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東方 朧雪華  作者: めーりん
春雪異変
18/44

第十五章 三日おきの宴会×初めての反抗?×無月の実力

今回レミリアが好きな方は閲覧注意です

春雪異変から約二ヶ月あまりが経過



‡‡‡

2004年八月上旬 紅魔館 地下図書館 23:00


「はい・・・これで大丈夫よ」


「ありがとう」


スルスルと包帯が解かれ代わりに手渡される漆黒の眼帯。その眼帯で右目を覆った青年"赤羽無月"は今まで手当てをしていた少女"パチュリー・ノーレッジ"に礼をいう。対するパチュリーは右手に持ったメモに目を通しながら左手で何かを紙に書き込んでいる。


「お兄様ーー!!」


「ッ!?」


「またぶっ飛んだのか・・・この光景も最早見慣れちまったなぁ」


無月がパチュリーのメモに少し興味を抱いた瞬間突撃してくるフランドール。慌てた無月に抱きつくフランだが、吸血鬼の速度で抱きついたため、その場から真横に吹っ飛んで行く。それを見てカラカラと笑い声を上げるのは普通の魔法使い"霧雨魔理沙"である。その手には一枚の紙。それをパチュリーに差し出す


「ほら、また宴会やるんだが、パチュリーも参加しないか?レミリアの奴は参加する気満々だぜ」


「ここ最近宴会続きじゃないの・・・咲夜だけじゃなく無月も最近手伝いに参加しているのよ?期間をあけるべきだわ」


差し出された紙を見て怪訝そうな表情で提案するパチュリー。ここ半月ほど、幻想郷の最東端に位置する博麗神社では三日おきに宴会が開かれているのである。最初のうちは無月の怪我が完全に癒えていなかったため、咲夜が宴会での料理を作っていたのだが、一週間もすれば疲れが溜まり怪我がまだ癒えていない無月が無理をして手伝いに参加するほど、宴会が続いている。


「仕方ないだろう?あのお姫様の起こした異変で今年は桜がまったく見れなかったんだ・・・ここ最近は異変の兆候すらない。だから宴会しかやることがないんだよ」


「でも頻度が異常よ。妙な妖霧は発生してるし・・・私がその異常を調べるのもいいけど、無月貴方が調べてきなさいな。レミィには貴方が伝えなさい・・・今回の宴会は中止にするって。なんなら魔理沙の許可も得たといってもいいわ」


「・・・分かったよ・・・今回の宴会は一時中止だ。無月の調査が終われば宴会って事にするよ」


「・・・冗談ですよね・・・その顔は冗談じゃないんですか?・・・はぁ・・・承知しました」


肩を竦める魔理沙をジト目で一瞥すると、パチュリーは小悪魔(呼び方は"こぁ"。ロングヘアーの方)に指先だけで指示を出し、無月には口頭で指示する。一応とはいえ紅魔館に使えているという事になっている無月は、フランに抱きつかれたまま、やや怪訝な表情でパチュリーを見るが、その真剣な表情から冗談ではないと理解すると、了承する。魔理沙はかなり慌てた表情になるが、少しして納得したように頷く


「パチュリー様~もって来ました~」


「無月、これは貴方の新しい武器にと私が作ったの。最近貴方の血をより詳しく調べていたら魔法使いとしての素養がかなりあると分かったわ。この馬鹿騒ぎが終わったら私自ら貴方に本格的に魔法を教えるわ。これは貴方の戦い方を美鈴に聞いて作ったの。詳しくはこぁから手渡される紙を読んで理解しなさい」


「・・・ありがとうございます」


こぁ(ロングヘアーの方の小悪魔)が持ってきたのは一対のグローブ(所謂ハーフフィンガーと呼ばれる第二間接まで覆うグローブ)と二つのブレスレットだった。グローブには魔方陣が彫られており、ブレスレットには紅、蒼、碧、黄、白、黒の光沢がある石がはめ込まれている。


紙を受け取った無月は、グローブを嵌めてからブレスレットを付ける。すると背中にふわりと移動し、しがみ付いたフランが目を輝かせる。


「綺麗だね、お兄様」


「そうだな。パチュリー様、ありがとうございます」


「毎回貴方には驚かされているし、最近は楽しみも見つけることができた。これはそのお礼みたいなものよ。」


フランの言葉に頷くと、頭を深々と下げ、お礼を言う無月。パチュリーは小さく笑みを浮かべると、頭を上げさせる。


「では行ってきます、パチュリー様、フラン」


「いってっらっしゃーい」


「気をつけて。今回の異常事態、少しおかしいから」


背中から離れたフランに会釈程度に頭を下げ、パチュリーの言葉に頷くと、無月は図書館を後にする。そんな無月を見送ったパチュリーはそそくさと図書館の奥に引っ込むと、何かを作り始めるのだった。


‡‡‡


紅魔館 一階エントランス


「さて・・・咲夜とお嬢様はどこに・・・ッ!?」


受け取った武器の説明書を一通り読み終え、お嬢様ことレミリア・スカーレットと同僚である十六夜咲夜を探し、一階のエントランスに踏み入れた瞬間目の前に落下してくる影。慌てて右に跳び、その影を避ける無月。


「・・・・・・」


「咲夜!?」


土煙が晴れたとき、そこに居たのは探していた一人である咲夜だった。慌てて近寄り、抱きかかえて様子を伺う無月。改めてみると、エントランスのあちこちは欠けており、戦闘が発生していたと一目で理解できる有様だった。


「あら無月・・・貴方も私に用かしら?」


「ええ・・・今回の宴会、幹事の魔理沙に掛け合い、延期にしてもらいました。ですので部屋に戻って・・・ッ!?」


エントランス中央に浮くレミリアは無月に問いかける。それに答える無月だったが、レミリアの瞳が徐々に細くなっていくことに気がつき、大慌てで気絶している咲夜を抱えて横に跳ぶ。直後無月が居た場所にレミリアが勢いよく落下し、床が砕ける。


「・・・どういうつもりで?」


「宴会が延期?冗談じゃないわ!!私はここ最近、得体の知れない奴に主導権を握られっぱなしなのが気に食わない。だから今回の宴会のときにそいつをぶっ飛ばしてやるの。だから延期なんてさせないわ。咲夜も今回の宴会を延期するように進言してきたからね・・・再教育してやったのよ」


勤めて冷静に問いかける無月に胸を張って答えるレミリア。彼女が雄弁に語る中、無月の目は徐々に細くなってゆく。すると抱えられていた咲夜が薄らと目を開く。


「無月・・・」


「ここで休んでろ・・・お嬢様は俺が止める」


咲夜の揺れる目を見てはっきりと宣言する無月。そして再び気を失った咲夜を壁に寄りかからせると、空中のレミリアに向き直る。


「ッ・・・私に刃向かうのね?・・・いいわ。貴様も咲夜と同様、教育してやる!!」


「・・・ッ」


激昂したレミリアが怒りのままに右手を大きく振りかぶる。その手に集まる妖力の奔流に慌てることなく無月は素早く行動を開始する。右腕を大きく引き絞り、レミリアから見えないように武器を展開する無月。それを見たレミリアは、気にする様子もなく、スペルを宣言する。


「神槍「スピア・ザ・グングニル」!!」


「・・・初撃「強襲衝撃(アサルトインパクト)」」


レミリアの手から放たれる真紅の槍。それを迎撃したのは無月が宣言したスペルだった。拮抗は一瞬、その結果はレミリアのスペルが上に弾かれるという、レミリア本人からしたらありえない結果だった。


「・・・嘘でしょ・・・・私のグングニルが弾かれた・・・!?」


「隙ありだ・・・土符「大地呪縛(グラビティバインド)」」


唖然としていたレミリアの一瞬の隙を突き、無月がさらにスペルを宣言する。するとエントランスの床一杯に陣が描かれ、展開しきった次の瞬間、空中に居たはずのレミリアが一気に地面に落下してくる。


「くっ・・・これは・・・!!」


「これで空中戦は出来ない。遠距離攻撃も出来ない。これは俺の弱点をこの魔術陣内限定だが補うためのスペル・・・」


慌てたレミリアに少しずつ接近してゆく無月。対するレミリアは自らの爪に妖力を纏わせるが、その目に浮かぶ動揺が隠しきれていなかった。


「もう一度言います・・・宴会の延期を認めてください」


「嫌よ。私は今回の宴会の最中に主導権を握ってる奴をぶっ飛ばさなきゃいけないの・・・だから負けるわけにはいかないのよ!!」


叫びながら突っ込んでくるレミリア。その速度はかなりのものだが、無月は簡単に見切り、回避する。回避されたレミリアは壁を蹴り、再び無月に突っ込んでゆく。


「まだ後があるんで失礼・・・初撃「強襲衝撃(アサルトインパクト)」」


「ガッ・・・!?」


あと少しで無月に直撃するという瞬間、無月の姿がブレ、レミリアの爪は無月の頬に掠るだけしか当たらなかった。その後レミリアの水月に叩き込まれる無月の右拳。振りぬかなかった無月は拳にもたれるように気を失ったレミリアを咲夜の隣に寝かせると、紅魔館を後にするのだった。

感想やレビューが欲しいと感じる今日この頃・・・




来年もがんばりたいと思います。応援よろしくお願いします

                     2012年12月31日 作者 めーりん

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