第30回配信 幼女(おっさん)はクマくんと闘いたいんだけどな
「何処にもいねぇし」
待ってろよクマくん。(`・ω・´)キリッとかやったけど全然出てきてくれないんですけど。
えっ、ちょっとイキってるみたいで恥ずかしいんですけど。この年でこれ系の黒歴史が出来るのは本当に勘弁して頂きたいのですが。
周囲を見渡してもクマくんがいない。なにか見つけても毎度お馴染みになりつつある狼だし。
狼「(΄◉◞౪◟◉`)」
俺「Σ(-᷅_-᷄๑)」
狼「(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」
俺「(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎」
狼「( ゜д゜)」
俺「( ˊ̱˂˃ˋ̱ )」
狼「ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘」
俺「(`・ω・´)」
狼「_:(´ཀ`」 ∠):」
うん。こんな感じの流れがほとんど。おい。本当にクマくん何処に行った?
竜子さんに乗って草原をグルグル回るがクマくんが出てくる様子が全くない。
今って冬だっけ?冬眠の季節か?
これはいつもよりも遠くに行くしかないか。まぁ、竜子さんがいてくれるお陰で移動に悩むことはないんだけどさ。
「そ、そこにいるのは澪殿ではござらんか!?」
あんまり聞きたくない声がした気がする。嫌な予感がするが声がする方に顔を向ける。
「澪殿〜!!」
はい。やっぱりGOZARUがいました。全力で手を振ってるし。
ちょっと一回見なかったことにするか。
視線を前に戻し竜子さんにそのまま移動してもらう。
はい、竜子さん前進してください。
「ちょ、ちょっと待ってほしいでござるよ」
ちっ、近づいてきやがったか。
「なんか用か?」
「いや、用事があったとかではなくでござ………」
急に固まったな。セリフの途中で固まられると困るんだが。
「はうっ!!」
似非侍が急に胸を押さえて後ろに倒れた。
今までも奇怪な行動を取ってたけど。今回はダントツだな。ちょっとっていうかかなり引いたわ。
あ〜、竜子さんも歯剥き出しにして威嚇してるし。
竜子さんを落ち着かせるために撫でる。
竜子さん大丈夫だぞ。こいつはただのHENTAIだから。いやHENTAIだから大丈夫じゃないのか?
「無理。もう無理でござるよ。幼女にもふもふ生物とか。そんなの天国に行かなきゃお目にかかれないでござるよ。はっ!もしかしてここは天国でござるか?某死んだでござるか?いや、この光景を見れたのであればそれは往生でござるな」
なんか四つん這いで胸抑えながら早口で喋ってるんですけど。
また竜子さんが威嚇し始めちゃったじゃないか。竜子さん。ステイ、ステイ。
ここは某を放置した方がいい気がする。竜子さんの精神衛生上もそれしかない気がする。
まだ四つん這いでブツブツ言ってるし。
よし。こいつは放置して予定通りクマくんを探そう。
はい。竜子さん。クマくんを探しに行こうぜ。
うん。本当に放置したけど追いかけてくる気配が全くない。何がしたかったんだあいつは?
まぁ、あれは忘れてクマくんを探そう。本当に何処にいるんだろうな。全くいないんだけど。
「竜子さん。クマくんのいる場所とか分かる?」
あまりにもいなさ過ぎて竜子さんに聞いてしまった。分かる訳がないって分かってるんだよ。でも聞きたくなるぐらいいないんだよ。
もう狼はいいよ。本当次は親方に狼耳のローブでも作ってもらうか?
竜子さんが歩みを止め、周囲を見渡し始める。
「ん?どうした竜子さん」
そして一方向をに視線を固定させる。
「えっ?何?クマくんがそっちにいるの?」
まさかそんな訳ないよな。そんな事出来る訳……。
竜子さんが頷いて視線の先へ歩き始める。
そして比較的すぐにクマくんを発見した。
マジで出来たよ。竜子さん有能すぎんか。
竜子さんが「なっ、いただろ」とでも言いたげな表情だ。
うん。凛々しい表情も可愛くてグッド。
竜子さんから降りる。まだクマくんはこちらに気づいていない。
さて、クマくんリベンジなのだが俺は一つ考えがある。ちょっと反則的な考えだが。
今現在クマくんはこちらに気づいていない程度の距離がある訳だ。
でだ。前回のイベントの時にゴブリンキングを倒したアーツを覚えているだろうか?
そう、チートアーツの「デッドエンド」だ。
ちょっと思ったのよ。あれをこっから撃てば当たるんじゃね?
苦情は受け付けないぞ。世の中勝てばよろしいのだ!
公式が出したアーツなんだ何も問題はない。文句があるなら公式に言え。でも言い過ぎると弱体化される可能性もあるから本当はあんまり言わないで欲しいぞ。
「よし、行くぞ!」
構えてアーツを発動させる。
構えてから発生までに時間がかかるのがこのアーツの弱点だぜ。俗に言うスーパーアーマーもないから攻撃を喰らったらアーツがキャンセルされるのも悲しいところだ。
でもこのピーキーさに痺れる。ただ強いだけではダメんだんだよ。いつでも浪漫を求めるんだ!
さっきまでウロウロしていたクマくんが突然顔をこちらに向ける。
あれっ?クマくん。こっちはまだ君の索敵圏外じゃないのかい?
あ〜、こちらを見て唸り声をあげてますな。これは完全にこちらをロックしていますな。
ほら、一直線に走ってきてるし。クマって足早いよね。
「って、ちょっとこの状態まずいんですけど!?」
はい。私、今はアーツの発動準備中のため絶賛硬直中でございます。
わかるかい?つまり今俺は動けないという事さ!
クマくんがダッシュで目の前に来る。そのまま轢かれるかと思ったら直前で急停止。そして立ち上がる。うん。効果音つけるとしたらがおーって感じだな。そして大きな右腕を振り下ろしてくる。
はい。避けられません。
直撃しました。
暗転。目を開けたらそこは街の中。
「あっけなく死んでしまった」
さっきのクマくんはデッドエンドを使おうとした瞬間に気づいてこっちに向かってきたよな。
もしかしてデッドエンドって敵視を集める効果があるのか。しかも索敵圏外のモンスターの敵視も集めるとかもあるかもしれんな。
予想通りだとこれはパーティ戦専用だな。ソロでは使えないはきっと。
これはあいつらを呼んで要検証だな。
周囲を見渡すと竜子さんが横で寝そべってこちらを見ている。
「おぅ、竜子さんもこっちに来れたのか」
どういうシステムかはわからんけど、死んだらそこで放置されるとかの極悪システムじゃなくてよかった。
竜子さんの目に憐憫の色が見えるのは気のせいか。
くそぅ。竜子さんはクマくんをソロで狩れるからって。今に見ていろ。俺もすぐにクマくんを狩ってやるからな。




