第九章 紅霧異変後日談
今章は短いです
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紅霧異変から半月後
「……どうしてこうなった。」
「…私はもう見慣れたわ。」
眼前で繰り広げられる光景に呆然と問いかける無月。その隣で疲れたように答える咲夜。
二人の眼前で繰り広げられるのはどこからどうみても駄々っ子としか見えないレミリアと、それを必死に押し止めようと奮戦するパチュリーの攻防戦だった。
‡異変の後日談‡
異変はレミリアの敗北で終わったらしく、無月が目を覚ましたのは異変解決から10日も後の事。
目を覚ました無月の目の前に居たのは目に大粒の涙を浮かべた主、フランドールの姿。泣きじゃくりながら肋が軋むほど強く抱きつくフランの包容に耐える無月にその10日間の出来事を説明したのはパチュリーだった。
パチュリーの話しによればフランにまた一人、友人ができたとの事。名前を聞いたとき、無月は一瞬誰か分からなかったが、直ぐに本人が(咲夜にとっ捕まった状態で)現れた為、思い出すことに成功する。
猫のように捕まった白黒…もとい霧雨 魔理沙は無月の姿を見るとやけに心配した表情で体の調子を問いかける。
無月が無事を伝えると魔理沙は自分の事のように笑顔になり、そして咲夜の手によって外につまみ出された。あの異変以来無断で侵入を繰り返しているらしい。
そんな出来事があったが、一番変化があったのは紅魔館の主であるレミリアだった。
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「日傘があれば外に出れるのよ?だからパチェ、そこを退きなさい。」
「日傘のおかげで外に出れるのは良しとしましょう…。でもここの所毎日の様に博麗神社に行ってるじゃない…。少しは自重しなさい。」
「……貴方の眠っている10日間は嵐の様な毎日だったわ。」
「あー…お疲れさまです。」
最早定番となった魔理沙の侵入をスルーした(もう諦めたらしい)咲夜が目の前で尚も繰り広げられる言い争い(もといレミリアのワガママ)を見ながら疲れたように呟く。
無月はそんな咲夜を労るように肩に手を置く。どうやらレミリアは咲夜の言葉を聞かずに、毎日の様に博麗神社(紅白巫女の居る場所)に出向いているらしい。
「無月や咲夜もレミィを止めてちょうだい。いくらなんでもこれじゃあの巫女が気の毒だわ。」
「好きにさせれば良いんじゃないか?その内その紅白巫女に怒鳴られると思うが…。」
「今回ばかりは無月の意見に賛成ですわ。あの紅白巫女…博麗霊夢に任せましょう」
必死に止めるパチュリーの意見をバッサリと切り捨てる無月。咲夜もため息をつきながら無月に同意する。
「と、言う訳よ。咲夜、付いてきなさい。」
「分かりましたお嬢様。…多分すぐに戻ると思うわ。」
ポカーンとしたパチュリーの横を通り過ぎながら日傘を手にするレミリア。咲夜はレミリアに返事をすると、無月に小さく告げ、レミリアの隣に並び、日傘を受け取る。
「さて…俺は美鈴の所に…グフッ」
「無月――!!」
ハッと我に返り、図書館に急ぐパチュリーを見送った無月は、門番補佐として美鈴の元に行こうと考える…が、その前に無月の姿が横にブレる様にしてその場から消える。
「フラン……毎回のように全力に近い力で飛びつくの止めてくれ…。」
「えへへ~。お兄様、魔理沙どこか分かる?」
「あ~…パチュリーさんの所だな。」
「パチュリーの所?じゃあ、行こ―!」
「(俺も…飛べたらな…。)」
フランの力(彼女は飛んでいる)で紅魔館の廊下を滑空しながら、これも異変後、定番となりつつある主との会話をしながら無月はフランの手で図書館に運ばれる。
二人目の"友達"ができた事でさらに明るくなったフラン。未だに姉のレミリアとは仲直り出来ていないが、いずれは仲直りできると良いと考えながら、無月は笑顔のフランの手で運ばれていくのだった。密かに飛べない悲しみを抱きながら…。




