第35回配信 クマさんフルボッコ配信 その5
「それじゃ、澪のアーツについてわかった事を整理しましょうか」
クマくん探しのついでに何度か狼狩りをしてデッドエンドがある程度わかった。
白桜が指を立てつつ説明してくれる。
「一つタメ時間は30秒固定」
うん。白桜に計ってもらった結果デッドエンドのタメ時間は30秒固定だった。長いよな30秒って。
「二つタメ中は自分からのキャンセル不可」
はい。一度使用したらノンストップです。
「三つタメ中に攻撃を喰らうと強制キャンセル」
攻撃喰らったらダメ絶対。
「四つタメ中は敵視が集中する。これはタンクの虎紳士のスキルによる敵視集めよりも強力」
敵がわんさか来るぜ。
「五つ敵視を集める範囲が300mはある」
俺の魅力に全員の視線を釘付けにするぜ。
「デッドエンドを使ったら姫プモード確定だな」
「動けない。敵が集まるだからな」
「まぁ、その代わり威力は申し分ないけどね。難しいけどあれを試行錯誤して使えるようにするのは浪漫よね」
「「浪漫だ」」
そう、浪漫大事。効率だけでは取れない栄養があるんだよ。こいつらはそれを理解しているから大変良い。
「じゃあ、実際どうやって活用するかよね」
「澪に敵視が集まるのは確定だからな。どうやって30秒澪を守るかだな」
「やっぱりスタンとか妨害がメインになるんだろうな」
「やっぱりそれが一番確実よね」
「僕がその前に敵を倒せば問題ないさ」
ゴブプリが直立して元気よく手を挙げる。元気はいいが発言がダメ過ぎる。
「「お前は黙ってろ(なさい)」」
「……はい」
会話に入れないゴブプリが無理やりカットインしてきたが2人に一刀両断されてしまった。
あぁ、膝抱えて小さくなっちまった。メンタル弱いんだから無理しなきゃいいのに。
ゴブプリの騎獣がゴブプリの肩に蹄を乗せている。あれは慰めてるのだろうか?
「とりあえず、澪がアーツを使って敵が集まって来たら私たちの妨害系のアーツを使ってどこまで足止めできるか試してみましょう」
「2人でスキルを交互に使えばクールタイムの隙を減らせるな」
「よし。ひとまず妨害で時間を稼ぐ作戦で行くか」
「なぁ、僕のスキルでスーパーアーマーを付与するのがあるんだけどそれも活用できるんじゃないのかい?」
「「「!!!!?????」」」
ゴブプリの発言で俺たち全員の表情が驚愕に染まってしまうのは仕方がないと思うんだ。
「ゴブプリがまともな発言をした!?」
「あの、呼吸するように変態行動をするゴブプリが!?」
「存在がデバフと言われたあのゴブプリが!?」
「君たち僕を何だと思ってるんだい?」
ゴブプリの表情が引き攣っている。何だと思ってるかってそれはなぁ。
「「「ゴブリン」」」
はい。解釈一致。
「君たち……」
ゴブプリが膝から崩れ落ちた。
「いや、だってゴブプリだしな」
「仕方がないことよね」
わかっていた事だが2人はゴブプリをフォローする気は全くないな。よし、ここは俺が一肌脱いでゴブプリを優しくフォローしておいてやるか。
崩れ落ちたゴブプリの肩にそっと手を乗せる。ゴブプリが切ない表情でこちらを見上げてくる。
ゴブプリを安心させるように笑顔を作る。
「お前の日頃の行いだ。悲劇の主人公ぶるなよ。自業自得なんだから受け入れろ。ゴブリン希少種」
「グフゥオァ!!」
ゴブプリが胸を押さえながら後方に倒れてしまった。ん?どうしたんだこいつ?
「あぁ、トドメ刺しやがった」
「事実であるけどね。もう少しオブラートに包みなさいよ」
「ん?」
2人とも額を押さえて天を仰いでいる。何か言っているが声が小さくて聞こえなかった。
「よし方針は決まったな。これからはクマくんを探しつつ狼で練習やな」
竜子さんにクマくんを探してもらおう。
「ちょっと、倒れてるゴブプリどうするのよ?」
「ん?あれなら復活するから大丈夫だろ」
「まぁ、気づいたらそこにいるみたいな感じあるしなぁ」
「本当にいいのかしら?」
そう言いながら白桜もゴブプリを置いて進んでするんですけどね。




