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不幸な青年は異世界に行くと幸せになれるのか  作者: りーとちぇ
人間は簡単に悪魔になれる
2/10

並行世界とピアノと女の子

「ここは...?」


俺は目を覚ました途端、不思議な場所にいた。


誰かいないのか....


誰か...


彼は自分が不思議な場所にいたことに混乱し、人がいないかあたりを見回した。


(とにかく、あたりを探してみよう。いや、というか俺はなんでこんなところにいるんだ。

わからない...なにか重要なことを忘れてる気がする。

とりあえず、目の前にある建物に入ってみよう。)


彼は目の前の建物に向かった。


「誰か、誰かいないのか」


彼は建物の前に着くなり、誰かを探していた。


人間嫌いな男でも、外で人がいないと混乱するものだ。


人間は意外に環境にすぐには適応できないから。


「誰かいないのか?」


彼は誰もいないことが怖くて怖くて仕方なかった。


返事はない。とりあえず探索をするか。そう彼は決めた。


家の中に入り、家の中を色々歩きまわっているうちに彼はリビングに入り、驚きを隠せなかった。


(思ったより広いな。家具も普通だ。テレビ、テーブル、ソファー、ピアノなどがある。ピアノの上にはエリーゼのためにの楽譜が置いてある。)


座ってエリーゼのためにを弾きたくなった彼は椅子に座ろうした。


ピアノの前に座った瞬間の出来事だった。


目の前にあったピアノは意味もなく勝手に音が鳴った。エリーゼのためにだ。


(エリーゼのためにが流れてる。あいかわらずいい音楽だ。)


「そこのピアノには勝手に触っちゃだめだよ。」


後ろに誰か立っていた。


話しかけてきたのは女の子だった。見た目は中学生ぐらいだろうか。あまり胸も大きくなく、髪型もそれほど長くない。いわゆるショートボブというやつだ。


「君は?」


彼は彼女の顔を見ながら聞いた。


「とにかくそこの椅子から離れたほうがいい。」


彼は少女に言われた通りに椅子から離れた。


「で、あんたは?」


(というか俺、なんで女相手に話せるんだ。相手が餓鬼だからか。)


「私は(そら)。苗字はないの。ただの空」


「了解。とりあえず空。お前はなにをやって、この家についてどれだけ知ってる。もしかしてこの家の家主か?」


彼は聞いた。


「私はちょっと前からこの家に住んでる。でも、家主じゃないわ。理由はそうね、ここには誰もいないからよ。とりあえずこの家で探索できるところは探索したけど、ここには誰もいなかった。ただ、この家についてわかってることはある。それはそこのピアノは触ってはいけない。今日はエリーゼのためにの楽譜が置いてあるけど、昨日は違った。昨日はショパンのetude10-4だった。そこに置いてあるピアノの楽譜は日が経つにつれ変わっていくの。そして、あなたみたいにそこの椅子に座ると勝手に曲が流れだす。置いてある楽譜の曲がね。」


「なんだそりゃ?気味が悪いな....本当に君だけしかいないなら、そんなことがあるはずがない。そもそも君はなんでそこのピアノを触るのはいけない、なんてわかるんだ?」


怪訝そうに彼は言った。


「それは私が最初にこの家に来た時にこの紙があったの。そこにはピアノだけは触るなって。」


彼女は紙を彼に見せた。そこには本当にピアノだけは触るなと書いてあったのだ。


「君はショパンは好きか?」


「えぇ、とても好きよ。」


彼女は嬉しそうだった。


「空、お前はどうやって俺に気が付いたんだ。」


「私はいつもしてるように2階から1階に降りたら、ドアが開いてるのが見えて、それで誰か来てるってことに気が付いたの。」


彼女はさっき自分が入ってきたドアを指で刺しながら、彼に説明した。


(ドアだと...あ、そういえば閉めるのを忘れてたな。)


「空、とりあえず俺はこの家をもっと知りたいんだ。あと、お前のことも。だから一緒に探索に付き合ってくれ」


「わかった。」


彼女は了承した。


「なぁ、空。とりあえずパンツ見せてくれ」


「え...」


(ははっ言ったぞ。前はあれだけ言えなかったのに、今は言えたぞ。

あぁ...この誰かに虐げられるかもしれないという快感はたまらない。

あぁ...最高だ。

俺は意地悪な人間だ。)

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