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不幸な青年は異世界に行くと幸せになれるのか  作者: りーとちぇ
人間は簡単に悪魔になれる
9/10

なにもない

彼女を殺した彼は、自分の過去を思い出していた。


彼には昔から願いがあった。それは...存在しないことだった。


現存する世界を生きていくことになんの意味があるのだろうか。


全てを超越し、時間さえも我々の観念にすぎないのかもしれない。


でも、それはなにもないのと同じだ。


死ぬことになんの意味があるのだろうか。人がいつ死ぬのかなんて、実際のところどうでもいいことなんじゃないだろうか。


どうせ、人間はいつか死ぬ。


彼は昔から虚無の中で生きていた。


親に対する愛情も一切なかったし、兄弟に対してもまるでなかった。


ただただ、人間が気持ち悪かった。


彼には好きな女の子なんてできたこともなかった。


あれは...いつだっただろうか。彼の母親が病気で死んだときだったろうか。


彼の母親の葬儀が開かれることになったのだが、彼はまるで悲しくもなかった。


葬儀に来ていた人達はみんな泣いていたのに、息子の彼は一切悲しくなかったのだ。


親戚のおばさんに「あなた、お母さんが死んだというのに悲しくないの?」と聞かれたが、彼は「いや、特に悲しくはないよ。」と答えた。


親戚のおばさんは彼を気味悪がった。


実の息子が母親が死んだことに対して、悲しみを見せないなんてありえるのだろうか。


彼は虚無の中に生きていたのだ。


葬儀は終わったが、彼は精神に問題があると親戚のおばさんに告発をされ、病院に連れられることになった。


だけど、病院でも特に彼は精神に対して問題があるとはならなかった。


彼は...この世界にはなにもない。


そう思っていただけだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


彼女の死体を眺めていた彼だったが、途端に死んだ彼女になにかすることも面倒くさくなったのだ。


(もういいや)


彼は教会を出た。



教会を出た瞬間だった。光が彼を飲み込み、


彼は別世界にワープしたのだった。


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