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第30話:やっぱり、いつもの明るい笑みが彼にはよく似合っている

 玉座の間から出たシリルは走った。こちらを振り返る兵士や召使いたちなど気にも留めず、ひたすらに。城から出て宮殿へと向かった彼は中庭へと向かうとテラスに続く薔薇のアーチをくぐり抜けた。



「アメリっ!」

「シリル様?」

「お兄様どうしたの?」



 テラスでマリアとお茶をしていたアメリは息を荒げたシリルに驚いたふうに声をかける。瞬間だ、彼に思いっきり抱きしめられた。



「し、シリル様っ!」

「やったよ、アメリ! 父上に認められた!」



 ばっと身体を離してシリルは嬉しそうに頬を緩ませる。アメリの手を握り、ぶんぶんと振りながら今あったことを早口で話した。最初は混乱していたアメリだが、話を聞くにつれ納得いったようだ。すごいですと立ち上がり、ちいさく飛ぶ。



「よかったですね!」

「君の言った通り、想ったことを伝えたんだ。アメリが背を押してくれたおかげだよ」

「わ、わたしは何も……」

「ありがとう、アメリ」



 シリルはぱっと明るく日向のような笑みを見せる、それだけで嬉しさというのは伝わってきた。



「シリル様はその笑顔が一番です」

「え?」


「わたしに愚痴を言っていた時は悲しげだったので。明るく元気なその表情がシリル様にはよく似合っているなって、その……思って……あぁ! 勝手に思っていて、そのすみません!」



 黙ったまま見つめてくる様子に気分を害してしまったかとアメリは慌てて謝る。そんな彼女にはっと我に返ったシリルはそんなことないよと返す。



「ありがとう、アメリ。そう言ってくれると嬉しいよ」

「そ、それならよかった」



 ほっと安堵したように微笑むそれをシリルは優しく見つめる。



「で、いつになったら手を離すの、シリルお兄様?」

「え」

「ワタクシ最初っからいたのだけれど?」



 頬杖をついてマリアはむすっとしたふうに兄を見るその様子は自身が無視されたことに少し怒っているようだ。シリルはあーっと声を零し、アメリから手を離す。



「見てた?」

「抱き着くところから全部見てたわ」

「兄さんたちには内緒で」

「言えないわよ、怖いもの」

「怖い?」



 何のことだろうかとアメリが首を傾げればmマリアは言いたげに見つめながらぐっと堪えたように溜息を吐いた。



「どうしてお兄様たちはこうも落ちるのかしら」

「それは……」

「まぁ、アメリが此処にいられるならいいのだけれど」

「何の話です?」

「アメリにはまだ早い話よ」



 二人の様子がよく分からず、気にはなるもののまだ早い話と言われてはそれ以上、聞くことはできない。それでも不思議そうにしている彼女の様子にマリアはまた小さく息を吐いた。

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