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東方 朧雪華  作者: めーりん
紅霧異変
13/44

第十章 日常×新しい力への道標×目標

今章は紅霧異変解決から4ヶ月の時が経過しております。


魔理沙は相変わらず紅魔館に侵入を繰り返しています。


また、今章では小悪魔が増えます。


二次設定などにあるロングヘアーの小悪魔が今までの小悪魔、そしてショートヘアーの小悪魔が今章から登場です。


年月日は2004年1月の上旬です。


その頃あった出来事と言える事は、光の三妖精ことサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアの三人が紅霧異変に関して愚痴った位です。

紅霧異変解決から4ヶ月後


‡‡‡‡


「……またか」


「みたいです」


呆れたように呟く無月と同意しながら構える美鈴。二人の目にはしっかりと此方に向かって飛翔してくる人影が映っている。


「今日こそ突破させてもらうぜ!」


「潔いまでの宣言だな…。」


「ですねぇ…。」


遠方より聞こえる宣言に呟きながらも鞘に収まったままのスルトルを右手に持つ無月。


二度目の同意をしながら構える美鈴。その表情には苦笑しつつも若干の楽しみが浮かんでいる。


「いつも通りに」


「承知」


「今度こそ…!」


瞬く間にお互いの姿がハッキリと視認できる距離になる。構えた無月を前衛に、美鈴が後衛の配置に着くと同時に魔理沙が無月の頭の上を通過しようと加速する。


「学習しないな…。ショットBニードル」


「うげ…。前より展開が早い!?」


呆れたように無月が呟くと同時に門の左右から赤い針が広範囲に弾幕を張る。


その弾幕の展開する速さに驚いた様に魔理沙は減速する。


「隙ありですよ。」


「うば!?」


その隙に一気に接近した美鈴が魔理沙を捕縛する。魔理沙は少しだけ抵抗するが、すぐに諦める。


「魔理沙さん捕縛時間の記録更新ですかね?」


「……多分な」


「ちくしょー」


猫の様に魔理沙を捕縛しながら美鈴は門に銀筒を仕込む無月に問いかける。


侵入者撃退用に銀筒を門の上に仕込む無月は少し考え込み、頷く。


魔理沙は猫の様に捕まったまま悔しそうに無月を見ている。


「2ヶ月前は簡単に突破できたんだがなぁ…」


「日々精進あるのみ。俺は"飛ぶ"事ができないからな。策を練らないと勝てない」


「今では私もかなり苦戦しますよ?本当に無月の勤勉さには脱帽です」


本当に悔しそうに無月を見る魔理沙。


そんな魔理沙を朗らかな笑みを浮かべた美鈴から受け取る無月。


「とりあえずパチュリーさんに引き渡すか…。美鈴、しばらく任せる」


「はい。よろしくお願いしますね(そろそろ髪を切る頃ですかね)」


魔理沙を猫のように捕縛したまま、紅魔館に向かう無月。そんな無月の髪を見た美鈴は、考え込みながらも、門の前に立ちのんびりと空を見上げるのだった。


‡‡‡‡


「パチュリーさん…無月…です」


「…入って良いわよ」


図書館に到着し、魔理沙を片手で掴んだままノックする無月。立場上(実際にはフラン専属なのだが)口調を変えるように咲夜から注意されている為、意識している無月。


パチュリーの許可を得たため、魔理沙を掴んだまま中に入る。そこにはロングヘアーの小悪魔と、ショートヘアーの小悪魔が仲良く本の整理をしていた。


「(小悪魔が……増えた…?)」


「(私も疲れてるのか?小悪魔が二人になってるぜ…?)」


入口でやや思考が固まる無月と魔理沙。こちらに来ない二人に疑問に思ったのか、奥からパチュリーがやってくる。


「あら無月、お疲れ様。……驚いた?」


「……ええ。」


「こりゃ一体何なんだ?ドッペルゲンガーとか云うやつか?」


パチュリーの問いかけに、頷く事しかできない無月。魔理沙もまた、やや的外れな問いかけをパチュリーに向ける


「違うわよ。単純にメイド妖精だけだと役不足になりがちで手が足りなくなったから、裏方担当用にもう一人小悪魔を召喚したのよ。どういう訳かショートヘアーの小悪魔になったんだけどね」


「なるほど…。」


「そうなのか。まあいいやパチュリー、本読ませてくれ。今回は"借りて"行かないからさ」


説明するパチュリーにただただ感心するしかない無月。魔理沙は無月に捕まったまま、パチュリーに笑みを向ける。


「分かったわ…。でも絶対に持って行かせないからね。」


「おう」


「(と、言いつつ持って行かれた本はあまり積極的に回収しに行かないんだよな…。)」


無月の手から離れ、パチュリーの真正面の椅子に座る魔理沙を見ながら、若干嬉しそうなパチュリーを見ている無月。そんな無月にパチュリーが顔を向ける。


「無月。貴方にはこれね。多分役立つと思うわ。魔理沙の言い方を借りるわけじゃないけど、貴方が死ぬまでは貸しておくわ」


「なんだそりゃ…私にはそんな事言わないくせに…。」


「パチュリーさん、これは…?」


パチュリーが無月に一冊の分厚い本を手渡す。それを見た魔理沙が羨ましそうにパチュリーの方を見る。その視線を無視したパチュリーに無月が不思議そうに視線を向ける。


「貴方、スペルカード勝負で使える技が少ないじゃない。それ、参考になると思うから貸すわよ。あ、後でショートヘアーの小悪魔から無地のスペルカードを受け取ってね(勘だけど無月は厄介事に巻き込まれる気がするし)」


「……ありがとうございます。」


やや呆れ気味に自分の弱点を指摘され、やや困ったように本を受け取る無月。本の表紙には英語で「Magic Circle Create」と記されている。


「美鈴にでも練習相手になってもらうと良いわ。あの子ああ見えて回避と防御は一級品だから。」


「…分かりました(Magic Circle Create…直訳すれば創作魔法陣か…。)」


受け取った本を片手に図書館を出る無月。手にしている本は案外分厚く、読むのにかなりの時間が掛かるだろうと予想する。


‡‡‡‡




――ドドドッ――




途中、地下にあるはずの図書館の方から何かが崩れる音がしたのは気のせいだとスルーしていたのは、戻ったときの惨状を想像してしまったからである、と無月は自分に言い聞かせる事にした。


‡‡‡‡


「で、これがパチュリー様から借りた本ですか…。」


「ああ……。」


仮住まいにて休憩中の美鈴と共に分厚い本を見ている無月。本の内容はともかく、表紙のタイトル下や裏側に書かれた解読不明の言語を前にやや不安そうな美鈴。


「と…とにかく開いてみないと何ともいえませんね。一応紙とペンは用意しましたし…。いきなり何か出てきたりはしませんよね…?」


「…そうだな。……出てこない………はず…。」


美鈴に頷かれ、慎重に表紙を捲り、本を開く無月。美鈴も固唾を飲んでその様子を見ている。


「……何ともないな。」


「………ですね。」


拍子抜けした様に本を覗き込む無月と美鈴。


「でもなんで創作魔法陣なんてタイトルがついた本が無月の助けになるんでしょうか…。」


「さあな……」


とりあえず最初の項を読み進める無月に不思議そうに問いかける美鈴。無月も理由は分からないが、パチュリーの事だし何か理由があるだろうと希望的観測の元、読み進める。


「小悪魔二号(仮)から無地のスペルカードを3枚貰ったからな…なんか理由があるんだろ。」


「あるんですかねぇ…。」


本を読みながら半ば投げやり気味に無月は椅子の背に寄りかかる。美鈴はお茶を入れる為に一度無月から離れつつ返事を返す。


――ガターン!


「っ…!」


「無月!?」



いきなりの音に慌てて美鈴は戻るが、その目に映ったのは椅子ごと後ろに倒れ、痛みを堪えている無月の姿だった。


「もう…妙な所でうっかりというか何というか…」


「……ゴメン…。」


クスクスと笑みを浮かべながら無月に手を貸す美鈴。無月も紅魔館の住人の中でもフランと美鈴には素直に感情を表している。


「……これは…。」


「(そこは妙に嬉しいんですけどね…。)どうしました?」


そんな事実が少しだけ嬉しく、笑みを浮かべていた美鈴は、無月の声に反応する。無月はパチュリーから借りた本に挟まっていた二枚の紙を凝視している。


「スペルの案が浮かんだ…。」


「これで…って…これは…!」


無月は少し嬉しそうに美鈴にその紙を見せる。最初は不思議そうにしていた美鈴だったが、それの内容を見た瞬間、誰が書いた紙かを理解し、驚く。


「これって…。」


「間違いなく魔理沙が書いた紙だろうな…。これはパチュリーさんにちゃんと返した本の一つか。」


紙の端には魔理沙直筆のサインがある事から十中八九、この紙は普通の魔法使い霧雨 魔理沙が書いたまま回収し忘れたメモ用紙だと判明した。


「良いんでしょうか…。魔理沙さん怒りますよ?」


「アイツだって本などを散々盗んでいるんだ…。技の案を盗むくらい良いだろうさ。それにもう一枚…これはパチュリーさんの手書きのメモか。内容は魔女ではない人用の効率的な魔力精製法案等か…。案外、あの二人が一緒に居た時の物かもな。」


「(だんだん無月も魔理沙さんみたいに盗人になりそうで怖いなぁ…。)」


少し不安そうな美鈴に言い返し、魔理沙やパチュリーが書いたメモ用紙から必要な内容を素早く自分用のメモ用紙に書き写してゆく無月。そんな無月を困ったように見ている美鈴は、少々失礼な事を思い浮かべていた。


「さて…これから色々と忙しくなるな…。」


「そうですね。無月、頑張ってくださいね」


椅子から立ち上がり、首をコキコキと鳴らす無月に、エールを送りながらも美鈴は無月の頭を撫でる。子供扱いするなと無月は目線で訴えるが、美鈴はスルーする。


‡‡‡‡‡


この後深夜、紅魔館の庭で様々な音や現象が目撃されるようになり、人里の住人達が不安がったために急遽博麗霊夢に依頼が出され、霊夢が無月の元を訪れたのはまた別の話し

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