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第32回配信 クマさんフルボッコ配信 その2

「よし。それじゃ、くまさんの所に行くか」

 現実(リアル)では疲労の塊だけどVRの世界では元気よく行こうか

「いや、気軽に行くかって言うけど。まず探さないとダメだろ」

 うむ。虎ちゃんにいきなり出鼻を挫かれました。まぁ、君の懸念も理解は出来る。クマさんは徘徊型のボスモンスターだ。本来なら探すのも一苦労だからな。

「なんかドヤ顔で頷いてるの見ると意味もなくムカつくいてくるわね」

 酷い言われようだ。しかしだ!

「安心しろ。俺には秘策があるんだよ」

 これを聞けばお前らもニッコリ。


「どんな秘策なんだ?」

「澪の言う秘策って、不安でしかないんだけど…」

 二人が胡乱気な目で見てくる。

 あれ?思ってた反応と違うな。


 ま、まぁ、俺の話をしっかり聞けばそれは無用な心配だとすぐに理解できるさ。

 だって俺の秘策って竜子さんだからな!

 安心と実績の竜子さんだからな!心配なんていらないのさ!

 

「お前ら騎獣はちゃんといるな」

 確認すると3人とも頷く。

 持ってないって言われても竜子さんには一人(というか俺しか※サイズ的問題)しか乗れないからな。そうなったら持ってない奴は強制ダッシュになるから移動の時間がとんでもなくかかってしまうからな。


 一応今回集まる前に確認しといたんだよ。まぁ、白桜と虎ちゃんはしっかりと騎獣を持ってたな。

 流石だぜ。そして案の定持ってなかったのはゴブプリよ。というか存在も知らなかった。

 どうしたものかと思ったが虎ちゃんが懇切丁寧に指導してくれてなんとかなったようだ。何をどう指導したのか聞いても具体的な事は何も教えてくれなかった。

 ゴブプリに理解させるって難易度が ナイトメア級だからどうやったのか知りたかったんだけどな。


 話がそれたな。では竜子さんを呼ぼう。

 呼ぶということで賢い諸君は理解できているだろう。そう、今俺の元に竜子さんはいないんだよ。


 本来騎獣とは必要時に呼び出して利用するというのが一般的なんだと。

 本当は常に一緒にいてモフモフさせて欲しいんだけどさ。この前姐御にずっと一緒にいると竜子さんも疲れるから休ませる時間も必要だと言われたんだよ。竜子さんもそれ聞いてすごい頷いてたんだよ。


 そんな反応を見せられたら流石に俺も常に一緒にいるのを諦めたさ。それを姐御に言ったら竜子さんは颯爽と俺の前からいなくなったのよ。

 もうちょっと、こう、別れる時の反応が欲しかった。あまりにもクールに去るから姐御も苦笑いだったな。


 竜子さんがいなくなった後に気付いたのよ。どうやって竜子さんを呼ぶんだ?っていうか竜子さんって普段どこにいるんだって。

 姐御にそれを聞いたら呼び笛を渡されたのよ。

 この呼び笛を鳴らすと鳴らした相手と契約した騎獣が不思議空間を使ってやってきてくれる仕組みになってるんだ。

 不思議空間については説明されたが魔法的なよく分からん理屈だったので覚えていない。覚えていても意味ないだろうからな。不思議空間で十分だ。

 ちなみに帰る時もこの不思議空間を利用して帰っていくのだと。便利すぎて俺も使いたいんだがこれはプレイヤーには対応していないと言われた。つまりは仕様って事ですよ。ちくせう。


 はい。それではちょっと前置きが長くなったが竜子さんのお披露目です。

 おいでませ。竜子さん!

 呼び笛を吹くと綺麗な音が鳴る。

 すると目の前に不思議空間が広がり中から竜子さんが現れる。

 うん。今日もモフモフで大変可愛いです。


「あぁ、それがあなたの騎獣なのね。ようやく分かったわ」

 竜子さんを見て白桜が一人納得して頷いている。

「何が分かったんだ?」

 虎ちゃんも俺と同じ疑問を持っているようだな。ゴブプリは…、うん。何も考えてない顔しているな。

「某さんが謎の行動をとっていたのよ」

「まぁ、あの変態侍なら珍しい事でもないだろ」

 虎ちゃんも頷いている。だよな。あの変態侍だから奇怪だったり謎な行動の一つや二つとるだろ。


「それが胸を押さえてモフモフと幼女ってブツブツ言いながら崩れ落ちてるのよ。そしてそのままの状態でモンスターに囲まれて殺されてたのよ」

「なんだよ?そのホラー展開」

 変態に侍にホラー要素まで追加か?このゲームには濃いプレイヤーしかいないのか?薄味厳禁か?終いには全員高血圧で倒れるぞ。


「まぁ、あまりにも衝撃だったし目撃者が多数いたからしばらく掲示板を騒つかせていたのよ。一体あの変態侍に何があったのかって。でも今あなたの騎獣を見て理解したわ」

 ん?竜子さんがどうしたって。なんか白桜が真剣な表情になってるんですけど。どうした?

「あなたはよく分かってないみたいだから説明するけどね。あの手の変態には幼女とモフモフは凄く刺さるのよ」

「……刺さる」

「そう、性癖に刺さるのよ」

「つまりは何か?某さんの性癖に澪の姿がクリティカルヒットしたからそのまま悶えてモンスターに殺されたってか」

 虎ちゃんと白桜も頭痛を抑えるように額に手を当てている。

「それしか考えられないわね」

 マジかぁ、ないわぁ…。


「事実か確認してみるか?」

 事実は違うというわずかな可能性をかけて確認してみるか

「確認ってどうするの」

「本人に確認するのが一番だろ」


 どうせいるんだろうよ。ちょっとコメントをONにしてっと。

「某。これは本気か?」

『MAJIでGOZARU!!』

『YEAHHHH!!』

『澪殿だけでも可憐なのにそこにあのようなモフモフの化身が現れたら某が倒れるというのも仕方がないと事でござるよどんなものでもダウンでござるよむしろダウンしないのは人としていやこの世の生命としておかしいでござるよこれには異論あるものは某が切り捨てるでござ……』

 いるとは思ったけどすぐにコメントが返ってきたな。そしてものすごい勢いでコメントが流れていってて訳がわからん。

 まぁ、事実っぽい事は確認出来たんでコメントはOFFにするか。


「本人に確認したら本気だったわ」

「こっちでも確認できたわよ」

「他の奴らも変に盛り上がってるな」

 二人が遠い目になっている。勿論俺も遠い目になってるさ。

 なんだろうな。このなんとも言えない感じは。


 こういう時はゴブプリを見て空気を変えるか。よしゴブプリ。この空気を変えてくれ。

 そんなゴブプリは呼び笛を持ってポージングしていた。イメージは昭和のロボットアニメの主人公がロボットを呼び出す時だな。うん、ダメだ。コイツも一種の変態だったわ。

 会話に入ってこないから何をしているのかと思ったらこいつは…。


「ゴブプリは今日も気持ち悪くやってるみたいだな」

「邪魔しちゃ悪いから距離取るか」

「そうね。早く距離を取りましょうか」

 竜子さんもゴブプリの事を汚物を見るような目で見ている。ほら、竜子さん目が腐ると悪いから離れるぞ。

 全員で距離を取るがゴブプリは全く気づいていない。何か叫び始めたな。

 触らぬゴブプリに祟りなし。ここは放置一択だ。


「それじゃ、私たちも騎獣を呼びましょう」

「そうだな」

 二人が呼び笛を取り出し鳴らす。うん。普通はこうなんだよ。そして普通ってとても大事だよね。


「おぉおお…………お?」

 二人は普通に騎獣を呼び出したが呼びだされた騎獣は普通ではなかった。

「あぁ……、一応確認するけどお前らの騎獣って何?」


「この子はフォレストリザードって言う種族よ」

 白桜が呼び出した騎獣は……。

「ワニ?」

「ワニじゃないわよ。フォレストリザードって言ったでしょ」

 言ったでしょと言われてもワニにしか見えないんだが。

 全長は2mはあるが高さは50cm程度と低い。体全体に厚みがあり安定感はありそうだ。


「どうやって乗るんだ?」

 この高さだと乗れないだろ?乗れない騎獣はただの獣だぞ。

「この子には立って乗るのよ」

 白桜がワニに乗って見せる。

「真逆の立ち乗り仕様」


「ギルドの方でオススメの騎獣を聞いたらこれを勧められたのよ。なんでもエルフとの相性はいいらしいのよね」

 白桜が頬に手を当て首を傾げる。相性が良いと言われても疑問に思ってるのだろう。

 うん。まぁ、その疑問は俺も理解できる。ワニと相性のいいエルフってなんだよ。聞いた事ねぇよ。


「まぁ、でも乗って見たら意外といいのよね。勧められた時はどうなるかと思ったけどね」

 エルフと相性の良いワニねぇ。見た目の相性はよくないと思うけど。まぁ、本人が納得してるならそれでいいか。うん。


「で、虎ちゃんの騎獣はそれか」

「おう。俺の騎獣はコイツだ」

 虎ちゃんが見せてくれた騎獣はライオン(雄)だった。うん。フッサフサだな。


 まぁ、取り敢えず聞いておこう。

「何故にライオン?」

「いや、最初は普通に馬にする予定だったんだけどな。なんか騎士団の馬が俺の紳士マスクに反応してな。興奮してうまく乗れなかったんだ」

 何故なんだかと虎ちゃんが首を横に振る。

 いや、そりゃ(草食動物)虎マスク(肉食動物)は乗れないよな。馬にしたら乗られたらそのまま捕食されると思ってしまうよな。


「それで俺でも乗れる騎獣を探したらコイツだったって訳だ」

 ライオンに乗る虎か。どっちかに統一出来なかったのか?というか騎士団ギルドってライオンもいるのな。まずそっちにビックリだよ。


「こうして見ると見事に普通の騎獣がいねぇのな」

 ポメラニアンにワニにライオンって。騎獣の王道って馬とか黄色い鳥とかじゃないのか?

「こうなると他の奴らがどんな騎獣に乗ってるのか気になるな」

「この世界の一般的な騎獣ってなんなのかしらね?」

 他のNPCとかプレイヤーの騎獣とか今度確認してみよう。


「ハッハッハ!みんな待たせたね。これが僕の騎獣さ」

 放置していたがどうやらゴブプリも騎獣を呼んだみたいだ。遠くからゴブプリがやってくる。距離があり過ぎて何に乗ってるのか全く分からないな。知らんうちに大分距離を取ってたんだな俺たち。


「ゴブリンって普通何に乗ってるんだ?」

「普通のゴブリンは何にも乗らないと思うわ」

「でもゴブプリだからな」

 何に乗っていても不思議ではないな。あいつがモヒカン軍団が運ぶデッカい動く玉座に乗っていても不思議じゃないもんな。


 騎獣に乗ったゴブプリが近づいてきた。ゴブプリが乗っていた騎獣の正体は……。

「白…馬…?」

 ゴブプリは外見上は爽やかな笑顔で手を振っている。白馬?に乗って。

「白馬だな」

「白馬ね」


「なんだ意外と普通じゃないか」

 二人が安心したように息を吐く。

「そうね。ゴブプリだからって思って変に構えてしまったわ」

「まぁ、ゴブプリだから仕方ないな」

「そうよね。流石に騎獣までゴブリンという事はなかったわね」


 二人は安心したのか朗かに笑っている。なんでこいつらはこれを見て笑えるんだ?こんなの笑えないだろ。

 ほら近づいて来たらよりはっきりとわかるじゃないか。

「……お前らしっかりとゴブプリの騎獣を見ろよ」

 お前らも早く現実を見ろ。ご都合主義なんてないんだよ。

 やっぱりゴブプリに関わるものはちゃんとそういうものなんだよ。


「見ろって普通の白馬だろ?」

 虎ちゃんが安心して緩んだ表情を見せている。関係ないけど虎仮面なのにコイツ表情豊かだよな。

「そうね。ゴブプリの騎獣だからどんなものが出るかと身構えてたけど案外普通で安心したわ」

 出来ればその身構えていた状況を続けて欲しかったぞ白桜。

 

 しかし現実は残酷なんだぞ。

「お前らもう一度しっかりとゴブプリが乗ってるやつを見ろ」

 ゴブプリが目の前にやって来た。

「「は?」」

 そして二人がゴブプリの騎獣に視線を向ける。その二人の視線に気づいて何故か得意げになってるゴブプリ。


 さぁ、二人とも現実を知ろうか。

 俺はゆっくりとゴブプリの騎獣の顔を指差す。

「お前らはこの馬?の顔を見てもまだ普通と言えるのか!?」

「「は?」」

 二人がゴブプリの騎獣の顔に視線を向ける。

「「はぁああああぁああ!!???」」

 そして絶叫する二人。

 うむ。しっかり現実を見てくれたようでなによりな反応だ。


 はい。それではゴブプリの騎獣を説明しよう。

 馬である。サイズは通常サイズで毛並みは真っ白だ。将軍が乗って海岸を走ってそうな感じのやつだ。

 ここまでは普通だ。うん。普通すぎて面白みがないまである。しかしこれでは終わらないのがゴブプリだ。


 みんなは馬のツラって見分けつくか?自慢じゃないが俺はつかない。新聞見ながら勝馬投票券を毎週買ってる方々は見分けがつくかもしれないが俺は無理だ。

 だが、こいつの騎獣は一発で見分けがつく。というかつかない方がおかしい。

 はい、それではどのようなものか説明してもらいましょう。どうぞ!


「何でそんな眉毛があるのよ!?」

「そしてその目はなんだ!?」

 二人の説明(ツッコミ)が始まった。うん。これを見たらそうなるよな。

「「と言うかそれは馬なのか!!??」」


 わかりやすく説明するとだな。80年代のスーパーロボットアニメの主人公みたいな顔なんだ。

 太く凛々しい眉毛に鋭い眼光。レ点みたいな形のもみあげみたいなのもあるぞ。

「騎獣と言うか奇獣だな」


「はははは。驚いてくれたかな。これが僕の専用の騎獣。白馬の兜龍馬だ!!」

「色々アウトな気がするわね」

「気じゃなくて完全にアウトだろ」

 パイルダーにオンするかゲッターにチェンジしそうな感じだな。


「この騎獣は聖女に貰ったものでね。なんでも由緒正しき騎獣らしくね。やはりこれは僕の人徳がなせるものだと思うんだけど……………」

 あぁ、あのけしからん系聖女が原因か。VRとはいえ3次元であの衣装はど変態だよなぁ。

 ゴブプリがまだ熱く話してるな。身振り手振りも激しくなってるし。


「まぁ、全員騎獣も出したし行くか」

 丁度全員騎獣に乗ってるしな。

「ゴブプリがまだ喋ってるけどいいの?」

「あれに付き合う気力があるならどうぞ」

 白桜がゴブプリをチラ見する。ゴブプリはまだ何かを喋っている。あれってノイキャン入れたら聞こえなくなるかな?


 白桜が顔を横に振りため息を吐く

「無理ね」

 ご理解いただき有難うございます。


「で澪。騎獣に乗ってのは良いけどどうやって熊を探すんだ?」

 あぁ、そういえばまだ説明してなかったな。

「竜子さんが案内してくれるんだ」

 竜子さんを後頭部をモフる。うむ。ナイス毛並み。


「なんだそれ?どういうことだ?」

 虎ちゃんが目を見開いている。あ、白桜もだ。驚愕の表情というやつだ。

「詳しくは分からん。竜子さんはクマさんの場所が分かる。俺たちを誘導してくれる。これが全てだ」

 竜子さんがちょっと背筋を伸ばしている。うむ。これはドヤっておられる。


「どういう事?騎獣ってそんな事が出来るの?」

「いや、聞いたことないぞ。そんな事が出来たらもっと騒がれてるだろ」

「そうよね」

「やっぱり澪の騎獣もおかしいって事だろ」

「それしかないわね。4人パーティなのにイレギュラーが2人ってどういう事なのよ」

「俺たち常識人枠には理解できないことが多いな」

「本当にね」


 なんかまた2人でコソコソ話してる。何言ってるか全く聞こえん。まぁ、大事なことはちゃんと説明するだろうから良いか。

「それじゃ、行くか。竜子さん。よろしく」

 竜子さんが頷きゆっくりと進み始める。


「ゴブプリがまだ何か喋ってるけど大丈夫か?」

「まぁ、あれなら途中で気づいて追いかけてくるでしょ」

「放置安定。スルースキルが重要です」

よし。それじゃ熊狩に行くか!

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― 新着の感想 ―
[一言] このメンバーなら、熊さん戦わずに降伏するのではw
[一言] 自分がちょっと変わった目に遭っても、知り合いがもっとおかしな目に合ってるとこれくらい普通って感じる事ってよくありますよね。
[良い点] おかえり [一言] そういえば竜子さんはポメラニアンだったなぁ(読み返し)
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