第26回配信 幼女(おっさんは新しい装備が欲しい 〜これは装備というジャンルではないよな〜
よし!それではこの星堕としを振り回してこよう!今宵の星堕としは血に飢えておる。
新しい防具はどうすんだって?そんな事ぁどうでも良いんだよ!
新しい武器を手に入れたら何よりも先に振り回す。これが正しい漢の子としての姿だ。
「ありがとう姐御。早速これを振り回してくるぜ!!」
ヒャッハー!!汚物は消毒だぁ!!汚物じゃなくても消毒だぁ!!
「あぁ、澪。喜んでくれるのは嬉しいけどちょっと待ちな」
む?待てと言われれば待ちますよ。俺は周りが見れる漢。ゴブプリとは違うのだよ。ゴブプリとは!!
………比較対象があれだと自分で言ってても悲しくなるな。この例えは止めよう。
「澪。あんた今レベルは幾つだい?」
レベル?レベルどんなだっけ?え〜、ちょっと待ってね。ステータスをオープンしましてっと。
種族 人間 女性
LV18
職業 メイン 戦士LV12
サブ ーーーー
「18だな。職業は戦士で12になってる」
結構上がってたな。これがパパン狩りの効果か。パパンは良い養分だったんだな。
「18か。じゃあ、大丈夫だね」
大丈夫って何がだ?
「レベル的には西門の外に行けるって事さ」
あ〜、そう言えばそんな事言われてた気がする。
姐御の言葉に納得し頷く。
「で、あんた今はギルドランクは幾つだい?レベルが高くってもギルドランクが低かったら意味ないからね。まぁ、でもEランクなんて普通にしてればすぐに上がるから問題ないね」
ギルドランク………?はて?そんなものがあったか?
「ちょっと、澪。なんでそこできょとんとした顔をしてるんだよ?」
「いや、ギルドランク?ギルドランクってどれだ?」
えっ?ステータスにそんな項目あったか?
「ちょっと澪?あんたパーソナルカードを見せてみな」
あぁ、パーソナルカードね。えぇっと、ポーチの中に入っておりますので…。はい、ありました!
姐御にパーソナルカードを渡す。
「ちょっと借りるよ」
姐御がパーソナルカードをマジマジと見ている。うん、よく分からんけどちょっと照れるよな。
姐御が大きなため息を吐く。
「澪、あんたギルドランクの更新全くしてないじゃないか?」
「ギルドランクの更新?」
なんだそれは?えっ?ランク上げるのって手続き必要なの?自動でパパッと上がる系じゃなくって?
「あんた更新を知らないのかい?」
えぇ、知らないのでここは頷きますよ。
「クエストの報告の後とか何も聞かなかったのかい?」
「特に聞いた覚えは………」
ないな。
「なんて事だい。これはこちらのミスだね」
そう言うと姐御はガックリと肩を落とした。
「すまないね。今から説明するけどギルドランクを上げるにはクエストを受けるだけじゃなくて、ランクを上げるための手続きが必要なんだよ」
あぁ、そうなのね。
「今から説明するから、ちょっとギルドの受付に行くよ」
はい。どこまでも着いて行きますよ。
「と、言うわけだけど分かったかい」
ギルドの受付についてから姐御にギルドランクアップの手続きの方法を教えてもらった。
別に難しいことはなかった。クエストクリアすると勝手にギルドポイントが貯まる。である程度貯まったらランクアップが出来るようになるから受付で申請する。素行などに問題がなければランクアップ出来るらしい。素行も大事なのね。誰が素行を確認してるのか聞いたら姐御に意味ありげに笑われた。うん。深く聞くのは止めようと思います。
ちなみにC以上に上がるには特別なクエストを受ける必要があるらしい。試験的なやつだな。内容は教えてくれなかった。受けてからのお楽しみらしい。
「これで澪はEランクだね」
で、俺は問題なくランクアップ出来た。ゴブプリとか素行で落とされるんじゃないのか?あいつこの前のイベントで人様に迷惑かけまくったからな。
「これで澪は西門を使えるようになった訳だ」
おぅ、そういえばそんなのありましたね。
「そして分かってると思うけど、ぷれいやーが西門を使えるようになると騎獣も使えるようになるね」
騎獣?騎獣ってなんぞ?
知らん情報が立て続けにくるな。
「えっ?澪、あんた騎獣も知らないのかい?」
そんなマジかよ?みたいな表情されてますけど、何?そんな大事な情報なのそれって?
「あんたワールドアナウンスは聞いてないのかい?」
「わーるどあなうんす?」
何それ?運営からのお知らせ的なやつ?
「本当に知らないみたいだね。ちょっと待ってな。あんたみたいな知らないぷれいやーへの説明用のやつがあるんだ」
そういって姐御が受付の奥に引っ込んでしまった。
「えぇっと、どこに置いてあったかね」
なんかガサゴソと物を探す音が聞こえてくるな。ここからは奥は見えないけどこの音からするとあまり整理はされたなさそうだな。
「あぁっ!!なんでこんなに散らかってるんだい!?掃除しろっていつも言ってるだろ!!」
姐御、がっつり声聞こえてますよ。
ギルド職員たちは顔を見合わせて「お前か?」「いや、俺じゃねぇし」みたいなやりとるしてるし。
NPCの冒険者は姐御の怒声に気まずそうにしてますよ。プレイヤーはなんかワクワクした表情になってるけど。プレイヤー諸君。これはイベントとかじゃないぞ。
「あぁ…、リオさんどうしました?」
おっ、誰かが特攻しに行ったな。
「あぁっ!?エリオット!あんたかい?ここをこんなにしてるのは!?いっつも整理はしっかりしろって言ってるだろ!なんだいこれは!?」
「いや、リオさん。これはちゃんとどこに何があるか計算されて置いてありまして…」
おっさん2号か。そして散らかしてたのはおっさん2号か。ギルド職員が「あぁ、あいつか」みたいな顔してるぞ。
「自分の部屋ならその言い訳でも良いだろうさ。だけどここは職場の共有スペースだ。そんな言い訳が通用するとでも思ったのかい!?」
あぁ、うん。そうだな。姐御の正論パンチが飛んでるな。汚部屋の住人はみんなどこにあるか分かると言うが姐御にそれは通用せんようだぞ。
「あっ、そうですね。すみません」
いや、もうちょっと粘れよおっさん2号。すぐに納得するなよ。
「で、何を探してるんですか?」
話変えたな。
「この前の神託のやつがあっただろ?あれを探してるんだよ」
「あぁ、あれでですか。あれなら……、はい、ありました」
「本当にどこに何があるのか把握してるみたいだね」
「だから、そう言ったんですよ」
おっ、これはお咎めがそんなにないパターンか?
「まぁ、でもあんただけが分かってても意味はないからね。業務が終わったらここの整理もしておきなよ。後で確認するからね。出来てなかったら分かってるだろうね?」
「は、はい」
これはお咎めありパターンですな。
姐御が奥から紙を持ってきた。あれがなんか説明のやつか。
「よし、待たせたね……ってどうしたんだい?なんか変な空気になってるけど?」
姐御が周囲を見渡す。これは声がばっちり聞こえてたの分からなかったみたいですね。
「いえ、何もありませんでしたです!」
そうだろうお前たち!周囲のNPCたちが頷く。あっ、何か言いたそうにしているプレイヤーが取り押さえられてる。
ナイスだNPC冒険者。ここは余計なこと言うべきじゃない。ここは何もしないでスルーするのが一番平和な方法だからな。
「まぁ、いいさね。えぇと、これに神託が書いてあるんだが書いてる意味が私には分からないからね。書いてあることをそのまま言うよ」
姐御が若干困惑した表情で持ってきた紙を振りながら言う。
出ました。神託。まぁ、姐御たちみたいなNPCには何言ってるか分からんことが多いだろうな。
「えぇと、ワールドアナウンスはゲーム?を進行する上で必要な情報が定期的に配信?されますので受信設定をONにすることをお勧めします。この時点で何を言ってるかさっぱりだね」
大丈夫だ姐御。俺は分かる。姐御に続きを読んでもらうように促す。
「初期設定ではワールドアナウンスがOFFになっています」
おい。大事な情報を配信するならデフォルトでONにしとけよ運営。
「ONにするにはメニュー画面?を開いて?設定?からワールドアナウンスの項目に行き受信設定をONにして下さい。だってよ。分かったかい?」
「あぁ、言ってることは分かったからちょっと待ってくれ。今やってみる」
えぇっと、メニュー画面を開いて設定に行ってと。
はい、出ました。ゲームが進化したことで設定項目ありすぎて訳分かんないやつ。もうちょっとプレイヤーに優しい設定画面に出来んのか?
昔は設定にステレオとモノラルしかないとかいうのがあったらしいが。みんなモノラルってなんだか分かるか?分かる君とはうまい酒が飲めそうだ。分からなかったら好みの検索エンジンで調べてくれたまえ。
っと、あった。ワールドアナウンスの項目。これの受信設定をONにすると。
「よし。出来た」
「そうかい。これで大事な情報を落とすことはないね」
俺が設定出来たのが分かったのか姐御がいい笑顔で言ってくる。
「おぅ、そうだな」
だめだ。アナウンスが流れようが気にせずにスルーして見落としてしまう人間がこの世にはいるなんてこの笑顔を見てからじゃ言えない。そして俺はどちらかというとその部類に入る。
説明書なんて困ってから読めばいいんだよ。習うより慣れろだ!でゲームをやる人間です。途中でゲームに詰まって悩んだけど実は解決策が説明書に書いてました!なんて事は何回も経験してますよ。
だったら説明書を読めって?そう簡単に人間変わるもんじゃないぜ。説明書が紙媒体からネットで確認になってから余計に見なくなったしな。
「よし。じゃあ本題に入るよ」
「そうか、これが本題じゃなかったな」
「そうだよ。本題は騎獣についてだ」
そうでした。騎獣なるものが本題だった。騎獣ってあれだよな。みんな大好き走る黄色い鳥的存在とか空を駆ける黒い鳥的存在、隕石降らせるのか?赤い鳥的存在みたいな奴だよな。空飛ぶ船とかの可能性もあるか?
「とりあえず騎獣について説明するよ」
「うい。お願いします」
俺もあの軽快な音楽に乗せて黄色い鳥っぽいやつに乗る時がきたのか。
「騎獣ってのは最初はほとんどがレンタルだね。専用の騎獣を持ってるのは中堅以降の冒険者だね」
「レンタルっすか」
なんか急に現実感が押し寄せてきたな。
「だいたいレンタルしている場所が各ギルドとかそれ専門の商店だね。まぁ、ギルドでレンタルしているヤツがほとんどだけどね」
「ギルドでレンタルか……。じゃあ、俺も最初はここでレンタルすることになるのか」
レンタル料とかどれくらいだろ?払えるかな?
「まぁ、普通はそうなるんだけどね…」
何?その思わせぶりな発言は?
「何?なんかあるの?」
「これは説明するより直接見た方が早いね。澪ちょっとついて来な」
説明してくれないの?ついて来いと言われればついて行きますけど。
姐御について行ったら先は馬などの動物が飼われている頑丈な柵で囲まれた大きな広場だった。
「これが騎獣か?」
騎獣って言うぐらいだからもっと魔物魔物してると思ったら普通の馬っぽいのがほとんどだな。数頭なんかファンタジーな見た目のゴツいのがいるけど。
「そうこいつらが騎獣だ」
姐御が柵に近づくとそれに気づいた騎獣たちが姐御に寄ってくる。おぅ、動物に好かれてる感が出てていいな。
「澪もこっちに来な」
はいはい。行きますよ。
近付いて見ると馬って結構デッカいのな。それとも騎獣だからデカいのか?現実の馬のサイズって画面越しでしか見たことないからよく分かんないんだよな。まぁ、俺が小さいからよりデカく感じるってのはあるかもしれんが。
「こいつがウチでレンタルしている騎獣の平均的なサイズになるね。これよりも小さいのもいるがそんなに大差はないね」
姐御が近付いてきた騎獣の一頭を撫でながら言う。
はぁ、こんなデカいのが平均サイズなのか。すげぇな。
「でだ。最初に行った通りレンタルは大体ギルドでやってるヤツがほとんどだ。その理由を教えてやろう」
ここで改まって説明ですか。
姐御が指折りながら説明し始める。
「まず、ギルド以外の、まぁ大体は専門の商店だね。これは種類は多いがレンタル料が高い。どんなに安くてもギルドの倍以上はする」
ギルドのレンタル料ががよく分からないけど倍以上は厳しいな。
「そしてもう一つ。これはギルド間での約束事みたいなもんなんだがね。騎獣のレンタルは、そいつが所属しているギルドでしか行えないんだよ」
「はぁ、そうなのか」
「そうだよ。つまり澪は冒険者ギルドでしか騎獣をレンタル出来ないってことになるね」
なるほど。で、それがどうなんだ?ここでレンタルすればいいってことだろ?
姐御の言わんとしていることがよく分からん。何が問題なんだ?
「はぁ、つまりはだっ」
両脇に手を入れられ持ち上げられる。
えっ、突然なんですか?そんな軽々と持ち上げられると多少は驚きますよ。
そしてそのまま近くにいた騎獣に乗せられる。
これが騎獣の視点か結構高いな。
「これで分かったかい?」
分かったて何がだ?騎獣は予想以上に高いって事か?
「その顔は分かってないね?」
姐御はため息を吐く。いや、言葉で言ってくれないと流石の俺も分からんよ。
「あんた、その状態でどうやって騎獣を動かすんだい?」
ん?動かす?動かすってあれだろ手綱を握ってとかだろ………。って、あっ…。
「ようやく気づいたかい」
はい。気づきました。
皆様、もうお気づきだろうか。
そう、俺が小さすぎて手綱なんて遠くて触れもしねぇんだ。
「姐御。俺って騎獣乗れるのか?」
「このサイズは無理だね」
マジかよ。ゲーム特有のサイズ無視のなんか知らないけど乗れてますけどなにか?的なシステムはないのかよ!
VRだとこういう問題が出てくるのか。
「だけど安心しな。要はこのサイズじゃないやつに乗ればいいんだ」
「このサイズじゃないと言われましても………」
騎獣に乗っているこの状況を見てくれよ。これ平均サイズって言ったじゃん。俺が乗れるサイズって子供の騎獣とかになるじゃん。そんなの乗れねぇよ。
「慌てるんじゃないよ。ちょっと待ってな」
姐御が柵を乗り越え奥に消えていく。
えっ?俺この状態のまま放置っすか。
周囲にいる騎獣が集まってくる。
このままだと危ないから落ちないように守ってやんよ的な空気が出てるな。
こいつら紳士なんだな。
「よし。待たせたね」
姐御が帰ってきた。そして姐御の後ろからそいつがついて来ていた。
周りの騎獣が姐御の後ろの騎獣を見つける。するとそいつの歩く道を開けるために慌てて移動している。
俺が目的地なので俺が乗ってる騎獣は動けないでいる。ちょっとソワソワしてる気がするのは気のせいか。
また姐御から抱えられた。そして騎獣から降ろされる。
「こいつが澪でも乗れる騎獣さね」
「こ、こいつが俺が乗れる騎獣」
目の前には確かに俺が乗れそうなサイズの騎獣がいた。
そう、つぶらな瞳のポメラニアンが。サイズは大型犬ぐらいか。
「もっふもふやな!これもっふもふやぞ!」
もふもふしてもいいか?とりあえずもふもふさせてくれ。
ポメラニアンがちょっと引いてる気がするけど気にするな。
「ちょっと落ち着きな」
また姐御に抱えられてしまった。
「ちょっと。ちょっとだけ。大丈夫。先っぽだけだから!」
「先っぽだけってなんだよ?ちょっとジタバタするんじゃないよ」
ダメか?ダメなのか?こんなに可愛いもふもふの塊なのに!?
暫くジタバタしてみたけどダメだった。
「落ち着いたかい」
「はい。落ち着きました」
「よし、じゃあ降ろすよ」
かかったな!そう簡単にもふり欲は収まらないぜ!!VRではアレルギーとかないからな!ヒャッハー!!
「分かってはいたけど、本当にやるとわね」
「ぬぁああああ!!」
くそぅ、また抱えられてしまった!
「次やったら戻してくるよ」
「えっ、それは困る」
もふもふが離れるのはマジで困る。
「じゃあ大人しくしてな」
「はい」
これは本当に大人しくしないとダメなやつだ。
「よし。じゃあ説明するよ」
「うす。お願いします」
「こいつがあんたにも乗れる騎獣だね。名前は竜子だ」
「竜子?」
えっ、こんな可愛いもふもふなのにそんな姐さんな名前なの?
「竜子はね普通に冒険者ギルドで飼ってたんだよ。最初はマスコット的存在だったんだけどね」
確かにこんな可愛かったらマスコットにもなるわな。
「気づいたら一人で外に出て魔物を狩っていたんだよね」
マジで?こんな可愛いのに魔物狩ってるの?っていうかどういう理由で狩りに出たのよ?
「熊ぐらいなら竜子だけで狩れるからな」
お、俺より強いだと……
そういえばそこはかとなく強者の風格がしないでもない。
「よ、よろしくおねがします。竜子さん」
しっかりと挨拶させてもらいます。今度もふもふさせて下さい。
「急に態度が変わったね」
俺より強いヤツだ。敬意を表さねばならぬ。
「何を当たり前みたいな顔してるんだい?」
可愛いは正義。さらに力があるとしたらそれは最早究極生物という事ではないか!
「まぁ、いいか。改めて言うけど竜子がこれからあんたの騎獣になる」
「いいの!?」
「あぁ、しかも竜子はレンタルじゃなくてあんた専用になるね」
「専用騎獣!?」
レンタル飛び越えた!
「しかし武器に続いて騎獣も専用でもらっていいのか?」
一人のプレイヤーに贔屓し過ぎとかならんか?まぁ、俺はいいんだけどさ。
「いいもなにもあんた竜子じゃないと乗れないだろ」
確かに竜子さん以外はサイズ的に無理っぽいけど。
「贔屓にならんか?」
あまりにもだと姐御の評判悪くなったりしないのか?
「ん?贔屓のなにが悪いんだい?」
姐御が首を傾げる。
「えっ?問題にならない?」
「なにが問題なんだい?」
いや、問題だらけだろ。えっ?俺なんか変なこと言ってる?姐御の態度を見てると俺が間違ってるように感じてしまうんだが。
「別に自分の担当の冒険者を贔屓にするのは問題ないだろ?それが自分の妹分といったら…ね」
言ってることに間違いはない気がする…がいいのか?プレイヤーが言ったら問題だけどNPCが言う事だからいいのか?
「あんたは気にしなくていいんだよ。もし誰かが何か言ってきたら私がシメてやるから」
姐御が暗い笑顔を見せる。はい、気にしません。気にしない事にします。
「よし。それじゃあ、ここで竜子に乗って練習しな」
姐御が腕を組み頷く。
「うす」
練習大事。VRだからいきなり乗れるって事はないんだろ?
「何回か乗れば騎乗のスキルが手に入るはずだ。それが手に入れば後は好きに乗れるはずだよ」
はい、VRでもいきなり乗れるようになるようです。
「じゃあ、竜子さんよろしくお願いします」
竜子さんのつぶらな瞳が任せなって言ってるみたいだ。いや、言っている。頼もしいぜ竜子さん。
竜子さんが乗りやすい様に低くなってくれる。
鞍とかないけどいいのか?姐御がなにも言わないし大丈夫なんだろうな。
うし、失礼しまーす。
竜子さんに乗ってみる。
もっふもふや!もっふもふやぞ!
見た目通り竜子さんはもふもふだった。楽園はここにあったのだ。
「よし。じゃあ、適当に走ってきな!」
姐御が言った瞬間に竜子さんが走り出した。
「えっ、ちょ、待っ、速っ!!」
竜子さん!?スタートダッシュからクッソ速いんですけど!!
「どうだった?」
竜子さんから降りてからずっと膝が笑ってます。
途中他の馬も走ってたけど誰も竜子さんに追いつけてなかったぞ。
「肩で息してるけど」
大変だったよ。長時間ジェットコースターに乗ってる感じだったよ。口から膀胱が飛び出すかと思ったよ。
絶叫系で声を出せるヤツはまだ余裕があるヤツだ。俺は声なんて出ない。
「騎乗スキルは手に入れたかい?」
「……手に入れた」
最後の方にスキル:騎乗を入手って出たよ。
確かに出たら凄い騎乗が楽になったよ。でも出た時には俺の体はボロボロだよ。もう少し早く出て欲しかった。
「それじゃ、このアイテムを渡しておくよ」
姐御がネックレスの様なものを渡してくる。
「これは騎獣を呼び出すアイテムだ。出し方は……、今説明してもダメそうだな」
はい。今は説明されても覚えてられる自信がありません。
「説明書渡しとくから後で読んでおきな」
はい、ありがとうございます。




