第3回配信 おっさん4人で酒の肴配信始めました
約束の日になった。街の広場の噴水前にしたんだが人が多いな。白桜以外のアバターが分からんから探すのが面倒だな。アイツらには俺のアバターは幼女だと伝えたから向こうは俺が分かるからそれに任せるしかないな。しかしさっきからチラチラと見られてるな。みんな幼女が好きなんだな。分かるぞ。可愛いは正義だ。つまり俺がジャスティスってことだ!
「何変なポーズとってんだ。お前?」
振り返ると白桜と初見の初期装備の2人がいた。つまりはそういう事だな。ポーズは気にするな。
1人は爽やか王子様系だな。初期服の違和感が強いな。
「今回も俺は黎でやるから」
声も爽やか系にしてるのね。
「黎ってことは西か。お前も相変わらずなアバターにしたな」
「やっぱりイケメンにしないとやる気が出ないからな。お前が幼女にするのと同じことだ」
なら仕方がないな。自分の気にいるアバターじゃないとやる気は出ないからな。
「ってことは、こっちは塚ちゃんか」
「おう、よろしく頼むぞ」
塚ちゃん。アバターが凄いんだけどさ。
「塚ちゃん。今回のアバターのコンセプトは何?」
「野生と優雅の調和」
塚ちゃんのアバターはガッチリした体型だ。そして顔は虎の覆面を被っている。そう虎だ。レスラーのマスクじゃなくて本物の虎の顔の奴だ。
「何故虎?」
「キャラクリで見てたら虎を見つけたからこれしかないって思ったんだ」
直感的なやつだな。それもまた良し。
「名前なんてしたのさ」
「虎紳士」
…………………
「……虎紳士……」
「虎紳士だ。虎の野生さと紳士の優雅さを合わせたキャラクターだな」
「紳士はどこに行った?」
「俺が紳士だ!」
あ、そうですか。にしてもえらい渋い声に設定したな。確かに声は紳士だ。
「取り敢えず全員揃ったからフレンド登録しとこうぜ」
白桜からの提案でフレンド登録をする。
「で、職業は何にしたんだ?」
「俺は戦士にした。片手剣と盾使ってタンクをやろうと思ってる。目指す職業は騎士だな」
虎紳士はタンクか。本人の性格的にも合ってそうだが、
「騎士を目指す理由は?」
「紳士といえば騎士だろう」
何を当たり前のことを見たいな顔で見られた。えっ、これって俺が察せなかったのが悪いってこと?他の2人を見るが目を逸らされてた。うん、この事にはこれ以上触れない事にする。
「俺は僧侶にした。他のゲームでもヒーラーやってたからな。お前らにヒールを投げつけてやるよ」
黎はヒーラーと。大丈夫か?こいつがヒーラーって不安しかないんだが。
「にしても全員が初期服で浮いてるな」
周囲を見るが初期服の人は少ない。というか俺たちしかいないんじゃないか?初期服の幼女、エルフ、王子、虎男。
視界のインパクトが強いな。
「だったらまずは金を貯めて装備を変える事にするか」
「最初の金で買えないのか?」
白桜の提案に黎が聞き返す。そういえば最初から1000ソルあったな。
「買えるけど、一式揃えるには足りないし。それより2個上の装備一式が5000ソルで買えるんだけど、性能が大分違うからまず5000貯めて買う方が良いらしいぞ」
よく調べてるな。俺は適当に装備買おうかと思ってたんだが。
「じゃあ、金を貯めるか。まずはギルドで依頼を受けてからか」
「パーティ組むか。リーダー誰にする?」
「「「虎紳士だろ」」」
実は俺たちの中での1番の常識人だからな。
「俺このゲーム良く分かってないけど良いか?」
「全員よく分かってないから大丈夫だ」
「それは大丈夫だとは言わない気がするんだが」
虎紳士がリーダーになりました。
まずは冒険者ギルドに依頼を受けに行く。
「黎のアバターってあれだよな。乙女ゲーの王子みたいだよな」
「いきなり何言ってんだ?澪」
「あっ、でもそれ分かるわ」
「どうせならそういうキャラクターだと思ってRPしてみたら」
「何?俺今回は王子ムーブするの?なんで?」
そうは言っているがお前がやる気になっているのを俺は知っているぞ。
「面白そうだからやってみ」
周りも乗り気だ。ノリがいいのがこのメンツの特徴です。
「考えるような仕草をしてるがお前の考えは決まってるんだろ?やってみ。下手だったらクーデター起こしてやるから」
虎紳士がブッこむ。ダメだったら即クーデターとか怖いな。
「良いだろう。やってやろうじゃないか!」
煽られるとすぐに乗ってくるのが黎の特徴でございます。
「じゃあ、適当に依頼見繕ってくるぞ」
白桜がギルドボードの方に向かう。メニューからも見れるが直接ギルドボードで見るのが楽しいらしい。
そして俺は黎が面白いから虎紳士と一緒にこいつを観察しよう。
「…………」
王子を考えているのか俯いて黙ってる黎。王子ムーブってどうやるんだ?悪役令嬢とかならドリル髪とか口調とかで分かり易いんだけどな。
「僕が民を導く!」
急に黎が拳を掲げて叫ぶ。考えた結果がそれかこいつ!?
ギルド中の人が黎の叫び声に驚いて此方に視線を向ける。そして拳を掲げた黎を見つけてかわいそうな人を見る視線に変わる。そして近くにいる同じ初期服の俺たちにどうなってんだこいつ?早くどうにかしろという視線で見てくる。すいません。煽りはしましたけどこんなことをするとは思ってなかったんです。もう手遅れなんです。許してください。
「取り敢えず黙れ」
虎紳士が黎を殴る。
「な、何をするんだ君は!?」
こんな状況でもRPしようとするとは。他のとこでやってたか?
「周りを見てみろ。やれとは言ったが場所を考えた発言をしろ」
虎紳士の発言に黎がようやく周囲を見て状況を把握する。恥ずかしくなったな。小さくなっている。
「依頼受注してきたぞ。……ってどうした?」
白桜が戻ってくる。マジ?お前この騒ぎを気づかなかったのか?
「いつも通り馬鹿が馬鹿をやっただけだ」
虎紳士の眼が冷たい。虎の眼だから余計に冷たい。
「どっちの馬鹿?」
「おい?それは俺のことを言ってるのか?俺がこいつみたいな馬鹿みたいな事するわけないだろ」
白桜は俺をなんだと思ってるんだ。こいつには俺という存在の素晴らしさを分からせる必要があるな。腕を回して白桜に近づく。
「まぁ、いいや。依頼受けたから確認しとけ」
無視された。そして素のトーンで話されるとこの熱い思いのやり場に困るんだが。はい。依頼確認します。
依頼 ウサギ肉の納品
内容 東の草原にいる一角ウサギの肉の納品
報酬 40ソル✖️一角ウサギの肉数
依頼 一角ウサギの角の納品
内容 一角ウサギの角の納品
報酬 100ソル✖️一角ウサギの角数
依頼 甲虫の駆除
内容 東の草原にいるハンマービートル50匹の駆除
報酬 1000ソル
依頼 ゴブリン駆除
内容 東の森にいるゴブリンの駆除
報酬 1500ソル
「結構受けてきたね。白桜」
複数依頼受けられるのね。知らなかった。
「全部近場でやれるやつ見繕ってきた。東の森は行けるかわからんけど一応な」
「前回よりウサギ肉の報酬下がってるのな」
前回は50ソルだった気がするんだが。
「なんか相場とかあるみたいだぞ。時期とか市場への流通量とか関係するらしい」
「まぁ、全て僕が解決してあげるから問題ないさ」
本当にRP続けるのな黎。応援をする気はないが強く生きろ。そしてお前の発言の意味が俺には分からん。
「黎。お前の言ってる意味が俺には分からん。RPするのはいいがその前にしっかりと言葉話そうな」
虎紳士そこまでストレートに言わなくても。いや、俺も思ってたけどね。ほら、黎黙ったじゃないか。いやこれで下手にトラブルが起きなくていいやとか思ってないですよ。本当ですよ。
草原に来た訳だが。
「ちゃんといるな。一角ウサギ」
前回同様一角ウサギは結構いる。獲物を探すまでに時間がかかるゲームはもうたくさんだからな。
「4人いるけど練習も兼ねて最初は1匹のやつから狙うか?」
まずは慣れることが大事だからな。
「それでいいんじゃいか?虎紳士ってタンクだけど敵視集めるような技ある?」
「まだないな」
「じゃあ、前回みたいに白桜が1匹ずつ釣ってそれで練習するか」
「それが無難だろうな」
よし方針決定。黎が全く喋ってないがこいつ本当に理解してるのか?
「なぁ、このゲーム配信機能があるの知ってるか?」
黎突然何を言う。そしてRPはやめたのか?
「大手配信サイトと連携してるのとプレイヤー1人1人に枠があるのは知ってる」
そうなのか。知らなかった。
「折角だから配信しないか?」
何故に?というかそれよりも
「そんな簡単に配信とか出来ないだろ」
「いや、メニューに配信ってボタンあるだろ。それ押せばすぐ始まる。細かな設定とかやれば出来るけど、面倒だったら全部オートにする事も出来る。というか基本は全部オート」
簡単だった。そこまで発展してたか配信環境。そして白桜本当に色々調べたのな。
「別に俺はやってもいいぞ」
虎紳士は乗り気。
「まぁ、別に配信って言っても誰も俺たちの見ないだろ。このゲームの配信者数はプレイヤーと同じようなもんだからな」
「誰も見ないのに配信するのか?」
それだと配信する意味が無いのでは。
「まぁ、今度集まった時に全員で飲みながら見てワイワイ騒げばいいんじゃないか」
「まさかの昔のアルバム的な活用方法だな」
だが、それはそれで面白そうだ。馬鹿騒ぎして後でそれをみんなで見て盛り上がるのは悪くない。つまり
「酒の肴みたいな配信だな」
「タイトルはそれでいいな」
「じゃあ、配信者は澪って事で」
「異議なーし」
こいつら急に結託しやがった。こういう時は言い出しっぺの黎じゃないのか?
「黎で物事がまともに進むとは思えないからな」
虎紳士冷静に言うな。お前の後ろで黎が膝から崩れてるぞ。
「配信やるんなら俺もRPしようかな」
急にどうした白桜?
「よし、俺は配信の時は女だと思ってプレイしよう」
拳を握って突然何を。
「まさかのネカマ発言きた」
「やるんなら配信中と言わず常にやれ。それだと面白くない」
虎紳士求めるハードルを自然と上げるな
「ようこそRP勢に。歓迎するよ。白桜」
ここぞとばかりに王子RPし始めやがった。
「よし、頑張るわよ」
本当に始めやがった。俺は今ここに新たな黒歴史が生まれたのを見た。
「しかし、キャラと声的には違和感はないな」
「こうなると違和感があるのは澪だけだな」
「あなたも一緒にする?」
俺を変な道に勧めるな。
「俺はこのままでいいんだよ。俺はやりたいようにやるのが好きなんだ」
「澪は今でもキャラが立ってるからいいか別に」
俺のアバターは魅力がいっぱいだからな。
「虎紳士はどうする?」
「紳士とは作るものではなく内面から溢れ出て初めてなるものである」
「お前本当に俺と同い年?」
めっちゃ良い声で話すな。RPするのは黎と白桜の2人と。遊び方は個人の自由だからな。
そして俺が配信主なのは決定なのね。まぁ、いいけど。スパチャありがとうございますって人生で一度は言ってみたい発言でもあるしな。誰かやってくれないかな。メニューから配信ボタンを押して。おっ、なんか色々出た。よく分からんからタイトルだけ入れて始めればいいか。タイトルは
【酒の肴配信】
これでいいか。
「始めるぞ」
ほい、ポッチとな。おっ、頭の上に何か出てきた。何だこれ?そういや、前にこのマークついてたやついたな。
「それは今配信してるってマークだな」
なるほど。それだと前みたこのマークのついてたプレイヤーは配信してたって事か。ん?それだと結構な数がいた気がするんだが。っと、なんかウィンドウが出たぞ。コメント欄?視聴者からのコメントか。
「コメント欄が出たけどコメント来たらどうすんだ?その都度返す?」
「コメントなんて来るのか?」
「誰も見てないつもりで始めたからね」
「でも、来たらどうするよ」
「後で俺たちが見て楽しむのが目的だから返さなくてもいいんじゃないのか?」
確かにそれも一理ある。だが、もしコメントが来て何も返さないのはよくないような。
「よし、これを見ている諸君。これは俺たちが楽しむ酒の肴となる配信だ。だから君たちがコメントしてもこの配信では返事はしないと思う。覚えておいてくれたまえ。幼女との約束だ!」
「突然何を言ってるんだ?」
「いや、一応視聴者にコメントに返事はしないって説明しておこうと思ってな」
悪い事ではないだろう。なんだその残念な子を見るような目は。
「澪、多分誰も見ないからな。コメントなんてないんだよ。お前のその気遣いは後で爆笑しながら見てやるからな」
虎紳士よ。お前紳士だとか言ってるけど発言が外道なんだがどういうことだ、おい。
「それでは配信も始まったことだし、モンスターを狩ろうではないか諸君」
そうだな。今はゲームを楽しもう。動画を見て楽しむためにも今を楽しまないとな。
「それじゃ、さっき言った通り私が1匹ずつ釣るからそれで練習しましょう」
白桜、RPが黎より決まってる気がするんだが。お前本当に初めてか?
白桜が2匹いる一角ウサギの1匹に狙いをつける。俺と虎紳士も武器を構える。
「見ていたまえ。これが戦いというものだ!」
そして棍棒を振りかぶって1人一角ウサギに向かっていく馬鹿が1人。僧侶って主武器がメイスなんかね。それで初期武器が棍棒と。
「話聞いてなかったのか!?テメェ!」
「白桜、言葉使い、言葉使い」
いきなり素に戻ってるぞ。
「敵を見つけて棍棒振りかぶって走るって、完全にゴブリンとかのムーブだよな」
「スタイリッシュゴブリン」
見た目は王子だからな。行動は本当にゴブリンだけど。
「お前ら冷静に語ってないで援護に行けよ」
「一度あいつは痛い目を見た方が良いと思うんだ」
馬鹿は言っても理解できないからな。体で覚えてもらおう。
「無能な働き者は敵よりも害である」
「虎紳士それって見捨てる発言だよな。それになんだその発言。お前は軍人か何かか?」
「いや、俺は紳士だ」
「紳士はそんなこと言わねぇよ!」
2人とも盛り上がってるな。しかしこのままだとやられるな、あいつ。1匹殴って2匹にマークされて交互にやられてるな。目標を絞りきれなくてジリ貧だな。あっ、回復しようとしてるけど攻撃されて詠唱中断してるな。
「魔法って攻撃されると中断されるのな」
「うん、勉強になるな」
あっ、倒れた。動かないな。
「死んだな」
「死ぬとどうなるんだ?」
「パーティ組んでる時は戦闘が終わったら復活するわよ。1人の時は街に強制送還ね」
白桜RP復活したのね。
「じゃあ、改めてやるか」
結果、凄く安定して倒せました。そりゃ、2人で大丈夫なんだから3人だったら普通もっと安定するわな。俺たちのパーティは3人だ。4人目なんていない。
「あ、復活したわね」
見ると黎が光に包まれて起き上がる。復活ってこうなるのね。
「デスペナってあるのか」
これは大事なことだ。
「最初はないわね。レベルが合計で40を超えると死亡後1時間全ステータス半減。所持金2割没収ね。アイテムは無くならないわね」
「意外とデスペナ緩いな」
最近のはアイテムロストだのレベルダウンだのが普通だと思ってた。
「デスペナがキツくて色んなことに冒険してくれない方が運営的には困るんじゃない」
確かに。ゲームなんだからやってなんぼだからな。デメリットが強すぎてやらないのでは本末転倒だからな。
「それだと今はデスペナ気にせずに出来るな」
色々試せるのは良いことだ。
「おい。君たち。復活した僕に何か言葉はないのか?」
チッ、あえて無視してたのに来やがったか。
「最初の話を聞いてなかったあなたが全面的に悪いわね。まず必要なのはあなたの謝罪の言葉ね」
「動きが完全にゴブリンだったぞ。一度お前にヒーラーってなんなのか1時間ほど問い詰めたい気分だ」
「あそこで貴様が死ななかったら俺が叩っ斬っていたわ」
「お前ら随分辛辣ね」
黎が崩れ落ちる。仕方ない。面倒臭いが慰めておくか。黎の肩を叩く。うん、黎と目が合った。ここは笑顔だ。
「床は美味かったか?」
おっ、更に崩れた。何か間違えたか。
「ところで白桜。PVPってあるのか?」
それは俺も気になる。崩れ落ちてる黎を放っておいて2人のところに戻る。
「PVPが出来るフィールドが確かあるはずよ。そこでなら出来るわね」
「つまり今はPKは出来ないか。命拾いしたな」
何?本気で斬ろうとしてたのか。
「もう一回最初から4人でやってみましょうか」
「そうしようではないか」
あっ、復活したのな。
「次はまともに動けよ。ゲームだから自由にするのは良いがパーティ組んでんだ。知り合いといってもマナーはあるからな」
神妙な顔で頷く黎。虎の顔で近距離から真面目なこと言われたらそうなるな。
もう一度一角ウサギを狩る。今回もまずは1匹から。白桜が弓で釣って虎紳士がガードして俺と黎が殴る。問題なし。1匹だと回復必要ないな。
「1匹は問題ないから2匹でやってみないか?」
「そうだな。これだと練習にはならんな」
「じゃあ、やってみましょう」
はい、酷い目に遭いました。釣って虎紳士が1匹ガードするけど2匹目が白桜に向かって行ってしまった。俺はガード出来た方を攻撃したためフォロー出来ず。黎がフォローに向かうが追いつけず。白桜が攻撃を受けてそれに対して黎がヒールを使い白桜を回復させたら2匹とも敵視が黎に向かいフルボッコにされてしまった。黎が死ぬ前に2匹ともなんとか倒せた。しかしたった2匹なのにかなり慌ててしまった。
「敵視管理難しいな」
「そうね。虎紳士がタンクだけどヘイトを集められるアーツがないのが厳しいわね」
「その内覚えると思うからそれについてはまずはレベル上げて様子見だな」
「回復で敵視が凄い貯まるのはちょっと予想外だったね」
「確かにヒール1発で全部敵視が黎に行ったもんな」
4人で戦闘の考察をする。こういうのは楽しくて好きだ。
「しばらくは俺が敵視集めるアーツを覚えるまでヒールは最小限にした方がいいな」
「最初は4人で1匹狙うと1匹フリーになるから2:2に2対1の形を作ってやるか」
「それが無難な気がするわね」
「どう分けるんだい?」
「俺と白桜、虎紳士と黎かねぇ」
俺と白桜はこの前やったから無難に出来るし、もう片方も1匹ならタンク(仮)とヒーラーでも事故はないだろう。
「今、失礼なことを考えなかったかい?」
よく分かったな。だが事実だ。
「じゃあ、レベル上げも兼ねてその方法で2匹ずつ釣ってやるわよ」
2対1だと安定するね。2匹釣って1匹は虎紳士がガードして黎との2人で対応。もう1匹は俺と白桜で対応する。さっきの戦闘の混乱っぷりが嘘のような問題のなさだ。
「問題ないからしばらくこれで戦闘を続けよう」
しばらく戦闘を行ったらレベルが上がった。
名前 澪
種族 人間 女性
LV3/1↑
職業 メイン 戦士LV2/1↑
サブ ーーーーー
ステータス
HP 90/25↑
MP 10/2↑
STR 28/10↑
VIT 22/6↑
DEX 20/5↑
INT 8/1↑
MIN 11/2↑
AGI 16/4↑
LUC 20/6↑
スキル
斧術LV2/1↑
職業レベルも上がったから能力の上がりが前よりいいな。脳筋が捗るぜ。スキルのレベルも上がったけど何か覚えたのか確認しよう。
斧術LV2
LV1 斧装備時攻撃力UP小
LV2 アーツ:ビートダウン習得
アーツ覚えた。初アーツだ。能力も確認だ。
ビートダウン:力強く振り下ろす渾身の一撃 威力 150 リキャストタイム 1分
うん、威力とかよく分からん。分からんが使えば分かるだろう。
「敵視集めるアーツ出たわ」
これで敵視管理がしやすくなるな。
「ちょっとこれ練習させてくれ」
練習大事。全員同意してすぐに練習。かなり安定した。敵視コントロール超大事。事故が減った。
あっ、俺のアーツの練習するの忘れてた。次にやろう。
「今の所ウサギは同時に3匹までだな。回復が間に合わないから俺が持たないな」
「意外と回復のリキャストタイムが長いのがネックだな」
「僕のMINを上げるしかないようだね」
「確か職業レベルが上がるとリキャストタイムが短くなるはずよ」
本当に色々調べてるのな。白桜。
「レベルを上げるしかないようだね」
俺はレベル上げが好きだから全く問題ないな。
「レベル上げも良いがウサギ以外とも戦いたいな」
「だったらハンマービートルでも探しましょうか」
依頼の一つのハンマービートルを討伐するために東の草原の奥に行く。
「あれですね」
白桜が指差した先には、うん。50cmぐらいのカブトムシがいた。そして角の先がハンマーみたいになってる。あれだシュモクザメのカブトムシ版みたいな感じだ。
「あの角からの攻撃が威力が高いそうですね」
一角ウサギとハンマービートル。東の草原のモンスターは角に拘りがあるのかね。
「丁度1匹しかいないから戦ってみようじゃないか」
「じゃあ、敵視取るぞ。アピール!」
虎紳士が盾を剣で叩いて音を鳴らす。あの音が聞こえる範囲の敵の敵視を集めるらしい。凝った性能にしてるよな。範囲が音って。
ハンマービートルが虎紳士に突っ込んでいく。直前に体を回転させて角にあるハンマーで振り抜く。
「うお、ノックバックか」
虎紳士は盾でガードしたが大きな音を立ててノックバックする。ノックバック中は行動不能のようだな。もう一度体を回転させようとしてるが流石に4対1だと何度も攻撃させるわけにはいかないな。丁度いい。ビートダウンの練習をさせてもらおう。
「ビートッダウン!」
ハンマービートルに向けてビートダウンを放つ。ビートダウンは説明の通り強力な降り下ろし攻撃だった。
「一発かい」
「一撃の威力が高い両手斧のアーツだものね。それは威力は高いでしょうけど」
一撃でハンマービートルを倒してしまった。威力は高いようです。はい。しかしこれではハンマービートルの強さがよく分からん。という事でもう一回だ。
「ウサギよりは強いかしらね」
「同じぐらいじゃないか」
「ノックバックがあるからカブトムシの方が強い気がするな。ステータス的にはどっこいどっこいって感じか」
倒すのは問題ないが依頼の達成討伐数が多すぎないか。
「50匹は面倒だな」
「それで1000ソルは安過ぎな気がするね」
「狙ってやる依頼じゃなくて何かのついでにやるやつだなこれ」
「レベル上げつつ奥に行ってゴブリンでも狙いましょうか」
草原の奥に森があるらしいのでそこに向かう。
「あっ、狼だ」
少し先に狼がいる。群れだな。6匹はいるな。
「勝てると思うか?」
「無理じゃないかしら」
「囲まれてボコボコになるビジョンしか見えないな」
どう考えても狼は強いだろうよ。ウサギとカブトムシの次が狼ってさ。いきなり捕食者が来たよ。もう少し段階を踏んでくれないか。この草原の食物連鎖ってどうなってるんだ?
「向こうが気づいてないようなのでここは逃げる方向でどうだ」
「異議なし」
よし、逃げようって。
「黎はどうした」
黎がいない。どこ行きやがったあいつ?
「あっ」
白桜が何かに気づいた。そして俺も気づいた。というか見た。
「あの馬鹿野郎は話を聞いてなかったのか!?」
白桜RP崩れてるぞ。
「よし、あいつの事は忘れよう。俺たちだけで逃げよう」
虎紳士の気持ちのいい見殺し発言。しかし異議なし。
「撤退!!」
黎を置いて3人で逃げる。逃げる前にチラッと見たけどあいつの最後は気持ちのいいボコられっぷりだったとだけ言っておこう。
「なんとか逃げられたな」
「これは森に行くのは無理じゃないか?」
「まずはレベル上げと装備を整えるのが先みたいね」
狼と他2種類のモンスターの強さに差がありすぎるんだが。難易度設定間違えたか運営。
この先どうするか話していたら隣が光って黎が出てきた。
「僕を見捨てるとは酷いじゃないか」
復活早々文句を言うゴブリンが1匹
「話を聞かないあなたが悪いのよ」
「やはり斬るべきだったか」
2人の発言は辛辣だが黎をフォローする気は俺もない。むしろ止めを刺したい。良い事を思いついた。
「なぁ、こいつ倒したらゴブリン討伐達成できないかな?」
黎に向けて武器を構える。
「確かにさっきのこいつの行動はゴブリンだったな」
「やってみて損はないわね」
2人も武器を構える。
「ちょ、ちょっと待ちたまえ君たち」
顔が青くなっているようだが貴様に慈悲はない。
「命取ったるわぁ!!」
……………………
黎は腰を抜かしている。PVP不可だから攻撃は当たらなかった。10cm前ぐらいに透明な壁があるような感じだった。
「ビビるなよ。冗談に決まっているだろう」
斧を肩に担ぎながら笑顔で言ってみる。
「そうよ。ここではPVPが出来ないって言ったじゃない」
「いつまでも冗談で済ませれると思うなよ」
「本気だったろ。さっきの狼より怖かったぞ」
黎の発言は笑って流しておく。
「これからどうする?」
「レベル上げとカブトムシ50匹依頼達成まではやるか」
ある程度奥まで行かないと狼は出てこないようで狼とはエンカウントしなかった。
ハンマービートルを50匹狩るまでにレベルが2上がっていた。時間はすごく掛かったとだけ言っておこう。黎はあれからは大人しかった。
「今日はここまでかね」
「そうだな」
「次までに装備を整えておきましょうかね」
「それが良いようだね」
「澪配信切らないの?」
そうだった。最初の配信だったが面白いのが撮れたな。黎のゴブリンムーブが山場だな。今度飲みの時に思いっきり笑ってやろう。
「今日の配信はこれで終わりだッ!」
ビシッと指差しして言ってみる。これがカメラ目線になっているのかは分からん。これで配信終了っと。
「今のはなんだ?」
「いや、こういう時って勢いが大事じゃないか」
「勢いが必要な場ではない気がするけど」
名前 澪
種族 人間 女性
LV5/2↑
職業 メイン 戦士LV3/1↑
サブ ーーーー
ステータス
HP 130/40↑
MP 14/4↑
STR 44/16↑
VIT 32/10↑
DEX 28/8↑
INT 10/2↑
MIN 15/4↑
AGI 24/8↑
LUC 30/10↑
スキル
斧術LV4/1↑
LV1 斧装備時攻撃力UP小
LV2 アーツ:ビートダウン習得
LV3 斧攻撃モーション短縮極小
LV4 斧攻撃時ノックバック耐性小