表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねえねえこのこ  作者: らゐをふ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

しろからしろに

「今日はパパとお出かけに来ました。ですがパパはいつの間にか迷子になっていて、私はひたすらにパパを探していました。そしたら、パパは見つかりませんでしたが可愛らしい『猫さん』を見つけました。」


 猫さんは私に気付いていません。ただでさえ人通りの多い所なのに猫は堂々と佇んで居ます。そおっと近づいて、抱き上げてみました。

「猫さん!ここに居たら踏まれちゃうよ?」

 猫さんは暴れます。落ちないように耐えていましたが、負けてしまい華麗に着地を決められました。

「…」

「猫さん!どこ行くの!」

 なんとなく、着いてこいと言われた気がしたのです。本当は探さないと行けないパパのことを、一旦忘れて猫さんと冒険してみる事にしました。


 知らない森の中。カラスが飛び出したり蛇を踏んだりして、少し泣きながらも猫さんに着いて行きました。もうとんでもなく後悔しています。

「あれ?猫さん?」

 大きい木を曲がったら、猫さんの姿を見失ってしまいました。こんな森に一人ぼっち…顔が青くなっていくのを感じ、恐怖でしゃがみ込んでしまいます。

 静かになってしまい細かい音が耳に届きます。葉っぱの揺れる音、動物の鳴き声、人の寝息。…人?

「…ぐぅ」

 大きな木の向こう側に、男の人が寝ていました。それはもう堂々と、深い眠りに着いています。

 不安や寂しさを紛らわしたい、その一心で男の人の近くに寄り添ってみます。そして、お腹を枕にして私も目を瞑りました。ごめんなさい知らない人、私もちょっとだけ寝むりたいんだ…。


「うわっ!誰これ何コレ!?」

 大きい叫び声で私は驚きながら体を起こします。何分経ってしまったのでしょうか…そういえば知らない人のお腹で寝ていたような、変な夢だったなぁ。

「に 人間!?なんでこの森に…」

 夢…じゃなさそう。ボサボサの手入れしてない長くて黒い髪の人は、私を見つめて色々考察しています。

「…おはようございます」

「しゃべった!?」

 迷ったけどまずは挨拶。パパにも挨拶は大事だと教わりましたから。

「おはよう…君は何者?」

「猫さんを追いかけていたら…ここに来ちゃって」

 男の人は顎に手を添え、また考え始めます。

「『ニタマ』の仕業か…?」

「にたま?」

「俺の使い魔…じゃなくてペットだ その猫って『茶色』じゃなかった?」

「うん…黒かった」

 「茶色」では無いかな、猫違いなのかも。しかも「使い魔」って言いかけた。その見た目と喋り方からしてなんかこう、「恥ずかしい人」っていう印象を受けていました。でも悪い人じゃなさそうで少し安心します。

「俺が『クロ』なのに猫も黒かったら紛らわしいだろ…」

「あなたクロって言うの?」

「…そうだ 忘れかけていた『嫌い』な名前だ」

 自分の名前を嫌いになる事なんてあるんだ。親から貰った大切な名前の筈なのに、きっと親との仲が悪いのでしょう。私にも素敵な名前が付けられているのですが、この人に名乗ると可哀想なのかもしれない。私は、生まれて初めて「嘘」をつきました。

「その名前を嫌うなら 私は反対に『シロ』って名乗るから!」

 私は「シロ」。色んな人の「不幸」を白く塗り替えてみせる。そんな、ちょっと恥ずかしい意気込みを考えながら驚く「クロ」に指を指しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ