいいか。それよりこんな場所で独りで散歩……にしては軽装だが……何してるんだ?」
「迷子です。」
「………」
影の薄い私を見つけたお兄さんはコイツ終わってんなぁ…という哀れみの目で見てきたがそれは別に構わない。今はそれより人里に行くことの方が重要だ。仕返しや仕返しやイタズラはその後でもできる。
「迷子って年でもない……だろ?」
「17歳です」
「あぁ……」
スゴく残念そうな子供を見るような目で見てきたが気にしない。だが後でキッチリ借りは返す。
「しかし……良くモンスターに襲われずここまで迷ったな」
「モンスター……ウサギにも会いませんでした」
「……運が良いのか悪いのか…」
「頗る悪いでしょうね」
ま、迷子なんて今に始まったことでもない。色んな事に巻き込まれて遭難なんてこれで三回目だ。三度目の正直?いいえ、二度あることは三度あるです。
一度目は確か腐女子と言われるジョブの女友達(絵を描いたBL大好きな友達)の暴走により他の友達と樹海で迷子……あれは機転を利かせたもう一人の友達(腐れ縁の男友達・良くセットでネタにされる)の目印で難を逃れた。この後の親たちの雷がスゴかったなぁ。
二度目はこれまた腐女子……ではなく、男友達のストーカー(男)に誘拐されて樹海に置き去りにされた……俺は森とかに余程縁があるとみえる。そんな縁は要らないぞ。
まぁ、今回はそのどちらの友達の所為ではないと思いたい。
今更ながらこのお兄さんの外見チェック!
金髪碧眼のイケメンだなチキショウーメ。主人公格のイケメンだな。でも何だろ……苦労人なオーラがヒシヒシと漂ってくる気がする。
私に出会った時点で苦労人フラグは回収してますけどね!
「さっきから百面相でぶつぶつと……着いてくるのか来ないのか?」
「着いていきます!地獄の果てまで」
「せめて村までにしてくれ…」
何だよ冗談に決まってるじゃないか。誰が悲しくて男に何処までも着いていくかよ。此方から願い下げです……このお兄さん冗談通じないタイプかな?
これは弄り甲斐がありますね(黒笑)
「お腹すいたんで早く街でも村でも何でも良いので人の住む場所まで連れてってください。あと、何か奢ってください…何にも持ってないので泊まるところも危ういんですよねぇ……出してくれます?」
「図々しいなお前……」
「ここがどこかも自分が何者(この姿が前の体と同一とは言えない辺り)か分からないってのに遠慮なんてしてられませんよ……出してくれます?」
「しつこいな……」
「まさか拾っておいてポイっですか?」
「おい、人聞き悪いぞ」
こんな森の中に人の耳なんて気にしてもないって。ホントにこの人お人好しか心配性なんじゃないか?なんか詐欺師に騙されそうで心配だね……あ、私は詐欺師では無いですよ?
「……勿論目処がたち次第返却しますよ。借り作ったままは嫌ですからね。」
「そこまでは言ってない」
「ダメですよ、借りを作ったままは危険ですよ……それを理由に無理難題吹っ掛けられたらどうするんですか……」
「今お前が言うかそれを」
冗談も真面目に返すお兄さんの反応についつい弄り倒してしまったが、そろそろ本気でお腹が空いてきたので案内してもらって小さな農村に一時間掛かってたどり着いたのだった。
腹が減ってるのに一時間歩いたよ……燃料切れでヤバイ……奢って貰うまでこの人の上着の裾は放さん……
「何も知らない私を放り出すほど鬼ではないでしょ?」
「……ハァ…」
「まぁまぁ、お兄さん。そんなに食べる方でもないので安心してください……でも出来れば衣食住を確保するまでは面倒見てください」
「………(呆れ)」
折角捕まえたこの知らない世界での安心要素を直ぐに離してなるものか!
ここは遠慮しろよと思うだろう……だがっ、遠慮してれば自分の命が危うい……天秤にかけるまでもなく安全確保は重要だ。
な、訳で……このお兄さんには是が非でもお世話にならないと……最悪騙されて奴隷にされたら堪ったもんじゃないし。
そんな哀れなお兄さんが私を連れてきたのは小さなお店……雰囲気的に食べ物屋ではないな……何だよ?
「先ずはその目立つ格好をどうにかしてからだ」
「あぁ……売られるわけでは無いんですね良かった良かった…」
「お前本当に人を何だと……」
「直ぐに信頼するほどお人好しでも無いんで……あ、でもお兄さんは少しは信頼してます。蚤ほどには」
「………」
あ、弄りすぎたかな?
そんな不機嫌なお兄さんが連れてきてくれたのは服屋。腰の曲がったお婆さんそ尋常じゃないほどの力で服を引ん剥かれて一瞬危機感を覚えたが、そんな暇などなくあれよあれよと服を着せられ……何処にでも居る一般人の出来上がり。
何故か女と勘違いされてるが、ピッタリな服が女性用だったのだから別に仕方ないか。痩せすぎだと言われているけど……仕方ないじゃん何しても肉がつかない体質なんだし。女の敵って言われたけど仕方ないじゃんねぇ?
「あんた男かい……モヤシっ子だねぇ……ちゃんと食べてるのかい?」
「食べてたと思いますけど、今はお腹空きすぎてペコペコです」
「……これが終わったら飯屋に連れてくよ」
服屋のお婆さんがお兄さんに睨み付けてるけど、この人被害者だよ。私と言うお荷物抱えてくれるお人好し何ですよ……此方が心配するほどね。
「いやぁ…森の中で記憶喪失(嘘)で迷子になってた所にこの親切(でお人好し)なお兄さんがここまで連れてきてくれたんですよ……それに無一文な私に服まで……」
「……ちゃんと食べさせてやるんだよ」
「婆ちゃん……コイツ雇ってくれると有りがたいんだけど…」
「手は足りてるんだよ……あんたのところで雇ってもらいな」
そうだよね……閑散としてる村で雇ってくれるとこなんてそうそうないか……それよりお腹すいた。
彼は男です。ですが事情があって家事は得意です。とても家庭的です。