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神のゲーム  作者: ベイフィルド
2/2

目が覚めて

「おい!道の往来で突っ立ってんじゃねぇ!」

どやされて、ハッとなった、それこそ目が覚めた感じ。

慌てふためきながら道のはじに寄り、周囲を見渡す。

平坦にはならされているが舗装まではされていない道、出店のようなものがちらほら見える街並み、

レンガや木、土壁でできた建物、頭の中に”中世”という言葉が浮かんだ。

まだ日が明けて時間がたっていないのか、清浄な空気の中あわただしく人が行きかうのが見える。



-おちつけ・・・おちつくんだ・・・そう、素数を数えるんだ・・・


いきなり身の危険はなさそうなので、深呼吸する、今にして思えばありがちな森スタート、という可能性もあった。

その場合はいきなりゴブリンに襲われたりして命の危機に襲われるんだろう。

そう考えれば悪いスタートじゃない、ここからどうすればいいかはよくわからないが。


まずは、そう、自己分析をしよう。


身長は・・・町中の人と比較して目線が高いから高いほうだろう、180は超えている気がする。

体格はやせ型、ハーフエルフって言っていたから妥当なところだろう。

顔は鏡とかないからさすがにわからないが、耳が少し長いことだけはわかる。

持ち物は・・・水筒と財布、財布の中身はちらっとのぞいたら金と銀の輝きがあったからそれなりだろう。

持ち物は以上。


え、これだけ? ・・・いやいや、金があるだけでも気が利いているのか、価値がよくわからないけど

金貨ってことはそれなりの金額だろう。物を支給する代わりに金を支給するってのはありっちゃありだろう。


しかし、ここからどうしたものか、手持ちを食いつぶすにしても長いことは続かないだろうし・・・

・・・現実的には・・・一週間程度を目途に仮宿に泊まって、何とか職を見つけて定職に就き、口に糊する感じか・・・


・・・それが妥当だな、とにかく生活基盤を・・・


『ダンジョンに潜れ、その準備をせよ』


なにか形状しがたい音と声が脳内に響いた。

-なんだ、これ、きもちわるいな・・・とにかく、宿に・・・

不快感が強くなる、なんだ? これは?


-これはゲーム


・・・ああ、そうか、なるほど、ゲームキャラクターがいきなり一般市民を目指しだしたり村人(ここは街だが)になったらつまらない、ということだろう。


「ちょっと、妖精さん、大丈夫? 顔色が悪いみたいだけど?」

かけられた声に何とか顔を向けてみると、人のよさそうな中年女性が心配そうにこちらを見ている。

「はい・・・ありがとうございます・・・どうも貧血みたいで・・・」

「そう? じゃあ、お水だけでも飲む?持ってきましょうか?」

随分と人が良いようだ、それともこの町の人間がやさしいのだろうか、よくわからないが。

「いえ、大丈夫です、少し休んだら」ひょっとしたら、何か入れられているかもしれない、と思ったのは秘密だ。随分と自分は疑り深いらしい。

「すいませんが、この町か近くにダンジョン?、ってありますか? 知り合いと待ち合わせをしているのですが」

中年女性・・・なんか失礼なので御婦人としよう。御婦人はなんども大丈夫かを確認してから

「そうね・・・この通りをまっすぐ行くとダンジョンの詰め所があるから、そこで詳しい場所を聞くといいわ。ごめんなさい、文字は読めるわよね?

そう、大丈夫なら良いわ。本当に大丈夫なのね?」

「はい、大丈夫です、少し休んでいたら良くなりました、長旅が堪えているんですかね」適当に話を合わせたが、気分は回復していた、活動指示に合っているとみなしたのだろう、不快感は消えていた。

反面、抵抗し続けたら天井知らずに不快感が強くなっていくような予感があった、ずっと抵抗し続けていたら動けなくなっていたんじゃないだろうか。


未だ心配そうな御婦人に礼を言い、通りを歩いていく。

まぁ、強引に言いなりにされるのは不快だが、何もないなか指針を出してもらえるというのは良かったとみなそう・・・この気持ちも操作されてなければだけど。

全くサポートがないわけでもない、言葉はわかるし、なんか文字も読めるし。

町中を歩いている人種は肌の色は黒、白、茶とある程度バリエーションはあるが日焼けした白人系が多い気がする。

ほとんどが人間、ごくまれにエルフ、獣人、ドワーフが居るが、大体が軽く武装している。

軽武装なのだろうが町中で大型のナイフをぶら下げているのはぼんやりした前世の感覚から怖いものを感じる、

小型でも包丁くらいの長さがあるので町中で包丁をぶら下げている感覚というのはちょっと名状しがたい。

少し慄きながら通りを歩いていく、パン屋、八百屋、肉屋、雑貨屋といろいろな店がある。

その中で驚いて二度見してしまったのは奴隷商だ、さすがにほかの店と同じく頻繁にあるというわけではないが、普通に奴隷制があるらしい。

-さすが異世界、なんか古代ローマっぽいな、いや、見たことないけど。

あまりきょろきょろするのも絡まれそうで怖かったので、なんでもない風を装いながら歩くこと20分。

”ダンジョン攻略詰め所 第三支部”と看板が上がっている建物が見えてきた。

結構立派な建物で、石造り2階建てとなっており、結構大きい、儲かるんだろうか?

大きなドアが開放になっているため、中がうかがいやすいようになっている、外から見えるようにすることでオープンな雰囲気がある。

「失礼しまーす・・・」

少し頭を下げながら入る、中をうかがうと受付が3か所あり、美女美男おっさんのラインナップ。当然のようにおっさんは不人気。

当然のようにおっさんに向かう、何にもわからないので客がいる窓口でいろいろ聞くのは迷惑だろうし。

「すいません、ダンジョンについてよくわからないので教えていただきたいんですが」と禿げた筋骨たくましく、

顔に傷があり、髭の生えた山賊っぽいおっさんに話しかける。

「ええと・・・どのレベルでわからないのでしょうか?」山賊っぽいフォルムの割には、とても丁寧な口調だった、丁寧な山賊・・・。

「あっと・・・この街に来たばかりで全くわからないのでそのレベルで教えていただくと・・・」

「ああ、そういうこともありますか・・・本都市のダンジョンは階層型となっています、現在攻略階層は15層、場所は町はずれにあります。

入るにあたっては実技試験に受かる必要があります、ええ、自由に入られると事故の元ですからね。

一般的には数人でパーティーを組んで入ります、斡旋についてはこちらで実施しています、ただ、実績のない方はなかなか難しいですね、

ルーキーで組むにしても実技試験の結果からこちらから提案させていただきますが、こういうのは機会ですからね

・・・なかなかパーティに入れない方も居られます」

つまり、自分がそうなんだろうな!

「ええと、申し訳ありません、どうすれば良いのかわからないので、よろしければ提案いただけないでしょうか?」

おっさんは少し驚いた顔をした後、凶相を歪めた・・・凶相は言い過ぎか、実際は笑んでいるのだろう。

「ええ、ええ、よろしければおかけになってください」少し時間がかかると思ったのだろう、受付外にある簡素な応対セットに導かれた。

いくつかの書類を出してくる。

「一つはある程度の実力がある方、実技試験を受けて一定の能力があると判断された方向けです。

 次に既存のパーティーに付いて行って教育と経験を積むもの、当然パーティーとしては残念ながら

足手まといとなるため、よほどの関係性がなければ金銭が要求されます、貴族の方とかが多いですね」

ここで話を切り、お茶を入れて進めてきた。

なんというか、とてもちゃんとした丁寧な対応だ、こういうギルド的なものは横柄なイメージがあるので良い意味で裏切られた。

「最後に兵士として仮登録して訓練を受ける、ですね。私としてはこれが最もおすすめです、給料も多少ですがでます」

ちょっぴりですがね、と苦笑する。

「基本一年、専門的な訓練を受けてその後を決める事になります、安定しているのでそのまま兵士に本就職される方も多いですね」

ずずっとお茶をすする。

「どうやら文字が読めるようですので、案内をお貸しします、組合外に持ち出し不可ですのでご注意を、

この時点で質問はおありでしょうか?」

ちらっと、やや質の悪い紙でできた案内に目を向ける、質問するにしてもある程度目を通したほうが効率は良いだろう。

「いえ、丁寧にありがとうございます、まずはお貸しいただいた案内を読ませていただいて、それでもわからないことがありましたら

申し訳ありませんが質問させていただきます」

おっさんは満面の笑みで

「いえ、ご丁寧にありがとうございます、こんなにスムーズに話が進んだのは初めてです。

 では私は受付に戻りますので、何かありましたらご相談ください」

最後まで丁寧な対応なおっさん、プロだ。


案内に目を通す。

なるほど、おっさんが丁寧なわけだ。

組合と言いながら公的資金が入っている、要は半民半公なわけだ、そりゃあ、横柄な口を利く公務員とかないよな、

だから訓練所を推してきたのかもしれないが、まぁ良い選択肢だとは思う。


感覚として提示された三つの選択肢について神は特に異論はないらしい、無干渉を感じる。


訓練所の案内を見ると、よくできている。

国としては安価で兵を雇うことが出来、組合としては一定の安定した戦力を入手することが出来る。

衣食住は訓練所で提供するため、生活には困らない、貯金できないレベルでの給料は出るらしい。


ふむぅ・・・この中で選びうる選択肢は・・・。

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