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第5回配信 突発ソロ配信決定!! ……ってそれはちょっとハードル高くないか?

 やってきました東の草原。装備が変わったのでテンションが高いぞ。見た目が趣味に刺さってるからな。見た目は非常に重要だからな。ここまで来る途中でアバターを何回か確認してその度にニヨニヨしていたのは秘密だ。側から見たら不審者だな。しかし今の俺は幼女だから問題はない。おっさんだったら通報案件だったろうけどな。


 では早速やりましょうか。ふふん。意味なくバトルアックスを振り回してしまう。大丈夫だ。周りに人がいない事は確認してある。


「もしや、澪殿ではござらんか?」

 周りに人がいないと言ったな。あれは嘘だったようだ。というか誰だよ。このゲームに知り合いなんていないぞ。

 楽しみを邪魔されたので不機嫌さを隠さずに声をかけられた方を見る。これは現実でやると職場で嫌われるからやめような。おっさんとの約束だ。


 見たらテンション高めの侍がいた。これは俺の不機嫌さには気づいてないな。

「誰だ?」

「失礼、某は某という侍をやっているプレイヤーでござる」

 それがしはそれがし?一人称が某でプレイヤー名が某。紛らわしいなおい。どうでもいいけどござるキャラなのね。実際侍ってござるって言ってたのかね?侍というかSAMURAIって感じだな。これだとスレイヤーなNINJAもいそうだな。


「そうか、じゃあ、そういう事で」

 よく分からんがこういうのは関わらないのが一番だ。

「某、澪殿の配信を拝見しそれ以来ファンになったでござるよ。よく見れば装備が変わってるでござるな。とても似合っていて良いでござるな」


 俺の話を無視して話す某。テンション上がって話が聞こえないタイプだな。どうしようか面倒だな。

「って配信?なに、あれ見てたのか」

 あんなどこにも需要がなさそうなものを見るとは暇人なのか?


「見てるもなにも結構な人が見ていたでござるよ。初回の配信であそこまで視聴者がいるのは凄いことでござるよ。これも澪殿の魅力のお陰でござるな。コメントへの返信がなかったことが残念なところではござったがそれは別に良いでござるよ。それでこれからの配信の予定はどうなっているでござるか。是非とも定期的に配信を行なって欲しいでござるよ。そしてもし余裕があるならコメントへの返事をして欲しいでござるが……」


 ハイテンションマシンガントークSAMURAI。どうしようか。とりあえず一発殴っとくか。分からない時は取り敢えず一発殴ってから考えるって昔偉い人が言ってたしな。よし殴ろう。

「へぶぅうう!!」

 バトルアックスをフルスイングしたらSAMURAIが飛んでった。あれ?殴った後に思い出したがPVPっ出来ないんだから殴れないんじゃないのか?


「パーティに入っていないとダメージは入らないでござるが衝撃やノックバックは普通にあるでござるよ。悪質なのだとそれでPKを狙ってくる者もいるでござるよ」

 よく俺の疑問が分かったな。でもそうか。パーティに入らなければダメージは入らないけど殴ることは可能か。良い事を知った。


「出会いの記念に良い一撃を貰ったでござるよ」

 こいつ変態か?殴られたのに嬉々としてやがる。

「この出会いを記念してフレンド登録して欲しいでござるよ」

「えっ、やだよ」

「何故でござるか!?」

 何故もなにも普通にしないだろ。


「生きてるばぁちゃんが知らない人とフレンド登録するなって言ってたから」

「まだ生きてるんでござるな」

「今年で94になるな」

「お元気で良いでござるな」

 本当に元気なんだよな。普通に自転車乗ってるし。そのうち健康食品のCMのオファーが来るんじゃないかと思ってしまうよ。

「しかし本当に祖母殿が言ったでござるか?」

「本当だ。他にも貸した金は二度と返ってくると思うなと、どんなに仲の良い友人から言われても連帯保証人のサインはするな。だな」

「そ、それは大事でござるな」

 本当に連帯保証人は気をつけろ。友情どころか人生も崩壊する可能性があるからな。

「そういうばぁちゃんが言った事だからお前とのフレンド登録は出来ん」

「くっ、それでは今回は諦めるでござる。しかしいつか必ずフレンド登録出来る様に頑張るでござるよ」

「あぁ、まぁ、頑張れ」


 某はそのまま走っていなくなった。なるべく関わりたくないがこういうのは向こうから来るからなぁ。考えても仕方がない。また来た時はその時に考えよう。

「それにしてもあの配信を見てた物好きがいるんだな」

 確か配信のメニューから視聴者数とか見れたのや。ちょっと確認してみるか。



【酒の肴配信】

視聴者数  1157

コメント数 2779



 多いな!?コメントも多いし訳が分かんねぇ。俺が言うのもなんだが世の中大丈夫か?しかし某が言ってたから需要はあるのか。まぁ、やった事に反応があるのは嬉しい事ではあるけどな。配信ねぇ。今やるとしたらソロ配信て事だろ。そうすればソロ配信ってどうすれば良いんだ?取り敢えず流しておけば良いのか?おっさんはメンタルが弱いから叩かれたらすぐにへこむぞ。それはガッツリへこむからな。どうすっかなぁ。やってみるか否か。


「やってみるか。嫌な思いしたらすぐに止めればいいしな」

 声に出してみると意外とヤル気になったりするのだよ。よし男は度胸だ!今の俺は幼女だがそこは気にするな。

 タイトルは【ソロ配信】で良いか。本当に誰か来るのか?よし配信開始。ポチっとなっと。


『わこつ』

『わこつ』

『幼女の配信が始まったのか?』

『澪殿始めてくれたでござるかぁ!?』

「うわっ、本当に見てるのがいる」


 マジか。すぐに来たな。そしてコメントが多くて付いていけないぞ。そして某いたぞ。アイツさっきまでいたのにどうやって配信見てるんだ?ゲーム中も見れんのこれ?

『今回はコメントを確認している』

『我々に反応しておるぞ』

『今宵は祭りじゃあ!』


 みんなは急にテンション高いやつが来るとテンションが下がる時はないかい?今の俺がまさにそれだ。

『むっ、澪殿が反応してござらん』

『大丈夫か?』

『なんか言ってくれぇ』


 はっ!?そうだった。配信してるんだからなんかしないとな。って言っても何をすれば…。挨拶でいいか。社会人の基本は挨拶だしな。

「あ〜、初めまして?だよな。澪です」

『前回も見てたけど初めまして』

『声もキュートっすね』

『某はさっきあったから初めましてではござらんけどな』

「なんとなくやってみた配信だからよろしく」

『ぉK。最初はそんなもん』

『配信してくれるだけでええんやで』

『動く君が見たいんじゃ』


 良かった。俺の目に着くコメントは好意的なのが多いな。コメントが多くて流れて確認出来ないのもあるけどな。

『澪ちゃんはいつから始めたの?』

 質問も来てるな。答えられるのには答えるか。

「1週間前から始めたな」

『ガチの初心者。それで配信するとかハートが強い』

『俺はそんなこと無理だ』

『もしかして別なので配信とかしてた?』

「配信は黎が急にやろうって言って突発的に始めたからな。黎って言って分かるか?」

『ゴブリン王子でしょ』

『大丈夫。前回の履修済みだから分かる』

 黎。お前はゴブリンで覚えられたみたいだぞ。強く生きろ。原因はお前の行動だから同情はしないがな。


「配信はこのゲームが初めてだな。だから勝手が全く分からん。慣れてないからコメントの見逃しとか結構あると思うんだ。色々不都合があると思うが笑って流してくれるとありがたいな」

 ふっ、社会人になるとな。何かあった時のために先に予防線を張って置くんだよ。俺も汚い大人になっちまったぜ。


『りょ』

『問題なし』

『ゲームしながらコメ返しとか大変だよな』

『俺は無理だ』

『質問とかしても良いですか?』

 

 質問か別に問題ないな。

「答えられるものならな。内容によっては答えないけど」

『それで問題ないです』

『澪殿を知るチャンスでござる』

『じゃあ、好きな言葉とか欲しいものとかはありますか?』

『いきなり貢ぐものを探すような質問だな』

『だが気になる』

 

 好きな言葉に、欲しいものねぇ。

「好きな言葉は非課税。欲しいものは不労所得だな」

『ちょっww』

『確かに欲しいけどw』

『貢ぐことは出来ないなw』

『幼女にあるまじき発言w』

「一応言っとくけど、俺は幼女になりたいんじゃなくて、可愛い幼女でゲームをしたいだけだからな。RPなんかはする気は全くないぞ」

 ここは間違えてはいけないところだ。


『潔いw』

『そこに痺れる、憧れるぅ!』

『なんか幼女になって言ってみたいセリフとかないの?』

 言ってみたいセリフか。

「スパチャありがとうございます」

『wwww』

『俺も言ってみたい』

『幼女関係ねぇw』


『ところで澪さん。装備が変わってるけど。それどうしたの?見た事ないやつなんだけど』

『それそれ。俺も気になってた』

「装備か。普通にNPCの店で買ったんだけど。なに、この装備売ってないのか?」

『初めて見た』

『普通店売りのやつは見た目同じなんだけどね』

『NPCってどこの店?』


 これはあれだな。親方との約束があるから親方の店とは言わない方がいいな。NPCだとしても約束を守ることは大事だからな。誰にも店のこと言うことはないと思ったがまさか配信でこの話題になるとは思わなかったな。

「NPCの店だけど、そこの親方から教えるなって言われたからな。見つけたとしてもNPCの紹介がないと仕事はしないって言ってたな」

『マジ?そんな店あるの』

『さりげにそれ新情報なんだけど』

『NPC誘発の店か。そんなのがあるとは分からなかったな』

 みんな知らなかったのか。すぐにこれを知った俺はラッキーだったってことか。


「ちなみにだが誰から紹介してもらったかも言えないぞ。教えたらNPCの好感度とかが減りそうな気がするし。自分達でNPCと仲良くなって教えてもらってくれ」

 姐御が怒ったら超怖そうだしな。

『NPCの好感度か。ありそうだな』

『教えたらデメリットになりそうなことは流石に教えてくれとは言えないな』

『この情報を検証板に載せて有志に検証してもらうのがいいんじゃないか』

 検証板ね。それぐらいならいいんんじゃないか。


「まぁ、そういう事で俺はこの新しい装備を使いたいんだ」

『ぉk』

『新しい装備ってテンション上がるよな』

 よし、早速一角ウサギを狩ろう。まずは感覚を知りたいから1匹だけのを狙おう。そういえば姐御にアーツ教えてもらってたな。折角だからそれも試そう。


 丁度10m先に一角ウサギが1匹いる。この距離なら届くかね。

「ハチェット!!」

 バトルアックスを一角ウサギに向かって投げる。おぉ、回転しながら飛ぶのね。そして俺の手にはなにもないと。

 ハチェットが一角ウサギに当たると一角ウサギは光になって消えた。当たるとすぐに武器は戻ってくるのね。威力は武器変えたのもあるからよく分からんな。一角ウサギを一撃だから弱くはないんだろうけど。ちょっと内容確認しとくか。



ハチェット:斧系統の武器を投擲する。投擲距離はSTR依存 威力 75 リキャストタイム 40秒



 なるほど。まんまだな 。STR上げるとどこまでも飛んでくのかね?今度試してみよう。

『ちょっと待って、待って』

『なに今のアーツ。見たことないんだけど』

『装備に続いてアーツもってどういう事?』

 なに?これも知らないのか。


『澪ちゃんそのアーツはどうしたの?』

 どうしたもこうしたも。

「NPCに教えてもらった」

『またそれかぁ』

『NPCって意外と重要な立ち位置なんじゃないか』

『アーツも教えてくれるとか。しかも今まで見たこともないやつだろ』

 これも姐御に教えてもらったとは言わない方がいいんだろうな。


「誰に教えてもらったかは言えないからな。これも自分達で探してくれよ」

 先に言っておくの大事。

『ですよねぇ』

『これも検証板に書いておくわ』

『よろ〜』

 さて、ハチェットもなんとなく分かったしな。もっと狩ろうじゃないか。これなら一角ウサギ2匹同時でもいけるな。


 ハチェットで1匹倒しその次に残りの1匹を倒す。全く問題なしだな。

『よく幼女であんなに動けるよな』

『もしや本当に幼女なのか?』

『それはないだろっていうか中の人話題はNGだ』

『そうだった。スマン』

『某たちの前には幼女が1人いる。それが全てでござる』

 戦闘に夢中でコメントを見逃してしまったな。まぁ、いいか。それよりも今は狩りだ。防具の性能もみたいからな。多少はダメージを喰らう状況の方がいいよな。3匹以上も狙ってみるか。

 普段はいるのに探してみると意外と見つからないって時ありませんか?今の僕がそんな感じです。本当にいないな、おい。


 仕方がないから一角ウサギ2匹にハチェットなしで行ってみよう。まず1匹目を普通の振り下ろしで攻撃する。どうやら一角ウサギならアーツ無しでも一撃で倒せるようだ。残りの1匹が角を向けて突進してくる。避けれるけど防具の性能を試したいからな。余裕がある内に攻撃を受けておこう。一角ウサギに正面からぶつかるがノックバックはなし。ダメージはそんなに大きくないな。ステータスだけ見ても分からんかったが良い防具だったんだな。ありがとう親方。


 防具の性能も分かった事だし倒してしまおう。攻撃後で硬直しているからそこを狙って終了。

『あの装備性能良くないか?』

『良過ぎるって性能ではないけど明らかに始めて1週間で装備出来るものではないな』

『これはNPCの店本気で探すべきか』

 

3匹セットは見つからないな。いいや。なら目についた奴を手当たり次第倒していこう。新しい装備が良いのもあるからテンションが余計に上がるぜ。

『笑顔で両手斧を振り回す幼女』

『猟奇的でござる』

『だがそれがいい』


 おっ、3匹セットがいた。どうすっかな。最初はハチェットで1匹倒してと思ったが普通に3匹同時にやってみるのも面白いよな。防具の性能も良いしここは遊ぶか。

 今回はゆっくりと近づく。5mぐらいでこちらに気づいたな。よしここからだな。3匹同時に突っ込んでくる。避けながら攻撃とか出来たらカッコ良いよな。よしやってみるか。3匹の攻撃を避ける。うち1匹の攻撃はギリギリで避けて通り過ぎる瞬間を狙って薙ぎ払う。うん。振り下ろしは当たらないと切ないからな。今回は当てること重視で薙ぎ払いにした。攻撃が当たった一角ウサギはそのまま光になって消える。カッコ良いぞ俺!


「ぐぇ」

 しまった。攻撃したことで満足して固まってた。動かなかったところを1匹に攻撃されてしまった。カッコ悪いぞ俺。

『ドヤ顔からの被弾w』

『当たらなければどうという事は……』

『ドジっ子属性持ちか。大好きです。そういうのもっとください』

『なんで高評価は1回しか押せないんだ』

 外野うるさいぞ。体勢を立て直すため一旦距離をとる。けどすぐに突っ込んでくる一角ウサギ。これあれだ。一回崩れると体勢立て直すの厳しいな。一ウサギの攻撃を大きく避ける。


『両手斧はそうだよな』

『一度守りになるとなかなか攻撃出来んだろ』

『そうだな。だから重装甲でスーパーアーマーで突っ込むのがセオリーになってるからな』

 それは俺の趣味とは少し違うんだ。しかしちょっと余裕が出てきたぞ。少しずつ避ける動作を小さくして。

「どっせい!」


 1匹の突撃に合わせて振り下ろす。すぐに2匹目が突っ込んでくるが問題なし。

「しゃあ、オラァ!」

 2匹目の突撃に合わせて今度はバトルアックスを振り上げる。2匹とも光になって消えていく。

 おっ、今の勢いでやったけど振り上げも使えるなこれ。ちょっと練習してみよう。

『見ました今の攻撃』

『あれって普通に出来るものなのか?』

『両手斧使ったことないから分からんがあんな攻撃は一度も見たことがないってことだけは言っておこう』

『これあれか?澪ちゃんは初心者だけどVRは達人って事か』

『たまにいるよね。そういう人』

『流石でござるよ澪殿』

「よし、ちょっと今の攻撃練習するから」

 振り下ろしは一回武器を上げる動作があるからな。そのモーション分で攻撃が遅くなるからな。振り上げだったらその場から出せるし上手く使えれば効果的だと思うんだ。よし、練習開始!


 はい。使った結果発表。普通に遅くて避けられます。ありがとうございました。冷静に考えれば当たり前の話だな。重量級の武器なんだから重いんだよ。それを振り上げるんだから遅いわ。ただSTRが上がれば変わりそうな気がするんだよな。これはレベル上げするしかないって事だな。

「よし、レベル上げだ!」

『つまりは今までと同じという事だな』

『いや、待つでござる。今までのは準備運動でこれからが本番という可能性があるでござるよ』


 レベル上げはするが一角ウサギだけだと面白くないよな。少し奥に行けばハンマービートルもいるけど、もう少しこう違うのとも戦いたいぞ。あっ、狼さんはまだ勝てないと思うので結構です。待て、狼1頭ぐらいならいけるか?装備も変わったし今の俺ならきっと……。いやきっと逝くな。戦うにしても前回は集団でいたしな。狼は基本群れだしな。都合よく1頭だけとかないだろ。もしあれと戦闘になったら俺が晩御飯一直線になってしまう。それは勘弁願いたいぞ。折角配信してるんだからこういう時は聞いてみるのもありだよな。


「ここら辺ってウサギ以外にいないのかね?」

『東の草原だと街の近くだと一角ウサギしかいないよな』

『少し離れればハンマービートルが出てくるけど』

 やっぱりその2種類しかいないか。


『狼は?』

「いや、あれは勝てないと思うからパスで」

『基本集団でくるからなあいつら。何度あいつらに食われたか』

『いきなり戦闘難易度上がるよな』

『狼避ければ猪とか熊とか出るけどな』

「猪?熊?それは詳しく知りたいぞ」

『ハンマービートルが出る辺りから北に向かうと猪と熊が出るエリアに行けるけど』

『どうやって狼を避けるよ?あいつらエンカウントすると逃げられなくないか』

『そこは気合でなんとか…』


 新しいのと戦うには狼がネックになるか。どうするかな。このまま今回は一角ウサギとハンマービートルを狩り続けるか。それでレベルが上がったら改めて狼にトライするか。もしくはこのまま勢いに任せて行くべきか。

「よし。猪と熊のところに行くか!」

『狼はどうするでござるか』

「いたらその時に考える。どうせ今ならデスペナないし。死んだらその時はその時だ」

『男前幼女爆誕』

『そのノリは非常に好感が持てる』

『骨は俺たちが拾ってやる』

『むしろ骨以外も拾いに行く』


 よし、まずはハンマービートルの出るところまで行こう。

「そういえばカブトムシと戦ってなかったな。前回戦ったから戦わなくても良いんだけど一応戦っとくか」

 ハンマービートルが2匹いたのでバトルアックスを振りかぶって走る。

「まずは1匹!」

 最初の1匹に勢いそのままにバトルアックスを振り下ろす。攻撃したハンマービートルは光になって消える。ちゃんと一撃で倒せた。2匹目も狙うが先にハンマービートルが回転しながら突っ込んでくる。流石にこれは避けるぞ。


「2匹目!」

 突撃を避けてそのまま薙ぎ払う。2匹目も光になって消えていく。

「全く問題ないな」

 攻撃をもらうとどうなるか分からんけど、この程度なら避けられるしな。


『動きがおかしい件について』

『両手斧使用時の技後硬直について知ってる有識者いるか?』

『普通無理。以上』

『澪さんのPS(プレイヤースキル)がおかしいのは理解した』


 よし。ここから北に向かえば良いんだな。えぇっとマップを開いて、こっちが東だから、東南西北であっちか。VRだと方向音痴にはこういうのなかなか厳しいんだよな。まず方角が分からなくなるからな。アナウンスで東南の方向にボスがとか出ても東南ってどっちよ?ってなるんだよな。

『澪殿。そっちは南でござるよ』

 おっと失礼。だと、こっちか。


『方向音痴か』

『属性が増えていくな』

『そこに萌える』

 うるさいわ。見た目幼女でも中身はおっさんだぞ。おっさんに萌えるな。

 道中ハンマービートルに何回か遭遇するが問題なく倒せた。こいつと一角ウサギは最早経験値にしか見えなくなってきたな。ちょっと作業感が出るのが残念なところだな。


「げっ、狼だ」

 少し先に狼がいる。

『あぁ、遭遇してしまったか』

『フラグだったんだよな』

『ここでもドジっ子属性が輝くでござるか?』

 これはドジっ子関係ないだろ。しかし向こうもこっちに気づいてるよな。なんか唸ってるし。あれっ?でもよく見なくても1頭しかいないか。


『珍しく群れてない狼さんが』

『これはチャンスなのでは』

 そうだな。群れてないならいきなり晩御飯になることはないだろう。これは戦えという(運営)からのお告げなんだきっと!

 バトルアックスを構えて様子を見る。向こうは唸ってるだけで来ないな。こっちには遠距離がないと思ってるのか?

残念。俺には遠距離攻撃があるんだ。こういう時は先手必勝だな


「ハチェット!!」

 狼に向かってハチェットを使う。おっ、驚いたみたいだ。避け損なって当たっている。流石に一撃では倒せないか。というかピンピンしてるな。えぇい。こういう時は勢いが大事だ!

 狼に向かって走るが、向こうもこちらに向かって来る。

「速っ!?」

 予想以上に狼が速かったため距離が詰まってしまった。これだと攻撃する前に潰されるな。

 攻撃することを諦めて狼の突撃を避ける。避けて攻撃しようとするが動きが早くてなかなか攻撃する隙が出来ない。


 直撃はないが爪や牙が擦り徐々にHPが減っていってしまっている。

「結構ジリ貧じゃないかこれ?」

 難易度設定間違えてないか運営?一角ウサギとハンマービートルの次がこいつか?

『あの狼動き良さすぎないか?』

『3倍ぐらい早い?』

『赤くて角ついてるか?』

 狼の目が完全に狩人に見えるぞ。俺は獲物か?しかしただでやられんぞ。俺は潔くはないからな。

 と、意気込んでみたものの攻撃が当たらねぇ。動きが早くて狙えないんだけど。


「あっ、やべっ」

 動きが雑になって距離感ミスった。

「ギャイン!」

 あれ?当たった。取り敢えずこのままだとマズいから一旦距離を取ろう。

 狼から距離を取るが向こうも警戒しているのかすぐには来ないようだ。

 しかし何で今のが当たったんだ?まるで置いてあった攻撃に向こうから当たりに来たみたいな感じだったぞ。

 ん?置いとく?ちょっとなんか閃きそうな予感がするぞ。

 狼がまた走ってくる。ちょっと閃くまで回避に専念させてもらおう。ちょっと待ってろ。閃いたらしっかり殴ってやるからな。


『なんかすごい避けてるけど』

『人間ってこんなに動けるんだな』

『限界超えた感じ?』

 集中、集中。相手の動きをよく見て。よし。回避に集中してるのもあって狼の動きがよく見えるぞ。狼の動きがなんとなくだが分かってきた。


「おっ?チャンス?」

 狼の動きが予測できたのでそれに合わせてバトルアックスを振るう。

『当たった!』

『なんか普通に当てた』

『汗の一雫が見えたかのような動きでござるな』

 閃いた!あれだ。攻撃を当てるんじゃなくて、相手の動きを予測してそれに合わせて攻撃を置いておく感じだ。そうすれば相手が勝手に攻撃に当たってくれるはずだ。


「やばっ、楽しくなってきた」

 狼の動きを予測して攻撃を置いていくと面白いように当たってくれる。これはテンションが上がるな。

『人外の動きで狼をフルボッコにする幼女。※尚すごい笑顔』

『すごっ』

『これはキャラクターだけじゃなくてプレイでも魅せるプレイヤーの誕生か』

『ぅゎ、ょぅι゙ょっょぃ…』

 

 狼の動きが目に見えて鈍くなってきた。そろそろ終わりだな。

「さらばだ、狼くん。君との戦いは面白かったぞ」

 動きの鈍った狼の頭にビートダウンを当てる。狼はそのまま吹っ飛んで光になって消えていった。

「勝ったぞぉ!」

 消えたのを確認してバトルアックスを掲げて叫ぶ。うん。この高揚感もVRの醍醐味だな。


『幼女!幼女!』

『ようじょ!ようじょ!』

『斧持ち幼女だぁ!』

「幼女、幼女うるさいわ!」

 しかし盛り上がってるな、こいつら。ちょっと途中から配信のこと完全に忘れてたとは言えない感じだな。まぁ、俺も楽しかったし視聴者も盛り上がったってことだな。うん、何も問題ないな。


『ニマニマ幼女眼福』

『スクショを撮るでござるよ』

『初のソロ配信なのに良いもの見れた』

 そういや、初配信だったな。途中からあんまり気にしなくなってたな。しかしこれなら。

「また、配信しても良いかもな」

 そう思うな


『配信継続発言いただきました!』

『やっふぅ!今夜は祭りじゃあ!』

『某ちょっと赤飯炊いてくるでござる』

『幼女!幼女!』

 ここまで盛り上がってくれるとそれはそれで嬉しいな。アイツらと騒ぐ以外にも楽しみが増えるのは俺も嬉しいことだ。


『ところで澪殿。続けるなら配信のタイトルは決めないでござるか?』

「配信のタイトルねぇ」

 何も考えてなかったな。というか配信自体も突発だったしな。

『幼女は入れてほしい』

『幼女だけだと被らないか?何か特徴を押さえないと』

『そうなると武器の両手斧か?』

『斧持ち幼女?アックス幼女?』

『あの戦いは良かったよな』

『これからも熱い戦いを見たい』

 幼女、斧、戦い、ねぇ。どんなんが良いかね?


「斧持ち幼女。戦い、戦い。奮戦?奮闘?奮闘記とかか?」

『斧持ち幼女の奮闘記?』

 斧持ち幼女の奮闘記。うん、悪くないな。

「じゃあ、これからは斧持ち幼女の奮闘記で行こう」

『イェエエエ!!』

『これからも楽しみ』

『お気に入り登録しとくわ』

『是非とも某とフレンド登録を!』

 配信ねぇ。やるつもりはなかったけどこれはこれで面白くなりそうだな。


「フレンド登録はしないからな」




名前 澪


種族 人間 女性

   LV9/4↑


職業 メイン 戦士LV5/2↑

   サブ  ーーーー


ステータス

HP 240/110↑

MP 20/6↑

STR 76/32↑

VIT 53/21↑

DEX 46/18↑

INT 15/5↑

MIN 24/9↑

AGI 40/16↑

LUC 58/28↑


スキル

斧術LV5/1↑

LV1 斧装備時攻撃力UP小

LV2 アーツ:ビートダウン習得

LV3 斧攻撃モーション短縮極小

LV4 斧攻撃時ノックバック耐性小

LV5 斧装備時ステータスUP小 アーツ:ウッドブレイカー習得

EX アーツ:ハチェット習得

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― 新着の感想 ―
[良い点] この幼女つおい
[気になる点] 配信の視点が気になります。 最初は澪視点かと思っていました。 ですが、コメントに幼女云々とあったので、見下すタイプの視点なのかと思い直したのですが、ドヤ顔と言うコメントがあったので、そ…
[良い点] タイトル回収回でしたタイトル回収これ大事wこれから本格的に物語が始まる感じてしょうか?これからの更新が楽しみです。 [一言] ようじょつおいw
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